バスで、電車で出会う幼子たちはお父さん、お母さんに連れられてきょろきょろしながら楽しそうに揺られている。幸せそうなそんな母娘を眺めながら心がなごむ。降りるときにはお母さんに手をひっぱられながら座席の私にむかって「バイバイ」と手を振りながらたどたどしい足取りの後ろ姿。きっと楽しいご家族なのだろうとうれしくなる。

一方、小学校3年生くらいのお兄ちゃん、まだ幼稚園にも行っていない様子の弟。そしてお父さんとお母さん。4人家族は久しぶりのお出掛の様子。乗っている4人は誰一人として声を出さず降りていきました。何だか寂しい気持ちになりました。

もうお分かりですよね。一列に座った四人は15分間、何もしゃべらず、六つの眼はそれぞれのスマホにくぎ付けだったのです。こんな光景はもう何回も眼にしていますので「ああ、スマホ家族か」といちいちがっかりすることもなくなりましたが、その家族にはとても腹立たしくなりました。

何故かと申しますと・・・・ お父さんの隣に座った弟君が小さな手で何度もパパの膝 をたたいて顔をのぞき込んでいるのに、パパは目もくれず、声もださず可愛いはずのわが子を無視し続けていました。弟君はとうとうあきらめて首を上げ目の前の「オレオレ詐欺の広告」 を一人でずっと眺めていました。

 

社会人としての生活がはじまったとき、最近盛んに心配されているコミュニケーション能力の貧困さは家庭生活にも問題が大ありだとつくづく思う事ですがそれはまちがいではないとおもいます。

わが家族のみんなで今日の出来事を話し合い、お互いの生活や友達関係を分かち合いながらのあたりまえの夕食は今もうれしい想い出です。教育機関が充実してもわが子の教育の原点はその両親と身近な家族にあると私はおもいます。どうか、どうか子供たちの10年後、30年後,いや一生に心を注いで大切に育てて参りましょう。そんな、父母と5人の兄弟、姉妹の家族を私は大好きでした。そして、私もそんな風に夫と子供たちと暮らした人生はじつに幸せでした。お互いの長所、短所を見つけ出し、かばい合いながらの生活は愉快なことも沢山うまれますから。与えられた出会いからたくさん教えられ、学びながら孫たちの会話にも加わっています。

若いご両親とご家庭に幸あれ!         ミセス ベル