「月刊 流通雑感」NO.210、2022年 3月号
《目次》
1、 社会・消費者動向
(1) 所得格差、25歳~34歳で拡大
(2) 父親が家事・育児を充分に行う条件は?
(3) 企業物価、8か月連続5%超上昇
2、 小売業・卸売業の動向
(1) ヤマダ、アマゾンとスマート家電で協業
(2) 7&I 百貨店(そごう・西武)を売却の方針
(3) ワークマン、銀座に出店、都心部100店へ
(4) 三越伊勢丹、顧客別PLを導入
(5) オンワード、1300店でネット商品の試着可能に
(6) コンビニ大手3社が過疎地で共同配送実験
(7) ミニストップ、海外事業を大幅縮小
(8) 毎日、大型トラック180台分の食品が廃棄されている
3、メーカーのチャネル戦略、
(1)コカ・コーラ、チャネル限定で5月より値上げ
(2)コカ・コーラがマイボトル対応自販機を展開
(3)キリン、海外戦略の修正
(4)味の素、ROICを基本に選択と集中を強化
4、その他
(1)世界の廃棄物処理コスト、年間166兆円
(2)サイゼリア、50店に配膳ロボ
3月になり、急に春めいてきました。梅も咲いています。
これでコロナの新規感染者数が急減するとありがたいのですが、個人的には4月下旬から急減するように思っています。3月中は、まだまだ自粛期間が続くのではないでしょうか。60歳代後半の私が3回目のワクチン接種が終わったのが、2月28日で、妻は3月3日の予定です。これから65歳以下の人たちのワクチン接種が急激に増加するはずです。その効果で4月になると感染者数は今よりも減少すると思いますが、小学生まで接種が終わる頃を考えると、やはり4月下旬ころから急減するように思います。
プーチンという老人が血迷ったのか、ロシアはウクライナに侵攻しました。戦争という悲惨な出来事が起こっています。全世界でロシアを停戦に向かわせる必要があります。それにもかかわらずプーチンという老人は核兵器の使用さえ示唆しています。誰もひとりの老人を引き留めることができないようです。今よりももっと悲惨なことが起きないことを祈るだけです。それにしても一人の老人の意思決定でこのような悲惨な事を引き起こしていいものでしょうか。アメリカのリーダーも老人です。中国のリーダーも結構、歳をとっているのではないでしょうか。大国のリーダーは、若返る必要があります。もっと自分の未来がある若い人が意思決定したら、こんな悲惨な意思決定はしないと思います。
1、社会・消費者動向
(1)所得格差、25歳~34歳で拡大
内閣府のミニ白書「日本経済2021―2022 成長と分配の好循環実現に向けて」が21年9月にまとめた経済財政白書の後の情勢を分析しているそうです。そこで注目されたのが「ジニ係数」の分析です。
全体では、02年の0.414から07年の0.416に上がったものの、その後は低下し、17年には再び0.414になり、所得格差は全体として拡大傾向にはなく、07~17には緩やかに縮小していたと分析しています。(この結論には納得がいきません。現実は、富裕層が増え、低所得者が激増しているのが実態だと思います。そして、いわゆる中間層が減少しているのです)
このジニ係数の世代別の分析で、25歳~29歳は02年の0.240から17年は0.250に上昇し、30歳~34歳も02年の0.311から17年には0.318に上昇していることがわかりました。そして、25歳~34歳を除く年齢階層では02年から17年にかけてジニ係数は下がっていたとそうです。
そのため、25歳~34歳で所得格差が拡大していると言われているわけです。この25歳~34歳を世帯類型別にみると、単身世帯の中央値(14年は360万円、19年も360万円)、夫婦のみの世帯の中央値(14年532万円、19年616万円)、夫婦と子供がいる世帯の中央値(14年493万円、19年550万円)となっています。
25歳~34歳での所得格差の原因は「男性の非正規雇用の比率が上がって、労働時間が減少した」ためと説明されています。そして、所得が伸びない若年層が結婚をためらい、結果として少子化が進む可能性があると述べています。
(2)父親が家事・育児を充分に行う条件は?
政府は「6歳未満の子どもがいる男性の1日の家事・育児時間を20年に2時間半」にするという目標を掲げています。しかし、16年のデータでは、1時間23分にとどまっています。どうしたら2時間半の時間を確保できるのか?国立成育医療研究センターが、父親約3700人を抽出して、分析しました。その結果は、「6歳未満の子どもがいる父親が家事・育児に十分な時間を確保するためには、1日の仕事時間(通勤時間も含む)を9時間半以内にすることが必要」という結論に達しています。
16年のデータでは、父親の仕事と通勤の時間は「12時間以上」(36%)、「10時間以上」(69%)だったそうです。これでは父親の家事・育児は絶望的ですね。職住接近とかリモートワークが必要ですね。しかし、首都圏では、コロナが終息したら、おそらくほとんどの父親は、仕事と通勤で10時間以上かかるのではないでしょうか。
(3) 企業物価、8か月連続5%超上昇
1月の企業物価指数は前年同月比で8.6%上昇しました。企業物価指数の上昇品目の割合は66%で、さかのぼれる15年以降で最多となっています。原油価格が高騰した08年に企業物価指数の上昇率が5%を超えたのは4か月間でしたが、今回は8か月連続と1970年代の石油ショック以来の長さとなっています。指数の上昇をけん引しているのは素原材料なのですが、中間財や消費財へと値上げに広がりが出ています。
そのような背景があって消費財メーカーは次々に商品の値上げを表明しています。なかなか商品の値上げをすることができなかったので今回は原材料の価格高騰という明らかな理由があるので、どこも遠慮せずに値上げを表明しています。
「うまい棒」は42年間、税別10円でしたが、4月出荷分から12円になるそうです。主原料のとうもろこしや、植物油などの原材料高などが値上げの理由です。昨年、食用油の大手はすでに4回も値上げしています。春以降、次々と商品の値上げが生じます。
マイナス金利のため、預金に利子がほとんどつきません。年金生活者や低所得の人にとっては、厳しい状況になっていきます。小売業はディスカウント業態の開発・出店を増やすと思いますが、今回のインフレは、コロナ禍の中ですから、厳しいと思います。せめて預金に利子がある程度つくようになると年金生活者は助かるのでしょうが。
2、小売業・卸売業の動向
(1)ヤマダ、アマゾンとスマート家電で提携
ヤマダHDとアマゾンジャパンが動画配信機器を内蔵した独自のテレビ販売で提携します。2月17日、ネット動画配信機器「ファイアTV」を内蔵した国内初のスマートテレビを報道陣に公開、アマゾンは、同日から予約を受け付けています。ヤマダも店舗で3月5日から販売します。
スマートテレビは、音声操作だけで地上波やネット配信動画を見られる手軽さが売りです。年間販売台数の目標は25万台で、薄型テレビの国内出荷台数の5%程度を奪いたい考えです。
ただ、すでにファイアTVを利用している消費者も多いので、どの程度売れるのかが注目されます。もしも、予定通りの売上が達成されるようなら、今後、アマゾンエコーとつながる家電の開発などでさらなる提携が進むのではないでしょうか。
この提携には驚いたのですが、すでにアメリカでは、アマゾンとベストバイ(家電量販大手)が提携して、同じようなファイアTVを内蔵したスマートテレビを独占販売しているそうです。どうもそれが教科書のようです。
(2)7&I 百貨店(そごう・西武)を売却の方針
7&iが、いよいよ百貨店事業(そごう・西武)を売却する方針を固めました。早ければ今春(5月中)にも売却先が決まるのではないでしょうか。
そごう・西武百貨店を2000億円超で買収したのが2006年。完全子会社となった07年2月期にはそごう・西武合わせて28店舗ありましたが、現在は10店舗のみです。
どうして百貨店の再生ができなかったのか?いろいろと解説するコラムやら記事が出ています。そんな中、2つの数字が気になりました。➀90年代半ばに約550万円あった世帯所得(中央値)が2018年には437万円になっているという事実。➁08年度の百貨店事業の売上高を100とすると20年度のそごう・西武は42。それに対して三越伊勢丹は57、高島屋は65。➀は1億総中流と言われていた頃の世帯所得です。それが100万円以上少なくなっているのです。中流層が少なくなっていることを表しています。➁この数値の違いは富裕層の顧客基盤の差だといわれています。つまり、大衆百貨店(大衆を主な対象にしていた百貨がその存立基盤を失ってきていることを意味します。その代表がそごう・西武などだったわけです。また➁は富裕層を固定客にどれだけすることができるかが今後の百貨店経営のカギだということです。つまり、地方百貨店は淘汰されていく可能性が高く、大都市立地で富裕層を多く抱えている百貨店だけが生き残っていきそうだということです。
7&iは総合小売業から脱し、コンビニを中心に、北米を中心に、セブンイレブンをグローバルに展開していくことを今後の成長戦略としていることも確認されます。
(3) ワークマン、銀座に出店、都心部100店へ
ワークマンが、銀座4丁目の交差点からほど近い「イグジットメルサ」の5階に店舗面積約300㎡の「#ワークマン女子」を開業します。売上高は年6~7億円を見込んでいて、40~50代の女性の取り込みを考えているようです。このような商業施設内の出店は直営方式です。10年間で現在の2倍の40店に増やす計画です。そして、都心部の路面店はFC方式で、4~5年で40店程度開く予定です。それらを合わせ、今後10年間で、都心部で100店にする計画です。
ワークマンは、現在約940店で、都心部の割合は4%なのですが、今後10年間で10%にする計画です。都心部への出店強化は、➀ブランドイメージの向上につなげたい、➁認知度を向上させたい、➂訪日外国人需要の回復も見据えている、➃ネット通販の受取場所としての利用も見込んでいる、と言われています。
しまむらが都心部出店でつまずいたようにワークマンも、家賃の高さを克服できるのかどうか疑問な点もあります。また、ユニクロのように銀座出店が旗艦店の場合には、大いにブランドイメージの向上につながる可能性がありますが、商業施設の5階に出店したからといって、それほどイメージの向上につながるものか疑問な点もあります。このワークマンの都心部出店は、今後大いに成長する企業になるのか?やはり郊外で着実に出店する企業になるのか?踊り場であることは間違いないでしょう。
(4)三越伊勢丹、顧客別PLを導入
百貨店業の中でもテナント貸しの不動産ビジネスには慎重な立場をとっている三越伊勢丹は、「顧客別PL」を導入するそうです。顧客層ごとに販促費などを管理するという考え方です。たとえば、年間購買額100万円未満、100万円以上300万未満、300万円以上1000万円未満、1000万円以上という風に顧客を年間購買額によって分類し、それぞれの層ごとに販促費を管理するという考えです。
そのため、年間購買金額に応じた催事を開催する、優良顧客向けの専用バイヤーを新たに設ける(22年3月期に40人の専門バイヤーを任命)、などの対策を講じていくそうです。要するに富裕層対象の外商を強化して、コストもかけ、一般客への販促やイベントのチラシ配布などを止めていくようです。かつては年間70万円以上購入してくれる方が我が社のお客さまですとか発言していましたが、これからは年間購入金額が100万以上でないと三越伊勢丹のお客さまとはいえないようです。富裕層シフトは、欧米の百貨店も同じ動きなので、三越伊勢丹はその路線を歩むようです。これが日本で受け入れられるか?その点が注目されるところです。
(5)オンワード、1300店でネット商品の試着可能に
オンワードは、EC売上高比率を3割から30年までに5割に高める目標を設定しています。そのために、同社のECサイトで商品を選び、試着を希望する店舗と日時を入力すると商品を店舗に取り寄せられるようにします。1300店舗のほぼすべてが、試着可能店になります。そうすることによって、店舗は極力在庫を持たずショールーム機能を高めるようにしていきます。
アパレル各社は、季節ごとに新商品を発売し、大量に生産し、売れ残りはバーゲンで消化するといった手法が限界になっていることはすでにわかっています。今は、店舗にいかに在庫を持たせることなく、販売できるかを考えています。オンワードのやり方が成功するのか、アダストリアの実験(東京ベイららぽーと)がうまくいくのか、それとも店舗を
減らしていくのが正解なのか、五里霧中の中で、それぞれの企業が立ち向かっていこうとしています。
(6)コンビニ大手3社が過疎地で共同配送実験
セブンイレブン、ファミリーマート、ローソンは、過疎地での共同配送の実験を2月下旬に1週間行います。コンビニは、過疎地では生活インフラとして重要なのですが、店舗が散らばっているため配送効率が悪いのが実情です。ドライバーの確保も課題となっています。
そこで、今回、北海道函館近郊で共同配送の実験を行うことになりました。セブンとファミマ、セブンとローソンという2つの組み合わせで、同じトラックに飲料や食品などを混載して各社の基幹センター(札幌近郊)からサテライトセンター(函館近郊)に配送するそうです。また、サテライトセンターから函館西エリアの店舗にも共同配送します。セブンの2店舗とローソンの5店舗が対象となります。トラックの台数は3割削減できるのはないかと予想しているようです。
土地の値段は地域によって大きく異なりますから、首都圏などの都市圏での配送と、地方での配送を別に考える方が良いのではないかとかつてより思っているので、地方での共同配送はもっと多様に考えて導入すべきではないでしょうか。
(7)ミニストップ、海外事業を大幅縮小
5期連続で最終赤字の見通しのミニストップは、海外事業を大幅に縮小します。➀韓国で約2600店を展開する韓国ミニストップをロッテに約304億円で売却、➁フィリピンの持ち分適用会社、ロビンソンズ・コンビニエンス・ストアーズの全持ち分を現地合弁先に売却することにしました。昨秋には中国・青島の子会社も解散して事業を終了しています。残る海外事業は、約120店を展開するベトナムと中国・遼寧省での現地企業とのエリアフランチャイズ契約を残すのみとなりました。
国内事業の21年3~11月期の営業損益は12億円の赤字(前年同期は19億円の赤字)ですから、国内事業をどのように立て直すかが課題です。「手づくり弁当」や「店内調理の惣菜」などが好調と言われていますが、競争激化の中で中食市場対応を強化して、黒字にできるものなのか疑問ですが、今はその方針を徹底していくようです。
(8)毎日、大型トラック180台分の食品が廃棄されている
2019年度の食品小売業におけるフィードロスの発生量です。毎日、大型トラック180台分の食品が捨てられています。日本のフードロス全体の約10%くらいだそうです。
鮮度の良い商品を豊富に品ぞろえしないと商品は売れないわけですが、売れ残りも発生します。売れ残りで鮮度の悪いものは廃棄となるわけです。難しい問題です。このような難しい問題にチャレンジしている小売企業もあります。
たとえば、イオンはイギリスのテスコやアメリカのクローガーなど世界の食品小売大手10社で協働して「10×20×30 食品廃棄物削減イニシアティブ」を行っています。世界の大手「10社」が、それぞれ「20社」のサプライヤーを巻き込み、「30年」までに主要サプライヤーのフードロス半減に向けて協働するという内容です。
また、京都のスーパー「斗々屋」はユニークで、「ゼロ・ウェイスト(無駄をなくす)」を掲げ、店内にある700品目の商品を量り売りで販売しています。売れ残った食材は、値引きや廃棄を行わず、併設された飲食店で食材として使用、それでも余った食材は、瓶詰にして加工食品として販売することで食品廃棄をゼロにするというやり方をしています。
とてもユニークです。どの程度ファンがついているのかわかりませんが、このような店が今後増えていくのかもしれません。小売業の一部ですが、フォードロス削減に向けて工夫・努力しているところもあります。これらの活動が増えていくといいですね。私たちも購入した食品を捨てずに食べるようにしないといけませんね。
3、メーカーのチャネル戦略
(1)コカ・コーラ、チャネル限定で5月より値上げ
コカ・コーラの1.5リットルと2リットルのペットボトルの出荷価格がスーパーとドラッグストア、インターネット通販に限定して、5月より5~8%引き上げられます。通常は、出荷価格の値上げは一律で行うもので、チャネルを限定して出荷価格を値上げするのは珍しいのです。それだけスーパーやドラッグストアでは、コカ・コーラの大型ペットボトルの値引き販売競争が激しく、コカ・コーラも小売業も利益が出ていない状況にあります。それを少しでも改善したいという考えだと思います。あとは値下げ原資になっている販売数量に応じて小売店に支払う販売奨励金を今までどおりに支払うのか、これも絞るのかによって店頭価格が上がるかどうかは決まってくると思います。
コカ・コーラが、利益重視で行くのであれば、販売奨励金の出し方を変えるべきです。販売金額が下がってもよいという覚悟があれば、このリベートの使い方を変えることによって店頭価格を上げる方が長期的には望ましいのではないかと思います。
(2)コカ・コーラがマイボトル対応自販機を展開
日本コカ・コーラが、現在、USJやタイガー魔法瓶の社員食堂で、マイボトルに対応した自販機の導入実験をしています。強弱2種類の炭酸水、冷水、お湯、常温の計5種類で約500mlを60円で販売しています。
このようなマイボトル対応自販機を、2025年度をめどに500台程度設置する計画です。アメリカのコカ・コーラ社が30年までに世界で販売する飲料商品の数量ベースで25%を詰め替え可能なタイプに切り替える計画なので、日本コカ・コーラの取り組みもこの一環です。糖分を含むものはこのタイプの自販機では販売しないということなので、販売できる商品の種類は限られるようです。
(3)キリン、海外戦略の修正
キリンの海外戦略は誤算続きでした。11年にブラジルでビール大手を買収しましたが、業績低迷でそのブラジルキリンを17年に売却。オーストラリアのチーズ事業も21年に売却。22年2月にはミャンマーの国軍系企業とのビールの合弁事業を解消し、撤退することを表明しました。また、中国の「華潤麒麟飲料」は2011年に華潤6割、キリンが4割(330億円)出資してできた飲料の合弁事業ですが、この合弁会社の持ち分をすべて中国系ファンドに約1150億円で売却することになりました。珍しく海外事業の売却で利益が出て22年度に売却益約390億円を計上する見込みだそうです。
このように多くの海外事業から撤退しているのですが、順調なのはアメリカとオーストラリアでのクラフトビールの買収です。21年にオーストラリアのクラフトビール(ファーメンタル・グループを約400億円で)を買収し、アメリカでは20年と22年にクラフト大手2社を買収しています。22年の買収は、アメリカ・ベルズ・ブルワリーを約400億円で買収したものです。キリンの海外クラフトビールの販売額はキリン全体のビールの売上高の約1割となっていて、事業利益率も約2割と高いので、今後もアメリカのクラフトビールの買収を考えているようです。このようにキリンは、海外戦略を修正し、アメリカとオーストラリア中心にクラフトビール市場で成長していこうとしています。このように考えるまでに大変な教科書代を支払ったものです。
(4)味の素、ROICを基本に選択と集中を強化
「世界の食品企業トップ10入り」を目指している味の素は、ROIC(投資資本利益率)3%から23年3月期には8%、31年3月期には13%に引き上げる計画です。
そのために、すでに➀飼料用アミノ酸を手掛ける欧州の動物栄養事業を売却、➁21年秋に「ブレンディ」ブランドのボトルコーヒー事業から撤退、➂冷凍食品の工場は世界で19あったのですが、15に減らしました、このように利益率の低い事業は縮小や撤退を決めてきています。これをさらに徹底するそうです。商品の品目数も絞っていくことによって効率化を目指します。
その一方で、血中のアミノ酸バランスを基に、がんや認知症、生活習慣病のリスクを判定する「アミノインデックス」の事業をベースに規模を拡大して、25年度までに100億円規模に育てる計画です。また、消費者一人一人の状況に合わせた食のパーソナライズ事業を有望だと見て、投資していくようです。とりあえずはROICが23年3月期で8%になるのか注目されます。
4、その他
(1)世界の廃棄物処理コスト、年間166兆円
廃棄物工学研究所によると廃棄物の処理費用は30年までの10年間で、世界で1660兆円かかるそうです。年間166兆円です。そのため「捨てない」工夫が非常に重要になっています。
イギリスは、4月からリサイクル率30%未満のプラスチック包装材企業に税を課します。「包装材1トンで200ポンド(約3万円)を」だそうです。
欧州連合は21年からリサイクルしていないプラスチック包装材の廃棄量1㎏で0.8ユーロ(約104円)の負担を加盟国に求めています。
日本は、法はあるのですが実行力で劣っています。廃プラスチックのリサイクル率は2割台、EU平均の3割台を下回ります。
クリスマスケーキや恵方巻の予約制販売も食品廃棄を減らす小さな工夫です。コンビニで毎日、捨てられている賞味期限切れの食品をいかにして減らすか、毎年大量に廃棄されている衣料品をいかにして少なくするか、我々の身近にある商品の廃棄をいかに少なくするのか、いかにリサイクルするのか、国も地方自治体も消費者も本気で考えて、取り組む事案だと思います。
(2)サイゼリア、50店に配膳ロボ
飲食店での配膳ロボットの活用が本格化するようです。サイゼリアは、すでに10店舗に配膳ロボットを導入済みで、22年8月期中に50店舗に配膳ロボットを導入します。すかいらーくHDも22年中に2000店に配膳ロボットを導入する予定です。
アルバイト代の値上がり、従業員離れ、などもあり、また将来的な人出不足対策のため、配膳ロボットの導入は飲食店業界で普及しそうです。配膳・下げ善はロボットが担当、ロボットからお客に食事を渡す部分は従業員が担うという形が当分続くかもしれません。配膳ロボットは、1.2~3人分の役割を果たすと現時点では言われています。
外食にいくと配膳ロボットがいるのが普通の風景になる日も近いようです。
以上