◆複雑ではなく、シンプルに。

政府は増税による消費の衰退に講じる策として、軽減税率を導入しようとしています。これにより、消費税率としては標準税率としての10%と軽減税率としての8%と、2つの税率が存在することとなり、この時点で既に複雑さを醸し出しています。そして、軽減税率の対象となる食料品も、テイクアウトは適用、外食は不適用、酒類は不適用、玩具付菓子は条件によって別れるなど、複雑なものとなっており、小売店など会社や従業員に、煩雑な負担が係ることが必至です。このように、今回の消費税増税は、国民に経済的負担を強いるだけでなく、時間的コスト、心的ストレスをかけてくるという、民間の活力を損なうような悪政と言っても過言ではありません。

また、消費の冷え込み対策として、キャッシュレス決済の推進と共に展開するポイント還元がありますが、そもそもクレジットカードを持たない者は恩恵を受けられない、ポイント還元期間が9ヶ月と限定的、そしてそのポイント還元のために用意された予算2798億円も集中的なクレジットカード使用により9ヶ月間持つかどうかわからないなどの理由から、その実効性に大きな疑義を持たざるを得ません。

安倍総理大臣は先日、戸越銀座商店街で自らキャッシュレス決済の買い物を体験し、その利便性をアピールする機会としていましたが、実際には、中小企業や小売店、商店街のお店の方々が、キャッシュレス決済の機器を導入し、便利に扱えるようになるまで、経理的に大きな負担を強いることとなり、その導入と普及には大きな壁が存在するように思えてなりません。お店の売上規模とそれら負担やクレジットカード手数料などと果たして見合うものなのかどうなのか、現実的ではない事例が多くあるのではないかと考えられます。

日本企業の9割を占める中小企業の方々を本当に思いやるのならば、そういった手間をかけることなく、消費税を5パーセントにするといった、シンプルで分かりやすい減税こそが、必要なのではないのでしょうか。



◆マスコミが報じないため、国民一人ひとりが声を上げることが大切


今月の始め、公的年金を運用する機関GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が3ヶ月で14.8兆円の損失を出したとの報道がありました。
(朝日新聞デジタル、公的年金運用損、最悪の14.8兆円 昨年10〜12月
アメリカと中国の貿易摩擦が背景にある中で、同記事では世界的な株安が原因と書かれてありますが、日本の景気が芳しくないことにも起因していると考えられます。
消費税を8%から10%に上げた際に見込まれる増収分は、約5兆6000億円とのふれ込みですが、たった3ヶ月で増税額分の2,3年分が一気に吹っ飛んだことになります。
社会保障のために増税が必要というのが政府のスタンスですが、消費税を上げて計算上の5.6兆円を取りに行くよりも、減税をして景気を良くし、株価を上げて運用損失を出さないように努めるのが戦略的と言えるのではないでしょうか。

また、昨今取り沙汰されている厚生省の勤労統計不正問題についても、不正したこと自体に目が行きがちですが、不正がなかった場合の正しいとされる、実質賃金の伸び率が、長年あいも変わらずマイナスであったことこそが、真の問題意識とされるべきことです。ザ・リバティwebの記事『「実質賃金、昨年大半マイナス」が発覚 これは「消費税」問題だ』(https://the-liberty.com/article.php?item_id=15369)によれば、野党は、実質賃金伸び率のマイナスについてアベノミクスの失敗と断罪したがっているが、2014年消費税8%増税よりマイナスが顕著となっており、規制緩和を行ったアベノミクス政策が直接の原因とは言い切れないと指摘しています。
責任追及する野党も、消費税10%増税に合意しており、消費税問題について責めるに責められない立場にあるとしています。

そして、国民に民主主義的判断に資する情報を提供し、政府の監視機能を果たすべきマスコミも、新聞紙が今回の軽減税率の対象となっているため、消費税10%増税について、反対の声を上げないのです。
そのため、野党もマスコミも、真に国民のことを考えず、自らの立場が良ければそれで良しとしており、我々国民は置いてけぼりになっています。なめられているといってもよいでしょう。

そのため、この状況を打開するには、一部の学者や専門家(ex.嘉悦大学高橋洋一教授、京都大学藤井聡教授他多数)、しがらみの無い心から日本国民のためを考える有志がひっそりと声を上げるしかないのです。そして、この声を基に、国民一人ひとりが政府に反対し、NO!を突き付けるしかないのです。

どうか、我々の生活の為にも、減税による日本の経済繁栄のためにも、今回の消費税増税を共に阻止して参りましょう!
私が所属する政党においても、消費税増税反対の署名を受け付けておりますので、どうかご協力の程をよろしくお願い申し上げます。

牛田久信