「僕の分身」
あなたはそう囁き
わたしの額に唇をあてた
あなたの車の中
密閉された空間
陽が落ちた後の水辺は
わたしたちを暗い闇に溶け込ませた
息苦しい狭い車内で
わたしたちは肌を合わせた
あなたは、
まだ開ききっていないわたしの身体を慈しみ
念入りに
わたしが震える部分を探し出そうとしていた
わたしは、指先と舌先の繊細な動きに
感覚を合わせていく
まだ微弱な快楽しか得ることは
出来なかったのだけれど
わたしはそれでも満足だった
あなたは一つ息を吐いて
肌を離した
わたしの肩を抱き
少し遠くを見る
「僕の分身・・・」
わたしをそう語り
口を閉じて、余韻に浸る
わたしは半身を寄せて
あなたの体温を感じていた
あなたの言葉の意味を考えながら・・・
わたしはあなたの分身?
あの時のあなたはどんな意味でつぶやいたのか
今でも分からない
もう11年が経った
あなたは今もまだ
そう思ってくれているだろうか
魂の片割れ、と
