税理士・経営コンサルタントの節税ブログ -15ページ目

短期の前払費用による節税

 節税の基本に短期の前払費用という通達の活用があります。
 通達は短いのでその全文を紹介すると
 前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。)の額は、当該事業年度の損金の額に算入されないのであるが、法人が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認める。
 というものです。
 これは、税法には珍しく原理原則よりも金額的重要性あるいは商慣習を重んじて作られた通達であると考えられます。
 つまり、家賃は、商慣習では前払いが当たり前であり、それをいちいち翌期のものであるとするのは税務調査の現場で納税者との無用の軋轢が生じるということへの配慮ではないかということです。
 ただ、この通達では、
 継続的役務の提供とは何か
 支払った日から1年以内にとはいつからいつまでか
 継続的とはどのくらいの期間の継続か
 という疑問が生じます。
 まず第一の疑問である、役務の提供とは何かといいますと一般的にはサービスということですがではサービスとは何でしょうか。こういった一般的に頻繁に用いられている言葉を税法解釈にあてはめて定義することは逆に非常に難しいですが、仮に「モノの動きのない取引」と考えてみましょう。
 そう考えると、これに該当するものは非常に限定的で、不動産の賃借料、保険料、リース料各種団体やカードなどの年会費、電話の基本料金などが考えられます。
 ただ、電話の基本料金等約款で契約内容が決まるものについては、個別に契約してもらうことなど不可能でしょうから現実的ではありません。
 また、雑誌の年間購読料は物品の継続的購入契約であるし、リース料でも所有権移転ファイナンスリース取引であれば実質的に物品の割賦購入の性格が強く適用できない、あるいはサービスの内容が定量定質でなければいけないという方もいらっしゃいますが、逓増定期保険などは時の経過により保障内容が変わりますので厳密すぎるかも知れません。
 次に第二の疑問であるいつからいつまでかですが、これは若干柔軟に考えられており、本来は、3月決算であれば、3月分から翌年の2月までの費用ということになりますが、他の通達の類推からおおむね、3月20日から3月31日までに支払った、4月1日から翌年3月31日までが分が最大で認められる範囲であると考えられます。
 次に継続的ということですが、これは、利益調整を排除するための規定ですので、契約開始時及びしばらくは、短期の前払費用の通達を適用したが、より厳密に適正な期間損益計算を行うためその期から継続的に前払費用とする、あるいは、保険に加入し、短期前払費用の通達を適用したが資金繰りの急激な悪化により、翌期の終わりに解約したなどは当初から解約を意図したものでなければ認められるものと考えます。

給料の外注費化

社員あるいはアルバイトが外注先になると消費税が課税取引となり、消費税の納税が減少する場合があります。 

しかし、ただ単に外注費として経理したらよいということではなく、その性質が外注費である必要があります。

 その判定は、その外注先の役務提供が事業者の指揮監督を受けているか、また、仕事の完結責任あるいは完成品あるいは完成工事に対する責任が外注先にあるか等を総合勘案することとされています。

 つまり、外注先が常に外注元の指揮命令のもとに動いており、製品あるいは工事等の完成責任(あるいはプロセスであっても完了責任)がないのであれば社員と同じというわけです。

 ですから、業務実態あるいは請負契約において外注の性質を備えているかについて注意が必要です。 

また、これは外注先が個人の場合であり、法人の場合にはこのように考える必要はありません。

簡易課税を選択した場合の振込手数料・仕入割戻

消費税の計算で簡易課税を選択している場合、売上高と雑収入の課税取引に対して課税されるわけですがこれは経理方法によって変わる場合があります。
 例えば、売掛金が入金される際に差し引かれる振込手数料ですが、当社の手数料と考える経理方法と売上の値引きと考える経理方法では売上金額が変わります。(もちろん利益は変わりません。)
 取引の内容から考えると、売掛先から値引きの申し出があり、当社が承諾したので値引きになる、あるいは、現金集金の手間を銀行振込みでもらっているので手間が省けたという意味で当社の手数料となるなどいずれとも考えることができると思います。
 よってここは前者ととらえると売上がその分減りますので消費税の納税も減らすことができることとなります。
 同様に、仕入れのリベートや販売奨励金も雑収入とせずに、仕入割戻し処理をすることによって納税が減少します。