本日は、「同一労働同一賃金」の政策を先取りしたと言われる東京地裁平成28年5月13日判決(以下「地裁判決」)の控訴審判決(東京高裁平成28年11月2日判決、以下「高裁判決」)について取り上げます。

 

地裁判決は、以前、このブログでも取り上げています。まず、以下にそのときの記事を再掲し、今回の高裁判決でポイントとなっていた点を確認します。

 

(以下、再掲)

東京地裁平成28年5月13日の判決です。

この事案の原告は、トラック運転手で、1年契約の契約社員。仕事の内容は正社員と同一でしたが、賃金に2~3割の格差があり、この差額の支払いを求めたのがこの裁判です。裁判所は、仕事の内容が正社員と同一であると認定し、賃金に差があるのは労働契約法第20条に反する、とし、原告勝訴の判決をしました。

これは、従来の通説を覆す、画期的な判決となりました。これまでは、長期と短期といった雇用形態の違いによって、賃金に格差が生じるのは、不合理ではない、との立場をとっていたのです。

本判決は、同一労働同一賃金を認めた初の判決となりましたが、「特段の事情」があれば差別も許される、との留保もされました。それでは、「特段の事情」とはなんなのでしょうか。現時点では明らかでありませんが、少なくとも本判決においては、「労働者の同意があること」は特段の事情に該当しない、としています。職能による差別(加齢による能力の低下など)は合理的とされてきましたが、このような差別は「特段の事情」なのでしょうか?今後、議論されてゆくのでしょう。

職務給の概念が定着している欧米ではいざしらず、日本では、まだ職務給よりも職能給の概念が勝っており、政策でこれを推進するのは、かなりハードルが高いように思われます。

企業としては、今後の政策や判例の動向を注視するほかありません。

(なお、本判決は、東京高裁に控訴がされている、とのことです。)

(再掲終わり)

 

上記のとおり、地裁判決では、「特段の事情」があれば、賃金格差も合理的差別として許される、との解釈を示し、本件は「特段の事情」がない、と判断したわけですが、高裁判決はこの部分の判断を改め、本件の原告が高年齢者雇用安定法(以下「高齢法」)に基づく継続雇用制度の対象労働者であったことに着目し、この制度による再雇用者が定年前よりも賃金水準を引き下げることが一般的であることを「特段の事情あり」と解釈し、一審判決を否定しました。

 

本件の原告が高齢法の継続雇用制度の対象者であったことから、実務の立場では、地裁判決には大変に違和感を覚えておりました。

高裁判決は、この違和感を払しょくしてくれたわけですが、地裁判決が示した「特段の事情」という基準に準拠して判決を書いていることに、少し創造がふくらみます。

勘ぐった事をいえば、実は、地裁判決を書いた判事も違和感を持っていたが、「特段の事情」に関する被告の抗弁がまずくて、労基法20条に反するとの結論が書けなかったのではないか・・・。

高裁判決は、実は地裁判決の判事が描いたストーリーどおりの判決だったのではないか・・・と。

 

 

 

今日のラーメン。「はしご」です。