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流通雑感のブログ

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「流通雑感 臨時号NO.5」2024年8月20日

 

「流通雑感 臨時号」は、住谷ゼミのOBOGの皆さんに読んでいただこうと思って発行するものです。

臨時号とするのは、毎月掲載するわけでもなく、一定量が溜まったらなので、月に1回かもしれませんし、2~3か月に一度くらいかもしれません。その点はご容赦のほどお願いします。現在は、月1回の刊行を目指しています。住谷ゼミのOBOGの皆さんに、少しでもお役に立てたら幸いですし、私の近況もお知らせしたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

 

*オリンピックが開催され、日本人選手は大いに活躍しました。私は、「初老ジャパン」と阿部兄妹が強く印象に残っています。オリンピック開催期間中は、さすがに経済・経営関係のニュースも少なかったように思います。そんなことで今月は流通雑感も多少短いと思います。株は乱高下しましたね。

*本当に暑い日が続いていますね。こんなに暑い日々だと70歳代になると生きてるだけで精一杯みたいな感じになります。そんな中、ウォーキングを続けています。秋になったら、他の運動もしようと思っています。いつの間にか、朝ご飯も昼ご飯も自分で作るようになりました。

 

1.社会・消費者について

(1)商品の原材料にこだわる消費者

2,小売業について

(1)セブン&アイに対して買収提案

(2)アマゾン、全国翌日配送

(3)アマゾン、処方薬をネット販売

(4)セブンイレブン、主力のおにぎり3割安の商品も開発

(5)LINEヤフー、クイックコマースを全国展開の計画

(6)パン・パシフック・インターナショナルHDが売上高2兆円超え

3,消費財メーカーについて

(1)サントリー、10年間で売上高の52%が海外

(2)資生堂、純利益99%減少

(3)苦境に陥っているバーバリー

(4)ケリング(仏)、5割減益

(5)日清食品に公取が警告

4,その他

(1)ちょっとカチンときた日経の記事

1、社会・消費者について

(1)商品の原材料にこだわる消費者

 テレビで、あるタレントさんは「水」はPH7.4のものしか飲まないと発言して注目されていました。このように飲む物、食べる物の原材料にこだわる消費者が増えているように思うのですが、いかがでしょうか。

「本搾り」というキリンのチューハイがあります。「くだものとウォッカと炭酸水」だけで作ったというのがうたい文句です。その成分(原材料)がはっきりしていて良いという消費者の一群がいます。そのような消費者はキリンの「一番搾り(ビール)」を同様の視点で評価しています。このように食べる物・飲む物の成分を気にする消費者が増えているのも現代の食品へのニーズの一面ではないでしょうか。私は朝、パンを食べるのですが、一時は小売店で売っている「菓子パン」を食べていました。今は「全粒粉のパン」です。娘は「これで寿命が数年伸びたよ」といいます。妻も娘も孫も食べる物・飲む物の成分を気にする一群です。私も徐々にそうなってきているように思います。

 

2,小売業について

(1)セブン&アイに対して買収提案

カナダのコンビニエンスストア大手、アリマンタシオン・クシュタール(「クシュタール」や「サークルK」といったブランドで欧米に約1万7000店舗を展開、売上高約10兆円)がセブン&アイHD(売上高約11兆円)に買収提案を行っています。

セブン&アイでは、特別委員会を立ち上げ、提案が企業価値を適切に評価したものか、長期的成長につながるものかなどを検討します。特別委員会の結論を踏まえて、セブン&アイの取締役会は提案を受け入れるかどうかを判断します。提案を拒否した場合、アリマンタシオン・クシュタールがTOBに乗り出す可能性もあります。

売上高日本一のセブン&アイを買収しようとする企業が現れるとは驚きました。また、それを協議しているという、現在の企業の姿勢にも驚いています。おそらく買収は拒否するものと予想していますが、どうなりますでしょうか。

(2)アマゾン、全国翌日配送

アマゾンジャパンは8月5日、北海道でも注文翌日に荷物が届く「翌日配送」を始めたと明らかにしました。これで、全国47都道府県で翌日配送に対応したことになります。

ヤマト運輸は宅配便で翌日配送の地域を縮小しています。日本郵便も「ゆうパック」で24年4月以降に翌日配送の地域を縮小しています。

このような状況なのですが、アマゾンは逆に物流に投資し、早く届けることを差別化のポイントにしているようです。

私は、全国翌日配送を実現して、「アマゾンプライム」の年会費を値上げるのだと思っています。日本の「アマゾンプライム」の年会費はアメリカの二分の一以下です。全国翌日配送を実現し、来年から年会費をあげるのではないでしょうか?

(3)アマゾン、処方薬をネット販売

アマゾンは24年内にもウエルシアHDなどと連携し、処方薬のネット販売を始めます。

ウエルシアの他、複数の薬局チェーンと連携する予定です。

ウエルシアと組むことによって、自宅で服薬指導からクスリの購入・受け取りまでを完結できる枠組みとして国内最大の連合体が誕生することになります。

アマゾンは在庫を持たずに注文された処方薬を配送することになります。ウエルシアの店舗の薬剤師がオンラインで服薬指導することになります。

 この仕組みの誕生は、調剤薬局・ドラッグストア業界の再編をさらに促す可能性が高いと思われます。

 先日、出版取次大手のトーハンがセブンイレブンへの雑誌の配送は今後も続けるが、ファミマ・ローソンについては約2万店に配送するが、残りの約1万店には配送できないというニュースがありました。この1万店で雑誌を購入していた人はアマゾンから買うようになるのかな~と思っていました。今度は処方薬。薬局で待たされている人たちもアマゾンになるのかな~と思ったりします。ますますアマゾンは成長しそうですね!

(4)セブンイレブン、主力のおにぎり3割安の商品も開発

セブンイレブンは低価格のおにぎり2品を売り出しました。「手巻きおにぎり(しゃけ)」(従来品よりも51円安い)、「手巻きおにぎり(ツナマヨネーズ)」(従来品よりも13円安い)をそろえました。これで低価格志向の消費者の心を捉まえれるといいのですが。はたして、「沖縄での実験のようにおにぎり全体の販売数を従来比2割押し上げる」でしょうか?

(5)LINEヤフー、クイックコマースを全国展開の計画

LINEヤフーと出前館は2024年内に日用品や生鮮食品のクイックコマース(即配)を全国展開する計画です。

新サービスは「Yahoo!クイックマート」。「Yahoo!ショッピング」の通販サイトやスマホのアプリから店舗や商品を選ぶ方式です。8月中に東京都港区や渋谷区などで始めます。注文ごとに購入額の1%分のPayPayポイントを還元します。

ただ、即配市場に参入した企業は撤退しているところも多いのです。21年に日本に参入した韓国のクーパンは23年に撤退。ドイツの「フードパンダ」、中国の「DiDiフード」も22年に撤退。日本勢の「クリックゲット」や「クリックエクスペリエンス」が23年までにサービスを終了。

果たしてLINEヤフーの「Yahoo!クイックマート」は成功するでしょうか?

(6)パン・パシフック・インターナショナルHDが売上高2兆円超え

 「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルHDは、2024年6月期の連結決算を発表しました。売上高は8%増加の2兆950億円、純利益は34%増加の887億円でした。売上高2兆円を超えたのは、セブン&アイHD、イオン、ファーストリテイリング、ヤマダHDについで5社目です。

 営業利益は33%増加の1401億円と過去最高でした。5年間で2倍超になりました。成長の原動力は、「小売業界の常識の裏をかく個店経営と呼ばれる手法だ」と説明されています。そして、「ドンキでは、商品調達や値段決定、商品の配置などをパート・アルバイトが主導する。現場の人に権限を与えて顧客からの要望も即反映させる。流行に合った商品を適時にそろえ、在庫を効率的に回すモデルを作り上げた」と説明されています。

 個店経営を目指している小売企業は増えていますし、現場への権限移譲も行っていますが、ドン・キホーテのようにはうまくいかないのが普通です。ドン・キホーテの個店経営は、他社とどこが違うのか、本格的な解説書が出現するのを待ち望んでいます。

 また、ドン・キホーテは、インバウンド客から強い支持を得ています。免税売上高は前年比3倍の1173億円です。これは三越伊勢丹の1088億円を超えています。インバウンド客は中国人中心でしたが、今やアジア人やアメリカ人などと裾野が広がっています。品揃えが豊富な事、価格が安い事と深夜営業が高く評価されているようです。課題は海外店です。海外店をどのようにして立ち直すのか、その方法が注目されています。

 

3,消費財メーカーについて

(1)サントリー、10年間で売上高の52%が海外

サントリーHDの2013年度の事業別売上は、「飲料・食品」が55%、「酒類」が28%でしたが、10年後の2023年度の事業別売上は、「飲料・食品」が54%、「酒類」が35%でした。2014年にアメリカのビームを買収したことが酒類の売り上げ構成を増やすことに貢献しているようです。2013年度の海外売上比率は25%でしたが、2023年度には52%になっています。サントリーはこの10年間ですっかりグローバル企業になったわけです。

そして2030年には「缶入り低アルコールで世界ナンバーワンになる」と目標を決めています。飲料と酒類の合わせ技としての缶入り低アルコールこそがサントリーが世界一になれる可能性の大きい事業分野だと考えているわけです。その実現のため、24年中にオーストラリアで「海外で初めて飲料と缶入り低アルコールの両方を製造できる工場」が稼働します。

実際に「缶入り低アルコール」の売上高世界ベスト10にサントリー製品は4つ入っているのです。「-196」「こだわり酒場のレモンサワー」「ほろよい」「ジムビームRTD」の4銘柄でいずれもサントリー・グローバル・スピリッツの製品です。ですから「缶入り低アルコールで世界ナンバーワンになる」という目標も実現する可能性は大いにあるのです。サントリーの今後が期待されます。

(2)資生堂、純利益99%減少

資生堂の2024年1月~6月の連結決算は、純利益が前年同期比99.9%減少の1500万円でした。藤原社長は「空港での免税品販売などトラベルリテール事業と中国事業の位置づけを見直す。今後は欧米をより伸ばしたい」と発言しています。

資生堂は、この数年、ひたすら財産・資産を売却してきました。その資金で、高級品中心・中国市場重視の経営をしてきた訳ですが、今度は「欧米を伸ばしたい」ですか?資生堂にはしっかりしてほしいところです。日本事業が回復し、79億円の黒字だったそうですので、それが救いでしょうか。

(3)苦境に陥っているバーバリー

 英国の高級ブランドのバーバリー・グループが業績不振に陥っています。最大市場の中国で販売が鈍り、24年4月~9月期は営業赤字に陥る可能性が高くなってきています。

 中国での24年4月~6月期の既存店売上高は前年同期比21%減少でした。世界中の既存店の24年4月~6月期の既存店売上高は前年同期比でやはり21%減少でした。この状態が続けば4月~9月期は営業赤字に陥る可能性が高いのです。

 なぜ、バーバリーブランドが売れないか、理由ははっきりしています。より高級感を出しながら、実はアウトレットでの割引販売がバーバリー全体の売上高の25%に達しているのです。そのため、「正規価格で買うのはバカバカしい」というのことになるのです。

 足元のバーバリーの株価は10年前の半値の水準に落ち込んでいます。立て直しは容易ではないと思います。

(4)ケリング(仏)、5割減益

 フランスのケリング社(主力ブランドはグッチ)の2024年1~6月期決算は、前年同期と比べて5割減益(純利益は8億7800万ユーロ)でした。中国での不振に加え、欧米でも中所得者層が購入を控える動きが進み、リストラが必要なブランドも出てきているようです。ケリング社に先立って発表されたLVMH(主力ブランドはルイビトン)の24年1~6月期決算も純利益が72億6700万ユーロで前年同期比14%減少でした。

中国市場で売上高を伸ばしていた欧米の高級ブランドは、中国市場の低迷で業績を悪化させる傾向にあるようです。

(5)日清食品に公取が警告

 公正取引員会は、カップ麺の販売価格を不当に引き上げるように求めたとして、日清食品に対して独禁法違反の疑いで警告を出す方針を固めたそうです。日清食品は、メーカー希望小売価格の引き上げに合わせて、小売業者に同等の値上げ幅を反映するように要請したようです。

 具体的には、2022年と23年の2回にわたり、「カップヌードル」「シーフードヌードル」「カップヌードル カレー」「日清どん兵衛きつねうどん」「日清焼きそばU.F.O」の5品目の希望小売価格の引き上げに合わせて、スーパーやドラッグストアなど全国の小売業者に対して値上げ額を指定して販売価格を上げるように求めた疑いがあるそうです。

 「再販売価格の拘束」は独禁法違反なので、この処置は当然ですが、メーカーの気持ちもよくわかります。

 

4,その他

(1)   ちょっとカチンときた日経の記事

 7月29日の日経に「日本株 求む『価格支配力』」という記事が出ていました。海外の投資家は「モノポリー(独占)に近い企業に投資したい。ところが日本にはほとんどない」というのです。日本は、製造業が業種別に多いのが有名です。それだけ企業間の競争が厳しく、新製品も多く出ます。消費者にとってはありがたい競争状態です。しかし、それでは企業の「価格支配力が乏しい」ので利益が多く出ないというのです。

それで良いのではないでしょうか?日経は海外の投資家がもっと日本の株を購入するためにはどうなればよいのかを論じているのですが、それ以上に日本に住む国民・消費者の生活満足度が高まれば良いのではないでしょうか?日経の記事を読んで、ちょっとカチンときました。

 

 

                                      以上