「月刊 流通雑感」NO.179、2019年 8月号
《目次》
1、社会・消費者動向
(1)「トキ消費」とは?
(2)20歳代前半の男性で海外に行く人は女性の二分の一以下
2、小売業・卸売業の動向
(1)ドラッグ:成長の課題はいかに調剤市場を開拓できるか
(2)ネット通販で黒字は44.8%
(3)100円ショップの出店予定数:19年515店
(4)4年連続顧客満足度1位のセイコーマート
(5)ファミマ、時短検討したい48%
(6)2019年アメリカの小売業ベスト10
(7)ワークマン、発注は10秒
3、メーカーのチャネル戦略
(1)ネット通販チャネルはコスト増になる?
(2)飲料缶3社、価格カルテルで課徴金250億円
(3)資生堂、ドゥーエの配荷店を3倍に
4、その他
(1)食品を盛り付けるロボット
(2)ネット銀行のチャネル開発
フランスなどで40度を超えた日々が数日続いたようです。今年のヨーロッパは異常気象が極端に現れています。これは人間がもたらした異常気象だというレポートもでたようです。二酸化炭素の排出が多すぎるということのようです。それにしてもフランスでは、今でも個人宅ではエアコンのない家が多いのだそうです。そういえば、日本の富裕層がかつて、8月はヨーロッパで過ごすという方が珍しくなかったのです。それだけヨーロッパは、夏、涼しくて、日が長いものでした。
関東は、とても梅雨が長く、湿度が高い日々で参りました。しかし、8月は暑そうです。フランスのようにならないといいのですが。
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社会・消費者動向
(1)「トキ消費」とは?
「モノ消費(所有)」から「コト消費(体験)」と平成の時代はよく言われました。令和の時代は、「トキ消費」だと主張しているのは、博報堂生活総合研究所の夏山明美氏です。
彼女によると、「いまだけ、ここだけ」を楽しみたい「非再現性」、自ら関わりたい「参加」、成果を生み出したい「貢献」の3つの欲求があるそうです。この流れを「トキ消費」と呼んでいるようです。
最近の「○○フェス」の広がりと盛り上がりは「コト消費」では説明できないのではないかと考えたようです。わかるような、わからないような表現ですね。果たして、この言葉があちらこちらで用いられるようになるでしょうか?
(2)20歳代前半の男性で海外に行く人は女性の二分の一以下
2018年のデータですが、20~24歳の女性の出国率は40.5%で、前年比5.3%増加、一方、20~24歳の男性の出国率は18.4%で、前年比1.6%増加です。20~24歳の男性は、女性の二分の一以下なのです。他の世代ではここまでの差はありません。
海外に行かない20~24歳男性の声は以下のようなものです。
「興味がないわけではないが、わざわざ日本という快適で安全な場所から離れて一定期間生活するということに対する抵抗感が勝る」
「実際に移動を伴わずに世界中とつながれるようになったグローバル社会だからこそ、わざわざ住み慣れた土地を離れようという気にはならない」
この記事の解説には、「女子はインスタグラムなどを見て、よいと思った場所に友人を誘い、ぱっと出かける。一方、男子はわざわざ海外旅行するからには明確な理由を求めがちというわけだ」となっています。
海外にいかなければならないという訳ではありませんが、各種報道と実際に自分の目で見て、体験することは異なることが多いので、機会があったら海外にいくことは有意義なように思います。
私の印象ですと、女子学生は、社会人になったらなかなか海外にはいけない、結婚したらますます海外にはいけないので、行ける機会があったら行こうという気持ちではないかと思っています。男子学生は、行こうと思ったらいつでもいけると思っているような気がします。
2、小売業・卸売業の動向
(1)ドラッグ:成長の課題はいかに調剤市場を開拓できるか
ドラッグストアの成長が注目されています。今や、売上高7兆2744億円で、2万228店舗あるといわれています。その売上高構成比は以下のとおりです。
食品:1兆7038億円(23.4%)
日用品:1兆5402億円(21.1%)
化粧品・美容品:1兆5117億円(20.7%)
大衆薬・ヘルスケア:1兆3899億円(19.1%)
調剤:8858億円(12.1%)
その他:2430億円(3.3%)
売上高の44.5%にあたる食品、日用品はスーパーやコンビニと競合します。そこで注目されるのは、調剤です。調剤市場は7兆6664億円もあります。それに対応する調剤薬局は約6万店もあります。この市場のまだ11.5%しかドラッグはシェアがありません。
政府が、「かかりつけ薬局」の普及を政策的に推進しているので、在宅医療や土日営業への対応など、薬剤師の人数といった規模の大きい店に有利な施策なのです。そのため、今後、ドラッグストアの一層の成長が見込まれるのです。そのためには、薬剤師の確保が非常に重要になります。ココカラファインには2000人以上の薬剤師がいますので、マツキヨもスギもココカラと一緒になりたいのです。
今後、この調剤市場を中心にドラッグストアの再編が起こるのではないかと予想されます。
(2)ネット通販で黒字は44.8%
これは日経の「2018年度専門店調査」の結果です。ネット通販に取り組んでいるという回答は154社(回答企業は364社)で、そのうち、「利益が出た」という回答は44.8%で前年度調査よりも10.9%低下しました。
この調査では、プラットフォーマーに出品したのか、自社ECサイトを展開しているのかわかりません。7割は売上高に占めるネット通販の割合は10%未満と回答しています。
もしも、プラットフォーマーに出品している場合には、プラットフォーマーに手数料を支払わないといけないので、その分、収益率は悪化する可能性が高いわけです。
これからはネット通販を続けるかどうかの判断も必要になってくるものと思います。
(3)100円ショップの出店予定数:19年515店
出店を抑制するコンビニと比較して、出店予定数が多いことで100円ショップの成長性が改めて注目されています。
100円ショップ、現在の店舗数は7128店なのですが、18年度の出店数は537店で、19年度も515店が予定されています。最近は、食品スーパー、ドラッグストアなどが100円ショップを誘致しています。
100円ショップの平均来店客数は800人前後、ドラッグストアは700人前後なので、ドラッグよりも集客力があります。客単価は600円前後です。薄利多売のビジネスなので、人件費などのコスト削減には苦労しているようですが、一日、48万前後の売上高は魅力的です。
(4)4年連続顧客満足度1位のセイコーマート
サービス産業生産性協議会によるとセイコーマートは、2011年度以降、19年度も含め、コンビニ部門で顧客満足度1位に8回もなっています。圧倒的支持があるのです。
北海道では、セブンイレブン1010店で、セイコーマートが1091店です。北海道には179の市町村があるのですが、出店している市町村はセブンイレブンが120で、セイコーマートが177です。人口3000人未満の市町村の店舗数はセブンイレブン5店舗、セイコーマート36店舗です。セイコーマートは、このようにほとんどの市町村に出店し、人口3000人未満の市町村にも出店しています。人口が極端に少ない町村では、小売店はセイコーマートだけというところもあります。
2018年の北海道胆振東部地震の時は、離島を除き全域が停電し、スーパーなどから食料品が消えました。しかし、セイコーマートには災害時の自家発電装置があり、95%の店舗が営業を継続し、自社工場と物流網を早急に稼動し、地震発生から24時間以内に道内各地の店に飲料や日用品を提供したのです。道内のセイコーマートに対する信頼感、敬意はさらに強固なものになったのです。
しかし、なぜセイコーマートは、人口が少ない市町村にも出店できるのでしょうか?その理由はいくつかあります。
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セイコーマートの店舗の約8割は直営店です。そのため、契約によって一律に運営するというのではなく、地域の実情に合わせて、品揃えを変えたり、営業時間を変更したりすることができるのです。FC加盟店のロイヤルティも安いので有名です。
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セイコーマートは、メーカーとしての利益もあります。20以上の工場があり、そこで生産される商品は、セイコーマート以外の小売業にも販売されています。首都圏のスーパーやウェルシアにもセイコーマートのPBが販売されています。今や、外販比率は約1割です。このメーカーとしての利益がセイコーマートを支える一つの要因となっています。
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物流機能も自前でやっています。そのため、店舗への配送の帰りには、食品工場や農業法人に立ち寄って、荷物をセンターに持ち帰ることによって、低コストの実現を目指しています。
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セイコーマートは、コンビニが自然災害の被災地や過疎地などで社会インフラを担うべきだという思いがあると思います。そのため、セイコーマートで働く人達は、北海道の人達の生活を支えているというプライドがあるように思います。北海道に旅行にいくと私も必ずセイコーマートには立ち寄ります。