母親から、いきなり鴨川にある花畑に連れて行ってほしいと頼まれ、花畑を探しに出かけた。
鴨川は母親の実家から車で一時間弱だろうか、パソコンがあれば、どのあたりで咲いているのか、おおよそ見当が付くけど、ここにはパソコンも無く、何の情報も無く、行き当たりばったりで出かける事になった。
のどかな田舎は車で少し郊外に出ると、畑のあちこちで菜の花が満開。
昔はあたり一面、田んぼだったと言う。
今は、新しい家も増え、田んぼから畑に変わり、時の流れをかみ締めながら、しみじみ語っていた。
「そう言えば、俺が小さい時、確かに田んぼだらけだったな」
農業の事は詳しくは無いので、なんとも言えないけど、田んぼから畑に変えるって、何か理由があるんだろう。
「花畑って、どこにあるのかな。何とか花畑って、何か名前があるんじゃない。だいたい、それ、有名なの?」
『東京から、はとバスが出ているから、有名でしょう』
「で、どのあたり?」
『それがわかれば苦労はしないわよ』
確かに、おっしゃるとおりです。
鴨川周辺に着き、とりあえず、コンビニに寄って、店員に聞くと、地元の観光協会のパンフレットを出して、このあたり、全部ですって、親切に説明してもらった。
「ここから、9キロほど先だ」
『ふ~ん』
ふ~んって、あなた・・・。
ま、とりあえず、行ってみることに。
行ってみると、これが、見事な花畑だらけ。
すぐにわかった。
あたり一面、春の香り。春満開って感じだ。
基本は、花摘みって事なんだけど、母親は花摘みをするつもりはないらしい。
ストック、キンセンカ、ポピーと、一面に咲いていた。
狭い道にもかかわらず、大型バスが数台停まっていて、平日にもかかわらず、観光客も結構来ている。
主役はおば様方なんだけど、皆さん、楽しそうに花摘みをしていた。
一通り、花畑の中を散策し、母親には満喫してもらえたようだ。
一時はどうなるかと思ったけど、結果的には、来て良かったな。
なんだかんだと、役目を無事に終え、家に帰る為、高速に乗り、暫くすると、後部座席に乗せていたベルが急に、「げ~っ」って、なにやら、ただならぬ奇声を出した。
「ん?ま、まさか・・・」
そう、そのまさかが・・・。
ビニールのシートを敷いてあったから、良かったけど、初めてだ。
でも、あの独特の酸味のきいた匂いはしない。その代わり漂う匂いはドックフードの匂い。
ベルは、やってしまいましたっていう情け無い顔をしている。
「花の匂いがドックフードの匂いに変わったな」
春の香りはいろいろあります(笑)




