本日取り上げるのは、試用期間中の解雇についてです。
試用期間とは、雇用契約において、企業が解雇権を留保する期間をいいます。したがって、この期間満了時には、審査があって、審査に通らなければ、本採用拒否=解雇・・・となりそうですが、そうではありません。このあたり、誤解される向きが多いように感じます。
試用期間満了による解雇も、通常の解雇同様、それなりの理由が必要で、単に「向いてない」「思ったより仕事ができない」などの理由で解雇することはできません。
試用期間の法的性質について、学説では、
ⅰ)本採用後の労働契約とは別個の特別の契約と解する説(予備契約説)
ⅱ)本採用後の労働契約であるが、これに付款ついたものであるとする説(解約条件付労働契約説)
の2説がありますが、有名な三菱樹脂事件(最高裁昭和48年12月12日判決)では、解約条件付労働契約説をとり、この解約条件(留保解約権行使条件)については、通常の解雇より「広い範囲における解雇の自由」が認められる、とする一方で、留保解約権行使に、一般的な基準としての「客観的合理性」や「社会的相当性」を要求しています。これによれば、使用者は当該労働者の適格性欠如に関する判断の具体的根拠を示す必要があり、判断の妥当性も客観的に審査され、これらを満たさない場合は留保解約権の行使は無効となる、とされます。
試用期間中の解雇が無効とされた例が、おもしろいので、以下にいくつかご紹介します。
×関連会社の会長に挨拶をしなかった。(大阪地裁平成12年8月18日)
×多数の誤字・転記ミス(大阪地裁昭和52年6月27日)
×残りの試用期間で能力向上の可能性がある(東京高裁平成21年9月15日)
いかがでしょう。なかなか、実務の立場からは乖離した裁判例ではないか、と思いますが。
