女性のための法律コラム③ハラスメント防止法 | 一般社団法人兵庫県産業資源循環協会NEWS

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ハラスメント防止法の義務化の準備はできていますか?

 

パワハラ防止法とは
パワハラ防止法とは、正式名称を「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」といいます。…長いですね。
 

この法律は、労働者の雇用の安定と快適な職場環境を守るための法律であると理解していただければよいと思います。

ここでは、以後「パワハラ防止法」または単に「法」と呼びます。
 

2020年6月よりパワハラ防止のための措置を設けることが事業主の義務となりました。

中小企業の場合は2022年4月1日より義務化されます。


これに対して、セクハラの防止は、男女雇用機会均等法によって定められており、いわゆるマタハラは育児・介護休業法によって定められています。

 

どのような行為がパワハラにあたるのか
では、どのような行為がパワハラにあたるでしょうか。

 

パワハラ防止法が禁じているパワハラとは、職場における行為が前提となります。

そして、法は、パワハラ行為について

 

①優越的な関係を背景とした言動であって、

 

②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、

 

③その雇用する労働者の就業環境が害される

 

行為のことであるとしています。(法第32条の2第1項)

 

 

それぞれ①~③の行為の内容についてみていきたいと思います。

 

 

(1)優越的な関係を背景とした言動

 

「優越的な関係を背景とした言動」とは、例えば、上司が部下に対して、

上司であることを利用して行う言動のことをいいます。

 

 

(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの

 

「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」とは、社会通念に照らし、その言動が明らかに業務上必要性がない、またはその態様が相当でないもののことをいいます。業務上の必要性がある場合には、パワハラに該当しません。

 

 

(3)「その雇用する労働者の就業環境が害される」行為であること

 

「その雇用する労働者の就業環境が害される」行為であることとは、その言動により労働者が身体的または精神的に苦痛を与えられ、その労働者が仕事をしていく上で無視できない程度の支障が生じることのことをいうとされています。

 

そして、この判断に当たっては、「平均的な労働者の感じ方」を基準とするとされています。

これは、社会には、ちょっとやそっとのことでは気にしない人からデリケートな人まで様々なので、平均的な労働者を基準として判断しようとするものです。

したがって、とても繊細で傷つきやすい人については、「就業環境が害された」とする判断は出ない可能性があります。

 

 

(4)①~③すべてに要素を満たすこと

 

ある言動がパワハラであると認められるためには、①~③すべての要素を満たす必要があります。

具体例
具体的には以下のような行為がパワハラにあたるとされています。

 

※イラストは厚生労働省発行のサイト「明るい職場応援団」jigyonushi_panf_0821-1 (mhlw.go.jp)より

 

(1)精神的な攻撃



・人格を否定するような言動を行う。

・必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行う。

・他の労働者の前で、大声で威圧的な叱責を繰り返し行う。

 

(2)身体的な攻撃



・殴打、足蹴りを行う。

・相手に物を投げつける。

 

(3)過大な要求



・社員に必要な教育を行わないまま、到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったことに対し厳しく叱責する。

・業務とは関係のない私用な雑用の処理を強制的に行わせる。

 

(4)過小な要求



・管理職である労働者に対し、退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせる。

・気に入らない労働者に対する嫌がらせのために仕事を与えない。

 

(5)人間関係からの切り離し



 ・特定の労働者を仕事から外し、長時間別室に隔離する。

・一人の労働者に対し、同僚が集団で無視をし、職場で孤立させる

 

(6)個の侵害

 



  ・労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物の写真撮影をしたりする。

・労働者の機微な個人情報について、本人の了承を得ずに他の労働者に暴露する。


パワハラ防止のために会社ができること
(1)トップがメッセージを発すること

パワハラをはじめ職場でのハラスメントを防止するためには、組織のトップが職場のハラスメントは許さないという

明確なメッセージを示すことが重要です。

朝礼、社内報、就業規則等を活用してメッセージを伝えましょう。 

 

(2)ルールを決める(就業規則で明確に)

職場におけるハラスメント防止の就業規則を作成して、社内のルールを決めましょう。

就業規則で定めていないことは、懲戒処分の対象とすることはできないので注意が必要です。

 

(3)社内アンケートの実施

社内アンケートを実施して実態を把握しましょう。正直な回答のためには匿名で行うことが重要です。

また、同時に自己申告や相談できる窓口を設けておきましょう。

 

(4)教育

パワハラ防止のための管理者研修や従業員研修を行いましょう。