やっとこさ、設計事務所の面接に漕ぎ着けた。


どんな事務所かと思ったけど、多少古いが立派なピル。

もしかしたら、自分で設計し、建てたのかも知れないな。


中に入ると、以前はおそらくショールームも兼ねていたようだ。

今は、ある意味、倉庫かなって感じだ。


面接に入る前に、アンケートを書き込んで下さいと、事務の方から、一枚の用紙を渡された。


「げっ、なんか、書くんだ」


ほんの一時間半前に、自宅に連絡が入り、これからよければ面接にこれますか?って話だったので、あわてて出て、老眼鏡を忘れた。

比較的、大きな文字だったので、質問は何とか読めるけど、自分が書く文字は、ぼやけてしまうので、丁寧にかけない。


どうして、当社を選んだのか、自分の長所は、短所は、尊敬する人物は、これから世の中がどう変わっていくと思うか、など、結構、質問の数が多い。


一応、何とか書き終え、いよいよ、面接。


気さくそうな所長さんが出てきた。


一時間くらい話しただろうか。

今までの就職活動の事、これからの業界の事、仕事内容の事など、わりと、気楽に話が出来た。

でも、話をしていて気が付いたんだけど、事務所を存続させる為に、今までのままではダメで、何かをしなければならない。今のままではこの事務所もどうなっていくのかと言う状態のようだ。


じゃあ、なぜ、そんな状態で求人を出したのか??


その何かをする為の求人だという事だ。


「ん~、どうだろう、その考え」


話を聞いていると、今回の募集で、長野県やら山梨県から応募があったようだ。


「長野って、あの長野ですか?」


採用になったら、引っ越してくるって言っていたようだ。

地方で設計をやっている方。

大変なんだね。


『ところで、この、まるた、あ・・ん、あるげ・・・』


「マルタ・アルゲリッチです」


『って、誰なんです?』


「ピアニストです」


尊敬する人物を考え、建築家の名前を書こうとしたけど、別に、どれも、デザインが好きって事だけで、尊敬まではしていない。

じゃあ、誰を書こうと思案した結果、アルゲリッチおばさんが、ふと、浮かんで、そのまま書いた。

個性的な演奏で、音楽の考え方なども含めて、個人的に好きなんだけど、ちょっとウケ狙いで書いてみた。


『・・・そうですか』


結局、その項目はそれで、終わってしまった(笑)


面接の結果は、しばらく経ってから、連絡をしますって事で、終わった。


事務所を続けていく事は、今は本当に大変な時代なんだなという事は解ったけど、俺がそこで、何が出来るんだろう。

やはり、大手企業とは違って、自分から新しい物を求めていかないと、この事務所に対して貢献は出来ないだろうな。

いい加減な考えで、求人を出したわけではない事は解ったけど、ある意味、採用されたら大変だろうな。


今後の就活、かなり角度を変えて、動いてみるかな。