李登輝さんとのご縁


〜先般、台湾の元総統・李登輝さんから私宛てに新書が届きました。お手紙には、私の著書を献本されたことのお礼や自分の近況、台湾の事情など、いろいろなことが書かれていました。それと一緒に、()李登輝さんの九十六年の生涯をまとめたDVD集が入っていました。()一言で言うと、「哲人政治家」です。〜『愛は憎しみを超えて』抜粋


〜その李登輝さんより手紙を頂いたわけですが、日本人よりも日本人的な方で、戦前のいちばんいい日本の、エキスのような部分を体現しておられる方だと思います。その方に、日本人の美徳をほめられると、「昔の日本人はそんなに立派だったのかな」と思い、本当に恥ずかしい限りですけれども、一部そのとおりだろうと思う面はあります。その部分を忘れて、「戦後の日本」を完全に否定するというか、全部が悪かったかのように言うのは、おかしいと思います。〜「愛は憎しみを超えて」抜粋


彼は、(略)学生時代には西田幾多郎などの本と読んでいました。また武士道精神については、『葉隠』なども読んでいましたし、新渡戸稲造からも学んでいます。(略)日本人の死生観として、まず、「人間は死ぬべきもの」と死を覚悟し、そして、どう生きるかを考えるというものがあります。〜「愛は憎しみを超えて」抜粋


(『葉隠』等、日本の思想書に見る日本の死生観に対し)ところが、中国のほうは、『論語』で有名な孔子でも(略)「どうやって生きたらよいか分からないのに、死んでからあとのことなど分かるものか」というようなことを述べています(略)李登輝さんは、「この差はけっこうある」と、明確に述べていました。〜「愛は憎しみを超えて」抜粋


そのため、日本人は嘘をつかず、誠実で正直です。例えば、軍隊においても、植民地になっていた台湾からでも、日本人と同じように将校に採用することもあり、その意味では差別はなかったということです。その為、台湾で兵を募ったときには、四百倍の応募があったといいます。

〜「愛は憎しみを超えて」抜粋

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これは、日本人以上に日本人らしいということでしょう。そういう人々がいたことを、李登輝さんは明らかに述べています。このようなところも含めて、戦後の左翼系のマスコミや、中国の北朝鮮や韓国などが言っている「日本人像」とは、そうとう違ったものが出ています。

(略)

李登輝さんは九十六歳(説法当時)なので、今後、それほど長くは活躍できないかもしれません。ですから、そういう方が残っているうちに、しっかりとした精神を遺さなければならないでしょう。

〜「愛は憎しみを超えて」抜粋