私は何度も聞いた。

「どうしたの?」

「私ってわかってる?」

「何故?」

それに対して彼は

「わかってる」

「かわいいよ」

とは答えたものの、何故これを強いているのかは答えなかった。

だから私は

「今度シラフの時に聞くから仕切り直しね」

と言った。

彼は頷いていた。



「かわいい・・・」

と言う彼に対して

「前から私の事、見ていたの?」

と聞いた。

彼は頷いた。

どうやら意識していたのは私だけではなかったようだ。

目が合ったりしていたのも偶然じゃなかった。

話す機会はなかなかないものの、私に特別な好意を抱いていたようだ。


「指、綺麗だね」

とも言ってくれた。

話す機会がないくらい指もまた見る、いや、意識する機会もなかったはず。

いつ見たのやら・・・

しかし、それくらい私のことを見ていたという証拠であろう。


とは言っても、お酒が入っての事、本心かどうかわからない。

ましてや、通常のパターンとは違う彼の行為に疑問符が付いていたが、私も酔っていたのでその時は深く考えなかった。


彼は自分と私のバッグを取り上げ歩き出した。

フラフラになった私は彼の腕につかまり歩き出した。

相合傘。

今度は彼が傘を持ち、その腕にしっかりとつかまって歩いた。

態勢が整った私は彼からバッグをもらった。


しばらく二人で歩いた。

本当に幸せだった。

ずっと心を寄せていた人と今こうして腕を組んで歩いている。

背が高いので随分上に手を出さなければいけない。

そんな事も嬉しかった。


ある交差点で別れた。

私はここからひとりで帰る。

彼はタクシー。