日本の様々な側面で現れるであろう中空構造。



リーダーシップという面ではどのように現れるのであろうか。



戦前は、天皇という存在が、中空構造における空。つまり無為のリーダーで



周辺がバランスをとり、昨今の首相もその傾向が強かった。



ときに、やや西洋的な、周囲を統合するリーダーが出てきても、結局、長続きせずに



下ろされて周辺化し、中空構造に戻ったりする。



企業でも、相対的に日本は、統合型のリーダーが少ないのではと思う。



どちらかというとバランスを取るリーダーが多く、幹部の判断に多くをゆだねる。



合併企業の襷がけ人事は、中空構造の一つの例かもしれない。



ただ、良い面だけではない、危機的状況になったときに無責任体制が露呈する。



何か事件があったときに、誰も責任を取らず、曖昧なまま進んでいく。



また、中空構造は進入を受けやすい。ちょっとした事象で、中空構造に責任の矛先が



向けられることがある。



たとえば、今のアジア情勢の危機感。ちょっとした事象ではないかもしれないが、



これによって、より強力がトップが求められ、憲法改正や軍事力強化に進む。



中空構造は、こういった環境変化による危機意識に非常に影響を受けやすい。



天皇制は、中空構造のいわゆる空の象徴として、位置づけられ、外部からの



進入を防いできた側面があっただろう。事実、戦争終結に向けた天皇の働きや



戦後の日本の復興は、天皇制の維持によるところも大きいと考える。



ただ、それを乗り越える危機または、その象徴たる天皇を利用する動きがあった場合



脆くもその構造は崩れていくのである。



われわれは、日本人の特徴である、中空構造の良い面、悪い面をしっかりと



意識下に置くことが重要なんだろうと思う。



危機において、様々な観点を持つ周囲のリーダー達が、私利私欲を捨て、



自分たちの視点で論理的に話して、共同で結論を出していくことが重要なんだろう。