まだやっていますが,何が云えるのか,右往左往しています.

やはりマグマ溜まりの挙動の理解に役立てれば良いのですが,空き瓶でやる実験だと,どうしても初期状態が沈積したものをひっくり返して始めるので,そこから粒子がどのように沈下し始めるのかは「よく分からない」.

前にも書いたように,最初,大きい径(4mmφ)の粒子が落ちてきてそれに伴って小さい(1㎜φ)粒子が落ち,引き続いて粒子の集団が落ちるフェーズがあり,最後は1㎜φの粒子が分散した状態で落下する,というように3つのフェーズに分かれるのはかなり一般的なようです.落下速度は中期集団落下>初期落下>末期分散フェーズで,1桁づつくらい変わるようです.集団の中の粒子の構成(個数)を数えるのは映像からだけだとちょっと無理なようです.

水飴の場合,粘性が温度に敏感に変化するので,午前中,部屋の温度が上昇する時に実験をすると,瓶の熱伝導の時定数は20分程度なので,容器の壁や天井付近の水飴の粘性が下がってその影響が見られる場合もあります.水飴の粘性はまだ測っていませんが,文献によると1℃で約15%程度変化します(⒑℃で4倍程度).

あと,粒子がシリンダー状の容器内を落下する時は流体が上昇するために落下が妨げられて結構大きな影響があるようです(Faroughi and Huber, 2014 grlなど).昔から高圧での液体の粘性測定でカプセル中の粒子の沈降・浮上速度から求めるのにはFaxen correctionが必要というのと同じ効果だと思います.

マグマ溜まり内で結晶量の違う部分があると,その密度差で対流が生じて沈降が桁で早くなるでしょうが,結晶量の違いがどうやって生じるか,(1)冷却による周縁部では結晶がネットワークを作る傾向があるので単純にはいかない.途中で高温マグマが注入されると結晶ネットワークに入ってくることがあれば,結晶が溶融して結晶質の部分が不均質にバラケルことはありそう.(2)溜まりからダイクが上方へ入って脱ガス対流でも起こせば,その部分は結晶作用が進みバッチ状の重いマグマが生じる?(Kazahaya Shinoharaモデルで還流した脱ガスバッチがボトンボトンと) 

粒子Reynolds数について,Glazner(2014)Geologyが議論していますが,実験は天然の場合より少し沈降j速度・Reynolds数も大き目ですが,まあ近いので実際の落ち方(1時間経ったら少し変わってる)を実感できるかも知れません.
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