夜空に輝く星はみんな過去の姿で、どれ一つとして今の姿を見せている星は無いというのは良く知られている話です。
毎日見ている太陽でも8分前の姿だし、北極星などは430年前の姿で、ひょっとする今はもう無い星なのかもしれません。というかほとんどの星は、何千年も何万年も前の姿を今僕らに見せている訳ですが、ここまでの話はちょっと不思議だけどよく言われる話です。
所が、そこから先の話は何故か滅多に言われることはありません。その為、聞いたこともない人も多いと思います。
実は、北極星から放たれた430年前の光は、遠い北極星から地球まで430年もかけてはるばる地球まで到達している訳ですから、届いたた光は430年も前の古い光であると思われます。
ところが、光の立場から見てみると、アインシュタインの相対性理論によって光速に近づくにつれて時間は遅れはじめ、ついに光速においては完全に時間は止まってしまいますので、実は北極星からの光は一秒も経たずに地球に到達していることになります。
また、同じく相対性理論によって、北極星から地球までの光が通過する膨大な距離は、光から見ると光速で移動していることになるので、光速で移動する物体の長さは光速に近くづくにつれて短くなり、光速になると無限小にまで縮まってしまうので結局ゼロになります。つまり、光から見ると北極星から地球までの距離はゼロなのです。
ということは、北極星から放たれた光は、1秒も経たずに1メートルも旅することなく、瞬時に地球に到達している訳です。これは、どこから発せられる光も同じです。
つまり、光の視点から見ると時間も空間も存在しないということです。
逆に言うと、時間や空間というものは、光速以下の視点においてのみ生じるものであるということが出来るかもしれません。
北極星から来る光が430年も経っていると計測されるのはあくまで我々人間の運動状態においてであって、当の光自体には関係のない話であると言えます。つまり、時間にしろ空間にしろ、今の我々が計測しているものは我々の運動状態に固有のものであって、決して客観的なものではないということです。つまり運動状態が変われば広がる世界も流れる時間も全く違うということです。それが、相対性理論の意味するところです。
この宇宙は一体どうなっているのかまだまだ謎だらけですが、この光の話は沢山ある謎の中のほんの一つにしかすぎないのですが、考えれば考えるほど不思議な話です。
あまりに不思議過ぎて、しゃれにならないので、あんまりこの事は学校でも語られないし、物理の専門家でもあまり深くは追及していないようです