学生時代…
寝る間も忘れて我武者らになっていたあの戦い…
僕たちが、持ちうる知恵と技術、その全てを振り絞って挑んだ。
あの戦い…
四角いテーブルで
４人が向き合い、
白い煙が充満したあの空間…
１４個の直方体が作り出す組み合わせ。
無限に広がる想像の世界…
緻密な戦略と、多く経験を持つもののみが
『勝利』をつかみ取ることができる。
当初、僕は全く勝てなかった…
時間が経つにつれ、財布からお札が消えて行く。
今思えば可愛い金額かもしれないが、
その頃僕は貧乏美大生…
『毎月のインカムー生活費＝０』
の厳しい生活。
なぜあいつらばかり！！
何故勝てない！
ルールも完璧に覚えた。
あらゆる役も覚えた。
こんなもの所詮ギャンブルの１つ。
全てが運決まってしまう筈！！
でも勝てない…
連戦、連敗で
悔しくて、悔しくて泣き出しそうになった時…
ふと頭にあるアイディアが思い浮かんだ…
織田信長が自軍の10倍の兵力を持つ今川義元を撃退した桶狭間の合戦。
歴史上稀に見る大逆転劇で勝利を収め、
その後、天下布武の名の下に第六天魔王として全国を制圧していった…
誰もが知るこの戦における信長軍の勝因は奇襲攻撃であった。
では織田信長が勝利後の論功賞与において、
最大の勲功者として評価した人物は誰か？
それは、一番槍をあげた勇敢な武士ではなく、実際に義元の首級を獲った豪腕でもない。
それは簗田政綱という一足軽であった。
彼の役割は今川軍の場所を逐次監視し、
「織田軍の主力は篭城戦に持ち込む」という偽情報を流すこと。
言い換えれば情報戦の総責任者であった。
彼の適切な働きがなければ、義元の本隊の位置は、
司令官たる信長に知れ渡ることも無く、
奇襲で義元軍を撃破することは不可能であっただろう。
つまり、情報戦に勝つことが戦に勝つことだったのである。
これは情報化社会と言われる現代において益々顕著に現れている。
巷に溢れる偽情報…
僕たちを散々振り回し、騙してきたあいつらたち…
「持たざる者」は「持つ者」に打ち勝つことは出来ないという
絶対的な法則を前に僕たちは何もできはしないのか…
このまま引き下がることはできない。
どうにかしてこの底辺から這い上がることができるのか…
毎晩寝ずに、ひたすら挑戦し、
もがき、悩み、苦しんだ…
