さて題材として面白いコメントを頂いたので記事にしてみました。その内容
とは、
差分 Σ(・ω・ノ)ノ!
についてです。確かに当ブログでは特に言及することなく差分の処理を至る
所でしていましたので改めて解説してみます。用語としても差分は大切なの
ですが今回は用語解説としてではなく処理としての解説に留めます。用語と
しての解説は改めて記事にしますね (^-^)/
【差分とは何を意味するのか?】
まずは差分の意味について解説します。意味は決して難しいものではなく、
単純に言葉通りに値と値の「差」になるのです。
次いで差分の意味を考えてみましょうか。差分とは、ある値と値との「差」であ
あることから、
差分 = ある値と値との間の変化の具合
となります。そして、値の役割によって「差分」が示す意味合いは微妙に異なっ
てきます。と言いましても大きく分ければ3種類でしょうか。
ⅰ) 時系列データの場合は変化量(前日比やサヤなど)
ⅱ) 元データと近似値の場合は誤差
ⅲ) 差分方程式における差分
ⅲに関しては難しくなるのでⅰとⅱを中心に考えて行きます。まず、純粋に変化
量としての差分の実例を示します。前日比なんてのが該当しますね (^-^)/
そして前日比とは現在時間の価格をT、ひとつ前の時間の価格をT[1]と表現しますと、
前日比とは、
T-T[1]
と表されます。ただ、この差分は時系列データの刻み単位に依存します。様々な銘柄
の変化の具合を比較したいのであれば銘柄の刻み単位は不便です。そこで百分率で
表して比較できるようにしたものが変化率であり、
(T-T[1])÷T[1]
となります。1つ前の時間における価格から現在の価格にかけて変化した値幅を前の時
間の価格で除算した変化率という意味です。これは移動平均線乖離率でもお馴染みで
す。そして変化率になったことで、銘柄の刻み単位に左右されることなく比較できるように
なりました。そして、この変化率は「単利収益率」と呼ばれます。
単利収益率が出てこれば連続複利収益率を解説する必要があるでしょう。単利と複利の
意味は以下の通りです。
単利・・元本だけに利子が付くとした場合の計算
複利・・元本と利子の合算に利子が付いていくとした場合の計算
そして複利の計算は、
となります。ここで対数が登場します。対数の利点は除算は減算、乗算は加算と計算が
単純化する点です。複雑な計算となる時には対数の利点が良く活用されますので覚えて
おくと便利です。一般的には対数の性質に関する解説は省略されることが多いですからね
え (;^_^A
そして金融の世界では複利で計算されることが多いのです。よって、変化量を求める場合
は複利の計算をベースに行うことが多いのです。
Log(価格)
と常に考えておけば行き詰まることはないと思いますよ ('-^*)/
次に近似値と時系列データの差分を具体例として観察してみましょう。時系列データと近
似値の差は誤差としました。誤差と表現する理由は、
近似値は時系列データの動きを簡略化もしくはパラメータによって再現した値
であるためです。理論値と表現すればわかりやすいでしょうか。近似値は時系列データに
限りなく近い動きをしていることが求められます。ということは、近似値と時系列データとの
差が小さい方が近似値は時系列データに近い動きをしていることになります。逆に差が大
きい場合は近似値が時系列データの動きを上手く表せていない状況が想定されることから、
誤差と表現されるわけです。具体例としては下図のような感じです。
この近似値は直線なので常に誤差が生じていますねえ。この誤差という考え方
は回帰分析における残差分析では一般的ですよね (^-^)/
参考 : 回帰分析
ということで、ある値と値との差である差分をとるということは分析において重要な
処理になるのですねえ。
【差分と微分と和分と積分と・・】
最後に差分という言葉が極めて数学的である場合の事例を簡単に解説しておきま
す。差分方程式という言葉を検索してみると数多くの数学系解説サイトがヒットする
と思います。実は、
差分とは離散的な世界での微分 Σ(゚д゚;)
参考 : 微分について
という側面もあるのです。対して離散的な世界の積分は和分と呼ばれています。この
両者の関係は、
微分 : 傾き(連続かつ微小な世界における変化の度合い)
積分 : 面積(連続かつ微小な世界における変化の度合いの集合=面積)
差分 : 変化量(離散)
和分 : 数列の和(離散)
となります。つまりデータの性質が離散か連続によって区分けされるわけです。ただ、
区分けされても本質的な意味合いは変わりません。ということで、差分とは本質的に
変化の具合 (ノ゚ο゚)ノ
を表すのです。
【市場分析において・・】
差分は市場分析においては非常に重要です。なぜなら、市場分析において重要な項
目は、
何がどのように変化しているのか?
を調べることだからです。変化を認識することで変化の原因を突き止めることが市場分
析であることから差分を考える事は必要不可欠なわけです。時系列データを直接分析
することに意味がないとは思いませんが、
変化の具合は差分より求め差分をベースに解析する
事の方が一般的かつ常套でしょう。ちなみに金融市場における価格は離散的ですが、
多くの理論では対数をベースに連続的に扱われます。こうした約束事も覚えておくと
様々な理論に触れる際に役立つかもしれませんね o(^▽^)o
最後に、差分を対数として表す処理は経済分野だけに限った話ではありません。あら
ゆる分野で普通に処理される一般的な処理です。その中でも特に経済の分野では、
価格帯が銘柄によって違うことや、価格の下限が0円に対して上限は無限大であるこ
とから特に活用度合いが高くなります。
差分を考える意味、この記事で少しでも理解が進めば幸いです!



