「流通雑感 臨時号NO.19」2025年 10月20日
「流通雑感 臨時号」は、住谷ゼミのOBOGの皆さんに読んでいただこうと思って発行するものです。
《近況》
*住谷ゼミOBOG会が11日(土)に千葉商科大学で開催されました。私は32年ぶりに千葉商科大学を訪れたので、とても懐かしく、また嬉しかったです。39人のOBOGが集まり、久しぶりにOBOGの顔を見て、いろいろな話しができて、とても楽しい時間を過ごしました。遠方から来てくれたOBOGもいて、ありがたいと思いました。また、約30年前の写真やアルバムを持参してくれた人もいて、会が盛り上がりました。お土産を持ってきてくれた人もいました。ありがとうございます。2次会も盛況でした。幹事の方々に感謝です。
*そのOBOG会で、この「流通雑感」が役に立っているという話をするOB(澤田君)がいましたので、「流通雑感」を継続しようという意欲が湧いてきました。
*次年度の住谷ゼミOBOG会は、10月3日(土)を予定しています。どうぞスケジュールに入れてください。
*『准教授麻子の事件簿4~ワインサークル殺人事件~』がkindleストアから発売されました。皆様、是非一度ご購読をお願いします。
*『秋田魁新報』という新聞社の取材を受けました。「首都圏発あきた人」とうコラムに私の事を書くためです。10月19日(月)に新聞に掲載されました。そこで小説の事も若干、紹介しています。
*千葉商科大学のOBOGのグループLINEが始まりました。70人くらいの人が参加してくれるといいな~と思っています。東洋大学のグループLINEも200人は突破してもらいたいと思っています。皆さん、グループLINEに入っていないゼミのOBOGに今一度、声をかけてみましょう。
1,社会・消費者について
(1) シニアの体力向上、30代の体力低迷
(2) 介護保険外のサービスに対する需要膨らむ
(3) 訪日客数 最速3000万人突破
2,小売業について
(1)最も販管費が低いドラグストアGenky
(2)ウエルシアの食品強化型店舗
(3)ファミマ、預金や住宅ローンの仲介サービスに参入
(4)セブン、雑誌棚半分以下に縮小予定
(5)セブン&アイ、一転して減益予想
(6)良品計画、パリに旗艦店
(7)トライアルの小型店
(8)イオン、業績好調
3,消費財メーカーについて
(1)ユニ・チャーム、中国でペットフード工場を建設
4,その他
(1)千葉銀行と千葉興業銀行が経営統合
1,社会・消費者について
(1)シニアの体力向上、30代の体力低迷
スポーツ庁が2024年度の体力・運動能力調査を発表しました。24年5月~10月にかけて、6歳~79歳の男女約5万9千人に対して調査したものです。
握力、上体起こしなどの測定結果を点数化しA~Eの5段階で評価したものです。Cが平均的な体力に該当します。AかBと評価された割合を年代別に比較すると、70歳代の男性は65%、女性は67%の上り、全世代で最も高いのです。30歳代でAかBだったのは男性で34%、女性で22%でした。
30歳代の体力の低迷が気になります。70歳代の男女の体力向上の背景には、健康なシニアほど運動習慣が身についていることが指摘されます。30歳、40歳の方々も運動習慣を身に付ける必要がありそうです。
(2)介護保険外のサービスに対する需要膨らむ
訪問介護で保険の対象になるのは、➀食事や排せつの介助、➁掃除や洗濯などの家事援助、➂通院時の乗車・降車援助などです。
でもそれ以外にお願いしたいことは多く存在します。たとえば、「スタッフに付き添ってもらって日用品の買い物や銀行での通帳記入に出かける」、「草むしり」、「ペットの世話」、「家全体の掃除」、「布団干し」、「料理を作ってもらう」などです。
そのような保険外の家事・外出支援などを行う介護産業市場は、20年に6兆4000億円でしたが、50年には16兆9000億円になると経済産業省は予想しています。要因のひとつは、独居高齢者の増加です。一人暮しの65歳以上の人口は、20年に672万人いました。それが50年には約1084万人になると見込まれているのです。高齢になるとやれないことが多くなります。そのため、保険外サービスを提供する企業もとても多くなってきています。
今後、ビジネスとして拡大していきそうです。でもどんな人が来てくれるかですよね。おそらく指名制も登場してくるでしょう。私も、あと数年たったら利用するようになるかもしれません。
(3)訪日客数 最速3000万人突破
1月からの累計訪日客数は過去最速で3000万人を突破しました。1月~9月の訪日客消費は6兆9156億円で、過去最高でした。
日本百貨店協会の発表によると「足元の売上高は高額品が減収、化粧品などの消耗品が増収」で、客単価は2月から前年割れが続いています。そのため、「客単価の減少を客数で補う構図が続く」とみています。
政府は、30年に客数を6000万人まで増やす目標を掲げています。ただ、オーバーツーリズムの問題も出ています。外人だらけの京都に行く日本人観光客は激減、修学旅行さえ京都を避けています。そのようなオーバーツーリズムの問題をどうするのか?政府も、地方自治体ももう少し真剣に考えていただきたいものです。
2,小売業について
(1)最も販管費が低いドラグストアGenky
販管費(売上高販売管理費比率)が低い小売企業ベスト5は以下の通りです。
1位:Genky 15.6%
2位:MrMax 22.1%
3位:アークス22.5%
4位:ケーズHD 24.7%
5位:ベルク 23.8%
この圧倒的に1位のGenky DrugStoresは北陸地盤のドラッグストアです。販管費が18%以下なんてめったにありません。久しぶりにみました。
このGenkyは、店舗の内外装のレイアウトを標準化し、特売をなくしました。それだけで販管費を15.6%にできるとは思えませんが、徹底した中央集権型で経営しているそうです。税抜きでおにぎり99円、500mlの緑茶48円など徹底した低価格で、今や売上高に占める食品の割合が70%を超えるまでになったそうです。また、一般的には周辺人口1万5千人を必要とするドラッグストアですが、Genkyは周辺人口7000人でも大丈夫だそうです。
そのため、人口の少ない地域をターゲットに出店を重ね、5年後に現状の2倍の1000店舗まで拡大する予定です。これだけ低い販管費ですと、競合には価格で勝てますから、当分Genkyの成長は続くと考えられます。ただ、なぜ、販管費が15.6%なのか機会があれば取材したいくらいです。
(2)ウエルシアの食品強化型店舗
ウエルシアは、イオンと組んで食品強化型の店舗の実験をしてきましたが、この度、ノウハウが蓄積できたと考え、食品強化型の店舗を本格展開するそうです。
まずは、2026年2月期中に9店舗出店します。8月下旬には、稲敷釜井店(茨城県)、つくば小釜店(茨城県)を新業態として改装開店しました。
品揃えとしては、弁当・惣菜を従来比3倍の210種類に拡充、牛乳や豆腐などの日配品や冷凍食品、生鮮の数も増やしました。酒類の商品数を減らし、調剤や日用品の売り場面積は維持します。
九州が地盤のコスモス薬品(食品の売上高比率6割)、北陸を地盤とするクスリのアオキHD(食品の売上高比率5割)が関東地域にも出店してくる可能性が高いため、それらとの競合に勝つために食品強化型を増やす予定です。
これからはドラッグも食品スーパーと競合するようになりそうですね。
(3)ファミマ、預金や住宅ローンの仲介サービスに参入
ファミマは、2026年春以降ファミマの店舗にある約16000台のATMを順次セブン銀行の機種に取り換えます。これは伊藤忠がセブン銀行に出資することが決まったため、機種の統一に動くことになったのです。
さらにファミリーマートは「ファミマ・マネーライフ」という金融ブランドを立ち上げ、銀行代理業の免許取得を目指します。そして、銀行の住宅ローンや預金などを仲介する事業を27年度に始める事を目指しています。クレジットカード、ローン、翌月払い決済などは今まで運営会社ごとにバラバラに手掛けていたのですが、これも「ファミマ・マネーライフ」のもとにまとめます。
セブン銀行のATMは24年度に2万7990台設置されているのですが、将来は3万4千台になりそうです。ファミマも本格的に金融サービスに参入という事になりそうですね。
(4)セブン、雑誌棚半分以下に縮小予定
セブンイレブンは、売れ行きが良くない雑誌棚を半分以下に減らす計画です。雑誌の売上減は、とまりません。雑誌は1997年をピークに市場規模が縮小しています。2024年の販売額は4119億円とこの10年間で半減しているそうです。
コンビニが雑誌を置かなかったり、品揃えを少なくすることは雑誌流通全体に影響を及ばします。この傾向が続けば、取次店の配送効率が悪くなったり、雑誌が減ることによって書店の経営状況の悪化につながります。
紙の雑誌を作ることはむ難しくなっていますね。
(5)セブン&アイ、一転して減益予想
26年2月の純利益の会社計画は前期比53%増と、従来予想から100億円上積みしました。これはイトーヨーカ堂の資産売却益などが想定よりも膨らんだためです。
一方、26年2月期の連結営業利益は、前期比4%減の4040億円になりそうだと発表しました。従来の計画(1%増の4240億円)から一転して減益になります。
営業利益を下方修正したのは、国内コンビニ事業の不振にあると言われています。26年2月期の既存店売上高伸び率は期初の計画2.5%から0.9%に引き下げられました。丸山CFOは「コメやコーヒー豆など価格高騰影響を受けている。客数の力強い回復に至っておらず、出来立てパンや入れたて紅茶など売上も粗利もとれる商品を下期より本格投入する」と話しています。
今は、ドラッグが食品の品揃えを増やし、低価格で訴求しています。「まいばすけっと」も出店が増えています。そのような低価格訴求の業態との競争もあり、コンビニが急速に業績を伸ばすとは考えにくい状態です。競合に打ち勝つために、コンビニももっとコスト削減に動くのでしょうか?
(6)良品計画、パリに旗艦店
良品計画は、28年8月を最終年度とする3ヵ年経営計画を発表しました。これからは、国内(現在683店舗)は出店を厳選していきます。そして、海外は年間70店増と25年8月末までの1年間の増加ペース(47店舗)から20店舗超上積みします。
26年秋には、パリの中心地に同社として欧州最大規模の約2000㎡の旗艦店を出店します。欧州では、20年以降不採算店の撤退を決めたり、24年には英子会社を清算し、店舗の運営などは別会社に継承しました。そんな欧州事業を建て直すために、まずはパリに旗艦店を出店するのです。従来の店は規模が小さすぎたという反省があり、「約2000㎡の店舗フォーマット」を導入していくことにしたわけです。そして欧州事業を再び収益源に出来るように育てたいと考えているわけです。「パリの旗艦店を機に欧州を再成長させる。主要都市で出店を再開させ、欧州を全社のけん引役に育てたい」(清水社長)との発言にあるようにその決意は固いようです。
このような旗艦店は、タイやベトナムでも出店していきます。国内の成長がそれほど見込まれないので、良品計画は再び海外に目を向けているようです。
(7)トライアルの小型店
トライアルの小型店「トライアルGO」が、26年6月期までに東京などに13店舗開店する予定です。
11月上旬にもJR西荻窪と西武線富士見台駅の近くで開店します。
・低価格・・・「ロースかつ重」は約300円(福岡県での価格)、おにぎりは1個100~130円程度。
・センター役は近隣の西友(西友はトライアルの子会社)を活用。総菜や生鮮品をトライアルGOに高頻度で配送。
・省人化・・・従業員がバックヤードに控えている場合もあるが、基本は無人店舗に近い形。
・会計・・・セルフレジだけ
低価格で販売する小型店のようです。BigAのような店舗をイメージしてしまいますが、もっと小さい店舗のようですね。セルフレジだけで従業員がいない場合もあるとか。不安ですね。万引き。アメリカでは無人店は、万引きが多く減少しています。「トライアルGO」の万引き対策はどうなっているのか気になります。大丈夫でしょうか?
(8)イオン、業績好調
イオンが14日発表した25年3月~8月の決算は、好調な業績を表しています。売上高は4%増加の5兆1899億円、営業利益は20%増加の1181億円でした。売上高は過去最高で、営業利益も市場予想を上回りました。
「節約意識の高まりに対して、PBを中心に商品改革を引き続き注力している」(吉田社長)と述べているように25年4月にはPBの「トップバリュ」を75品目値下するなど、PBの安さを前面に出しています。それが功を奏し小売業の業績が好調です。「まいばすけっと」も約1260店舗まで増えました。
現在のように、物価が高騰している状況では、ますます低価格訴求の小売店が成長しそうですね。イオンはその上、品揃えが豊富です。
26年2月期の予想は、売上高前期比4%増の10兆5000億円、純利益47%増の400億円を見込んでいます。
3,消費財メーカーについて
(1)ユニ・チャーム、中国でペットフード工場を建設
ユニ・チャームは、25年中に中国でペットフードの工場を本格稼働します。4割超を出資する現地のペットフード大手のジア・ペッツと共同で江蘇省に新工場を建設しました。ユニ・チャームは総工費の約半分の100億円超を負担したようです。
中国のペットフード市場は急拡大しています。24年のペットフード市場は、20年比4割増の約1兆9000億円です。日本の2倍以上の規模です。
ただ、中国市場の競争は厳しく、アメリカのマース、スイスのネスレ、中国のギャンブル・ペット・グループの3社で市場の約2割のシェアです。ユニ・チャームは1%未満のシェアです。にもかかわらずユニ・チャームは30年までにシェアを2割にする目標を立てています。
紙おむつ、生理用品に次ぐ事業にペットフード事業を育てようとしていますので、中国で2割のシェアを取れるかどうかはとても大切です。中国ではやや高単価の商品を強みとしているようです。高栄養・高たんぱくの健康志向の商品も展開する予定です。また、飼い主の排泄処理頻度を減らせる猫用トイレなどトイレタリー商品も揃えます。
これで果たして2割のシェアをとれるものかわかりませんが、ユニ・チャームが、プロモーションを大規模に行って、販路を整えれば、可能性はあるのではないかと思っています。
4,その他
(1)千葉銀行と千葉興業銀行が経営統合
千葉銀行と千葉興業銀行が9月中に経営統合で基本合意するそうです。これが実現すると連結総資産ベースで「ふくおかFG」につぐ地銀グループとなり、横浜銀行が中核の「コンコルディアFG」を超える規模になります。地銀で第2位の連結総資産となります。
千葉銀行と千葉興業銀行は、合併はしません。持ち株会社を作って、その傘下に両行が入る形になります。
金利ある世界では規模の拡大が盤石な経営に直結するそうです。
それにしても驚きました。京葉銀行は大変でしょうね。これから地銀同士での経営統合や合併が増えそうです。
以上