中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)は2月3日に総会を開き、精神科医療をめぐる診療報酬上の評価について協議した。このうち「精神病棟入院基本料」では、手厚い看護体制への評価として、来年度の報酬改定で「13対1入院基本料」を新設することで合意。また、現行の「10対1入院基本料」については、平均在院日数の要件を緩和する一方、入院患者の重症度に関する基準を設けることも決まった。さらに、急性期入院料の早期退院に対する評価に加え、5年を超える入院患者の地域への移行を評価する「精神科地域移行実施加算」なども点数を引き上げる。

 新設される13対1入院基本料の要件は、▽新規入院患者に占める重症者(GAFスコア30以下、または身体合併症患者)の割合が4割以上▽身体疾患への治療体制を確保している医療機関―の2点。また、10対1入院基本料では、平均在院日数の要件を現行の「25日以内」から「40日以内」に緩和し、新規入院患者のうち重症者(GAFスコア30以下)の占める割合を5割以上とする新たな基準を設けた上で、より短い入院期間への加算にシフトする。これらの変更に伴い、精神病棟の「特定機能病院入院基本料」についても同様に見直す。

■精神科急性期治療病棟入院料は施設基準を緩和

 「精神科救急入院料」「精神科救急・合併症入院料」「精神科急性期治療病棟入院料」の3加算については、入院期間「30日以内」の点数を引き上げることで、より早期の退院を評価。3加算ではまた、医療観察法上の入院処遇が終了した人の転院を受け入れた場合の算定を認めるとともに、受け入れた月は措置入院などと同様に、入院患者数の算定から除外して扱うことも決まった。さらに、精神科急性期治療病棟入院料では、全病床の7割以上、または200床以上を精神病棟で占めるか、あるいは特定機能病院とする現行の算定要件を廃止する。
 このほか、精神と身体の両方の疾患に対する治療を評価する「精神科身体合併症管理加算」も、点数を引き上げるとともに、13対1入院基本料が新設されることを踏まえ、算定要件を一部変更する。

■精神科地域移行実施加算も引き上げ

 精神科の慢性期入院医療に関しては、5年を超える長期入院患者を直近1年間で5%以上減少させた実績を評価する「精神科地域移行実施加算」(現行は1日につき5点)の点数も引き上げる。また、統合失調症患者に投与する抗精神病薬の多剤・大量投与に歯止めを掛けるため、現行の「非定型抗精神病薬加算」(同10点)を抗精神病薬の種類数で「加算1」と「加算2」に再編するほか、現行では患者の状態とは関係なく一律に評価している「精神療養病棟入院料」を見直し、重症度に応じた「重症者加算」を新たに設けることでも合意した。加算1の点数を引き上げる一方、加算2は現行の点数を維持する見通し。精神療養病棟入院料の本体については減点する。

■強度行動障害やアルコール依存症などで3加算を新設

 専門的な医療の提供が必要な疾患への入院医療体制を評価するため、来年度の報酬改定では、「強度行動障害入院医療管理加算」「重度アルコール依存症入院医療管理加算」「摂食障害入院医療管理加算」の3加算を新設するとともに、「児童・思春期精神入院医療管理加算」の点数を引き上げる。

 この日の総会では、13対1入院基本料について、診療側の委員から「重症者の割合を増やした方がよい」「在院日数で縛りをつくるべきだ」などの意見が出たため、厚生労働省側は今後これについて検討する方針。また、改定案で重症度の基準が設けられたことを踏まえ、今後の診療報酬改定結果検証部会でこれについて検証する方向で一致した。


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 長妻昭厚生労働相は2日、弱毒性とされる今回の新型インフルエンザに対して講じた対策の検証を行い、強毒性の新型インフルが発生した場合の対策を新たに検討する方針を明らかにした。長妻厚労相は「今回の新型インフルで見えた課題を検証し、備えを構築したい」としている。

 現在の行動計画は、平成15年ごろから東南アジアなどで強毒性の鳥インフル(H5N1)に人が感染し、死亡するケースが相次いだことから、鳥インフルが強毒性の新型インフルに変異することを想定し、17年に策定された。

 行動計画は新型インフルが発生した場合、飛行機内で検疫を行うことや、外出・集会の自粛などを規定し、感染拡大防止のため、国民の行動を大きく制限する内容となっている。

 厚労省は今回の新型インフルで取られた機内検疫や医療体制を検証し、新たな対策につなげる方針。

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