世の中には、弱者を助けようとする正義感の強い人がいます。それは、強靭な権力を有して、物事を正当化し、弱者に従わせる。それに対して、少数派ではありますが、その権力に対抗して弱者を救済すべき戦う人のことを正義感の強い人とされています。
正しい理念と理想

 人間社会において、価値観や考え方の違いから正当とされる理念が変わってくる。生活環境にも左右され、現実を顧みて、理想を追いかけ、人それぞれの理念を構築する。その理念は、倫理観があり、法律に合致し、合理性があり、公正な道徳を備えたものでなければならない。それがあらゆる人に認められた正しい理念となる。これは、理想的な理念であるが、実際はここの利益を中心に物事を考えるので、正しい理念が曲げられる。

正義感

 曲げられた理念が罷り通ると、弱者にしわ寄せが発生して、不公正さを改善するために、心ある人は正義感をふつふつと湧き上がってくる。この正義感の心理的な感情をドイツの心理学者シュミット博士によれば、人間の正義感には大きく4つのタイプがあると言っている。まず1つ目は被害者感受性で、自分自身が不当な扱いを受けた際に沸き起こる正義感である。「それはちょっと違うのではないか」という感情です。2つ目は観察者感受性で、他者が不当な扱いを受けているのを目の当たりにした時に感じる正義感である。「困っている人を助けなければ」という弱者救済の感情。3つ目は受益者感受性で、自分だけが特別扱いされ利益を得た場面で感じる正義感である。「やった行動が正しいのだ」という思い込みから発生する正当性。最後に、加害者感受性は自分自身が他者に不当な行為を行った後に生じる自責の念に基づく正義感である。これは、不公平な立場に置かれた時に湧いてくる正当性。

 このように正義感でも人それぞれに感覚が違う。正義感を感じる人は感受性の強い人で、一般的にはその時の流れに混老頭されてしまうのが実情です。正義感があるからと言って、その感情を振り回すと、人間社会において障害が発生することもありうる。そして、ネガティブな思考に陥ることも。正義感を掲げるのではなく、心に秘めて置く必要。そして、建設的な思考で正しい理念を構築して、曲げられた理念を持つ人と対峙しなければならない。