「星くずたちのささやき」40
ICUに太郎さんを残して…竜さんは、行ってしまった。というよりかは連れてかれた。駆けつけた警察に…
あたしは一人取り残されて、ICUの前で待ってるしかなかった。
そして、再び竜さんが病院に戻ってくるのを待ってたかのように、ICUの扉が開いて
担当したと思われる医師が
「かなり、手は尽くしました。それに本人もかなりの生命力でしたが…残念です」
そう、言うと
竜さん
「一度ならず二度までも…ありがとうございます」
って
その言葉で医師も何かに気づいたようで
「あの時の…そう、でしたか…」
「はい…ですから、ある意味、彼は幸せだったのかもしれません」
「医者は…やっぱり神にはなれません。一度ならず二度までも…無力さを感じます」
「いえ、そんなつもりではありませんよ。本当に。心から感謝しております。彼に代わって私から礼を言わせてもらっているんです」
「ありがとうございます…本当なら、見せてはいけないんでしょうが…患者の命を奪ったのは…これです」
竜さんは…あたしにも見ろと言って
「不思議だろ?あんなでっかい男が、こんなちっぽけな玉ごときでなくなっちまうんだぜ」
竜さん…
なんだか、悲しい目
でも、あたしにはわからないことも多いし、更新を依頼した太郎さんも亡くなって
どうすればいいんだろうって
それしか頭になくって…
そうしたら竜さん…
すっかり血に染まった紙袋をあたしに渡して
「これは、もう無理になっちまったなあ」
って…
でも、それじゃああたしはどうすれば…
あっ!?太郎さんのことを一番近くで見てたのは…竜さんだよね!?
あたしは竜さんに頼んでみようとした。でも、この竜さんは…太郎さんより単純ではなさそうだから、遠まわしに、まずは太郎さんのわからないことから聞いていこうと思った。
「あの…先ほどは…太郎さんが回復したら聞けばいいっておっしゃってましたね。でも、こうなった以上は…アリさんと太郎さんっていったい、どんなつながりがあったんでしょうか?なんであそこまでこだわるんでしょうか?」
竜さんは…
少し鋭く冷たい目であたしの心を射抜くように話し始める。
「太郎さん、か…。本当の名前は実は、本人にもわからないんだよ」
「えっ!?」