(5)巣ごもり消費でネット通販が売れ行き好調
新型コロナウィルスの感染は、芸能界やプロ野球にも広がり、4月になって、留学生がどっとやってきたり、海外に行っていた研究者・学生が戻ってくるため、さらに感染は広がりそうです。
そうなると自宅で働いたり、学校が休みになったりで、家庭にいることが多くなり、巣ごもり消費が盛んになっています。そうなるとネット通販が楽なので、アマゾン、ロハコ、楽天、ネットスーパーなどが好調です。
(6)二毛作に挑むワークマン
ワークマンは、4月から加盟店の年間休業日数を4日増加し、22日にすることにしました。また、顧客がネット通販から注文した商品を店頭で受け取る場合は、加盟店の売り上げに計上できるようにするそうです。さらに、パートやアルバイトを募集する際に発生する求人広告などの費用もワークマン本部が支援することになりました。
そんなワークマンが、二毛作に挑みます。「W’sコンセプトストアさいたま佐知川店」を開業したのです。この店は、時間によって、ワークマンになったりワークマンプラスになったりします。
午前7時~10時及び午後4時半~8時はワークマンで、午前10時~午後4時半までがワークマンプラスになるのです。
「ワークマン」
・マネキンの背後にある電子看板は高所作業のもの
・照明は作業員らプロ客向けの無機質な昼光色
・BGMはロックやダンス調
「ワークマンプラス」
・マネキンの背後にある電子看板は突起物をつかんで壁をのぼるボルダリングをイメージしたもの
・照明は一般客向けのスポットライトを使った暖光色
・BGMはアコースティックな音楽
このように品揃えは同じなのですが、音楽、照明、電子看板を変えて、店舗のイメージを変えて営業しようとしています。
その理由は、女性客の増加です。商業施設内の店舗だと5割、路面店で3割が女性客になったのです。そおため、作業員たちから店に入りにくくなったという評価があるそうです。そのため、プロ客が多い出勤前の早朝と、仕事を終えた夕方以降はワークマンにし、女性客が多い昼はワークマンプラスにしようということです。
856店のうち、ワークマンプラスが157店になったのです。この二毛作を500~600店に導入したいようです。果たして成功するでしょうか?
(7)大手紳士服チェーンの業績低迷が止まらない
AOKI、青山、コナカ、はるやま、という大手紳士服チェーンの行政低迷が止まりません。スーツ離れ、消費税増税、暖冬、卒業式・入学式の中止など、紳士服チェーンにとっての逆風が続いています。大手4社の19年10~12月期の既存店売上高は軒並み前年同月比を下回っています。「スーツ量販店のビジネスモデルは時代遅れだ」と治山社長もおっしゃっているようです。また、紳士服業界唯一の希望の星と言われているオーダースーツの分野でも、AOKIは、今年の2月オーダー専門業態の「Aoki Tokyo」を全店閉店しました。「黒字化が見込めなかった」そうです。
そのため、大手4社は多角化に乗り出しています。AOKIは会員制複合カフェやカラオケ店の出店を強化しています。青山はフィットネス店併設の複合店に力を入れ、コナカはサマンサタバサを出資しました。
果たして、紳士服チェーンはどのようにすれば、企業として生き残っていけるのでしょうか?既存店をどのように活用していくべきなのでしょうか?
3、メーカーのチャネル戦略
(1)高アルコール缶酎ハイの市場拡大
缶酎ハイ市場で、高アルコール缶酎ハイが市場拡大しています。この10年間で、アルコール度数が6%以下の商品の販売量が2割増にとどまる中、アルコール度数が7~9%の高アルコール缶酎ハイは約5倍に伸びています。2018年には、販売量も高アルコール缶酎ハイが、6%以下の商品を上回りました。
「飲用量を抑えて手軽に酔いたいといった中高年世代の節約志向の需要をとらえた」のでしょうか?もう少し分析を進めてもよいのではないかと思います。この数年、ゼミ生から「酔うためのBBQ」とか「酔うための男だけの旅行」というフレーズを聞いて、今までにはないフレーズだと印象に残っています。「酔う」ことが目的だというのです。なぜ、そのようなことをしたいのか、これも分析を進める必要があると思います。 (2)温暖化対策でリードするダノン
数年前、ダノンの北米法人が、環境や従業員、地域社会など公益性を重視する企業に与えられる「Bコープ」の承認を取得したと発表しました。このBコープの承認を維持するためには、幅広いサステナブル基準を守る必要がありますので、ダノンの持続性に懐疑的な見方を示す人が多かったのです。しかし、同社は、その時、二酸化炭素排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すことを約束しました。その上、今年の3月には、2025年までに「カーボンポジティブ」を実現すると発表したのです。カーボンポジティブとは、二酸化炭素の排出量を吸収量が上回る状態のことで、カーボンニュートラルよりさらに踏み込んだ対策になります。
なお、ネットで調べると日本では、下記の5社がBコープを取得しています。
・石井造園(石井直樹社長・神奈川県横浜市)
・シルクウェーブ産業(小澤康男会長・群馬県桐生市)
・泪橋ラボ(鶴田浩史社長・東京都台東区)
・日産通信(福田博樹社長・東京都江東区)
・フリージア(五十嵐由佳社長・埼玉県児玉郡)
4、その他
(1)なぜトイレットペーパーは店頭から消えたのか?
新型コロナウィルスの感染が広がりを見せ始めた頃、SNSで広まった誤情報をきっかけにトイレットペーパーが店頭から姿を消しました。製紙会社や業界団体は、「在庫は十分」と強調したのですが、店頭では入荷するとすぐに売れて店頭から姿を消すという状態が一時、続いていました。今は、マスクは相変わらずですが、トイレットペーパーは店頭に並んでいます。
一時的に店頭から消えたトイレットペーパー。2月28日のトイレットペーパーの販売金額は、前週に比べて7倍まで急増したということが日経のポスデータで確認されています。需要が突然、急増したのですが、卸売業から小売店への配送が追い付かなかったのです。ティシュペーパーとかトイレットペーパーは、かさ張るのに販売単価が安いので、専門の卸売業が少量多頻度で配送しているのが実態です。小売店も場所をとるので、大量には仕入れないのです。そのような事情で、一時的にトイレットペーパーが店頭から消えたのです。
現代の消費財流通の特徴の一つは、需給調整の手段が在庫中心から素早い受発注情報の授受と素早い配送中心に変化してきていることです。あまりにも品目数が多くなったので、それらすべてを品揃えしておくことができなくなったため、現在は、小売店も卸売業もメーカーも在庫量を少なく持って、店頭欠品を出さないように素早く発注情報を授受し、素早く店頭に配送する仕組みを構築してきたわけです。
これは平時には合理的なのですが、災害が起きたり、突然の大量の需要が生じたりすると対応できないシステムなのです。
また、小売店が多く、便利なお店が多いので、ほとんどの消費者は自宅に在庫を持たない傾向にあります。消費者も小売店も卸売業もメーカーもそれぞれが在庫量を減らしながら、店頭欠品を出さない仕組みを作り上げてきたわけです。
これを機会に、消費者が自宅に食品や日用雑貨をある程度(1週間分程度)ストックしておいてもらうと災害に弱い日本の流通システムももっと対応力が増すと思います。
以上