「月刊 流通雑感」NO.172、2019年 正月号
《目次》
1、社会・消費者動向
(1)文系学生も数学を
(2)「伴侶を介護したい」妻は3割
(3)地方で育つエシカル消費
2、小売業・卸売業の動向
(1)新日本スーパーマーケット同盟、誕生
(2)ローソンスマホペイ
(3)悪魔のおにぎり
(4)セブンイレブンの動向
(5)メルカリ欧州から撤退
(6)モバイルレジ普及か
(7)百貨店の閉店、続く
(8)良品計画、松井社長インタビュー
3、メーカーのチャネル戦略
(1)ロレアルの口紅が人気
(2)「マスマーケティング」から「スモールマス」へ、さらに「パーソナライゼーション」へ
4、その他
(1)GAFA
(2)2018年ヒット商品番付
(3)CASE
新年明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
箱根駅伝、東洋大学は、往路優勝、総合3位(11年連続3位以内)でした。総合優勝は東海大学。見事な優勝で、タイムを5分以上縮めた新記録での優勝でした。往路優勝の東洋大学も新記録、復路優勝の青山学院も新記録でした。とにかく速い。速い選手が多く、年々、新記録が続いています。このようなスピード時代に優勝するのは大変です。ましてや、10年も3位以内を確保することは大変です。東洋大学が往路優勝したのには、感動しました。
日々の監督、選手の努力に頭が下がります。
-
社会・消費者動向
(1)文系学生も数学を
12月1日の日経に、経団連が「文系の大学生も数学を学ぶべきだ」という提言を大学にするようです。現代では、当然の要望です。基本的な統計の考えを理解し、データ解析ができないと企業で通用しない場合が多いと思います。
東洋大学経営学部マーケティング学科では、1年生の時に、「マーケティングデータ分析入門」を必修にして、教員は工夫し、努力しているのですが、「マーケティング学科の学生なら1年の終わりには全員、重回帰分析ができる」という目標には程遠い状況です。どうしたら、それが可能になるのか?頭の痛い課題です。しかし、文系の学生も、数学はわからなくても、データ分析できるようにならないといけないと思います。
(2)「伴侶を介護したい」妻は3割
なかなか厳しい現実です。かつて「定年退職離婚」などといわれ、夫の退職と同時に離婚する妻がいたりしましたが、夫の退職後も一緒に暮らす夫婦でも、「伴侶を介護したい」という妻は3割(30、9%)で、「伴侶を介護したい」という夫は5割(53、4%)でした。
これは、オリックス・リビングが9月に40代以上の男女約1200人を対象にネット調査した結果です。もちろん、男性と女性の体格差がありますので、女性が男性の介護をするのは大変なのですが。これが現実だと思って、介護のお世話にならないように、できるだけ体操・運動・規則正しい生活を心がけないといけないですね。
-
地方で育つエシカル消費
エシカル消費については、この流通雑感でも注目し、何度も情報を提供してきています。でも、そのエシカル消費が生活に定着してきているようには見えないのです。と思っていたら、徳島県では、着実にエシカル消費が定着しつつあるのです。
「同じ商品なのにシールが貼ってあると30円高い。でも消費者はあえて高いほうを手に取る。」徳島県阿波市で2017年に始まった「うちの子もよその子もまちのたから」運動なのです。30円は地域の子育て支援に寄附されるのです。消費者が「少しいいことをした気分」になると評判になり、協力店が一気に広がったのです。寄附はあっという間に40万円以上集まり、地域で育児や介護を助け合うファミリーサポート事業の料金が引き下げられました。この運動は、アイスクリーム店を営む方が、個人で始めたことなのです。その方は「行政や企業ではなく地域の住民が主導してやることが大切」と述べています。
なんと徳島県では、県内すべての高校でエシカル消費に関する授業を実施しています。徳島商業高校は、カンボジアと連携した途上国の生産者に適正対価を支払うフェアトレードの取り組みで2018年に内閣総理大臣表彰を受賞しました。10月に、徳島県は「エシカル条例」を施行しました。
長野県は、2018年4月から5ヵ年の消費者施策で「県版エシカル消費の認知度100%」を目指すそうです。神奈川県や静岡県、鳥取県などでも様々な取り組みが始まっています。
エシカル消費が生活に根付いてくるかもしれませんね。そんな予感がします。それにしても徳島県は素晴らしいですね。
2、小売業・卸売業の動向
(1)新日本スーパーマーケット同盟、誕生
アークス(北海道地盤で5139億円の売上高)、バロー(中部地方地盤で5440億円の売上高)、リテールパートナーズ(九州・山口地盤で2289億円の売上高)の食品スーマー3社が、資本業務提携すると発表しました。株式を相互に持ち合うそうです。新日本スーパーマーケット同盟と名前をつけ、株式を持ち合うそうです。3社合計で1兆円を超える売上高になるので、調達や物流の連携を進めるといわれていますが、本音は、イオンや7&iとは異なる、地方の食品スーパーの集合体を作りたいのだと思います。そのため、「公開」型再編を狙っているとも言われています。ただ、丸紅とイオンが手を組んで、首都圏の食品スーパーを集めて、巨大な食品スーパー企業を作ろうとしたユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社(持株会社)も新たな加盟企業が出現していないのです。食品スーパーには、そのような難しさがあると考えられますが、2019年秋の消費税増税を契機に、もしかしたら食品スーパーが、新日本スーパーマーケット同盟やユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社に参加するようになるかもしれません。
(2)ローソンスマホペイ
ローソンは、ローソンスマホペイを2019年10月までに1000店で導入すると発表しました。2019年2月までに100店舗に導入予定ですが、その後も導入店を増やし、消費税導入前に1000店舗にし、レジの混雑を緩和して店舗運営効率を高めようとしています。
(3)悪魔のおにぎり
ローソンの悪魔のおにぎりが好評で、2018年10月に発売してから、2ヶ月で1300万個を売り上げました。おにぎりで20年間首位だった「シーチキンマヨネーズ」を上回るようになりました。そのため、「悪魔」のシリーズをパンや麺にも広げようとしています。
「悪魔のおにぎり」は、ご飯を白だしで炊き上げ、天つゆや青のり、いか天かすを混ぜ合わせたものです。だしと天つゆのうま味を楽しめるおにぎりです。
そのため、天つゆやだしを使った風味を生かしたパンや麺を売る計画です。
(4)セブンイレブンの動向
①セブンイレブンが、都内の1000店に店頭の灰皿の撤去を要請しています。来店者や近隣住民からの苦情が増えているので、それへの対応だそうです。店頭でコーヒーを飲み、タバコを吸い、たむろしているため、セブンイレブンに行くのが嫌になることがたびたびあります。是非、全国に拡大していただきたいことです。店頭の灰皿、灰皿とともに置くベンチ、どちらも撤去していただきたいものです。
②12月17にNECと共同でレジを無人にしたコンビニ店を開きました。顔認証技術を使って、入店や会計時に利用者を特定する仕組みです。レジは、客が自ら商品のバーコードを読み取るセルフレジです。今のところ、NECの社員しか利用できません。売場面積は通常のセブンイレブンの1割強、品揃えも弁当、サンドイッチ、飲み物など約400品目。セブンイレブンは、「利用客の限られた商圏に出店する時に活用したい」と述べています。
(5)メルカリ欧州から撤退
メルカリは、イギリスの子会社を解散すると発表しました。2019年3月にアプリの提供を終了し、欧州事業から事実上撤退します。赤字が続いていたそうです。アメリカのクレイグスリストやイギリスのデポップといった競合がひしめいているそうです。アメリカでも競合が多く、赤字が続いているそうです。
(6)モバイルレジ普及か
リクルートライフスタイルは「Airレジ」というアプリを配信しています。顧客数は、9月末で時点で、36万4千件と半年で3万件増えたそうです。
Ipadなどにこのアプリをダウンロードし、バーコード読み取り機やレシート印刷機などをそろえればPOS機能付きレジとして使えるそうです。総費用は10~20万円。据え置き型のPOSレジは50~100万円程度です。このモバイルレジの低価格は魅力的で、消費税は上がる2019年の秋に向けて、中小小売店などで普及する可能性が大いにあると思います。
リクルートライフスタイルは、販売データを受け取ることで基本機能は無料にしています。クレジットカード決済などのオプションもあります。
他にも、もちろんモバイルレジを提供する企業はいろいろとありますので、中小小売店や中小の飲食店を中心に、モバイルレジが普及するかもしれません。