「このブログは・・・すごい有名になったブログじゃないですか!」
「内緒にしておいてください。それか・・・私がいなくなったらあなたのものにしてもらったってかまわない。ちょうど、袴田のHだし」
「そういうわけには・・・それでなんと打てば?」
「珍さんという人に自分がブログで何度も謝る理由を書いてほしいので」
「はい・・・。」
袴田医師は何も言わず、ただただ俺が言った言葉を漏らすことなく、打って送ってくれた。
「くれぐれも二人だけの秘密ですよ」
「わかりました」
そう言って俺は病室に戻った。
ガ、チャン
病室に入ると
「お帰りなさい」
不思議な響きだ。もう、何十年も聞いてなかった言葉。うれしくもあり、安らげる言葉をこんなところで・・・。
言葉の主は俺のベッドに座っていた。美空ちゃんだった。その言葉を発した時は、穏やかな表情に見えたが、一変した。
「すぐにリハビリに行くように言ったのですが・・・」
気づけば横には、昔、愛人だった看護師がいた。たぶん、美空ちゃん専属と言うところか。
「袴田と何してたんですか?」
問い詰められた。はっきり言って、美空ちゃんにブログを打ってもらっても構わない。しかし、彼女は目が見えない。しかも、このブログは俺が家族にあてたブログだ。余計に彼女を苦しめることになる。そう考えて、返答に困る。
彼女は追い討ちをかける。
「袴田はリハビリの先生。しかもほぼ、私の専属。その先生に用事なんておかしいわ!」
もう、ごまかせないか。やはり、この子の前ではなぜか自分が子どものようになってしまう・・・。
と、突然、彼女が泣き出した。
「ごめんなさい!おじさん、困らせて!本当はね、ホッとしてるの!ひょっとして、もう、おじさん戻ってこないかと思ったから!」
この子の「勘」には驚かされる。そして、なんかかんか言っても、子どもだってことも分かった。