■ポンプ室内 揚水制御盤 水位制御不具合による改修 | ♪高橋裕美のブログ

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■不具合内容と暫定対策

 正月休みの最中に揚水が渇水だと言うエラーを発したらしく、市水が屋上の高架水槽に上がらなくなった。

 この市水を使用した揚水制御盤が左上図の様に1階にあり、制御盤を開けると右上図の様になっており中央部分に水位制御ユニットがある。

 この揚水制御盤にはギヤオイル回路も2系統あるが、回路図は無く配線に線番も全くない為に調べようが無く右上図の様に水位制御ユニットの参考接続回路を参考に調べてみた。

 各水位センサーには左上図の61F-11がセンサーアンプとして割り当てられており、地上の受水タンクに3つの水位センサーと屋上に4つの水位センサーが付いている様である。

 そして今回は地上と屋上共に渇水である事から、左上図の左上の2つが水位を検出出来ない様である。

 私が調べる前に渇水で使用しているU1とU2のユニットを交換しても変わらないと言う事から、渇水でOFFになってしまうのならば左上図の右上2つである満水のアンプと2つとも交換すれば動作するか試してみた。

 結果は幸いに動作する様になったが、満水になった時に満水警報が出なくなってしまう為に、改修まではこのまま使用しておき様子を見る事にしたが、水があっても渇水となる事から満水に壊れたユニットを使用する分には、普通に制御していれば満水にならない為にとりあえずは急いで改修する事にした。

 

■回路図の作成

 回路図は左上図の様に1枚だけあり【オイルギヤポンプ№1,№2】と記載されているが、当然線番は無く肝心の揚水部分の制御回路が全くない為に実際の配線から回路図を起こし線番が無い部分には付ける事にした。

 また、右上図の様に部品が追加されて改造途中の様な物もある為に、不要な物は全て撤去する事にした。

 回路は上図の様に盤内だけでなく右上図の様に扉部分にも操作部品が付いている為に、これら全ての接続部分に線番を取り付けて改修用としてだけでなく今後のメンテナンスでも使える様にする。

 線材は一旦カッチングダクトに収納されている物を左上図の様に全て取り出しておき、実際に線材を辿って行って線番を付ける事になるが、線番は線材に通すと時間がかかる為に右上図の様に圧着端子の根元に巻き付ける様にして取り付けておいた。

 これは、揚水ポンプの制御は一定時間止めてしまうと屋上の高架水槽が空になってしまい、棟全ての水が出なくなってしまう為に極力制御回路は生かした状態で回路を調べる必要がある。

 また、揚水等の回路電源を遮断する為には一旦制御を停止しなければならず、運転状態のままで電源を切ってしまうと何らかの警報が発生してしまい、開発棟の1~3階にある警報が鳴り出す為に注意する。

 その為に電源の入り切り時には、1階エレベータ横にある警報盤を確認しておき、警報が出ていないかどうかを確認しておく必要があり、ポンプ室内では全く警報の発生がわからない為に注意する。

 

■改修計画について

 左上図がこれまで使用されていた水位制御ユニットだが、現在でも販売されているものの年式からするといつ生産中止品となってもおかしくない為や、長期保管品だったりする事を考えると新しいタイプにした方がよい。

 寸法的にも左上図の旧式にと比べると右上図の様に幅が25mm大きくなっているものの、高さは115mmも低くなっており厚さも13mm以上薄くなっている他に、DINレール取り付けが可能な為に便利である。

 そしてポンプは2台あり交互運転を行っているがその為の電磁接触器も2つあり、左上図の様に頻繁に動作する為に既に交換して新しいタイプになっているのがわかるだろう。

 また右上図の様に水圧の振動を吸収する為かポンプの真上にはゴム配管の部分が若干動く様になっており今までの電磁接触器では結構起動時の衝撃があり、ゴムが傷みやすい感じがした。

 そんな事からもポンプの駆動にはインバータを使用して無接点化で加減速ができる様にする。

 ポンプで使用されているモーターを調べてみると、200V三相のモーターで1.5kW仕様であった。

 その為に、今回はたまたま旧型ではあるが未使用で長期保管品の2.2kWインバータがあった為に、右上図の様に元々大きな水位制御ユニットが配置されていた場所に2台取り付けて使用する事にした。

 インバータなので駆動周波数を変えられるのだが、左上図の様にモーターには50Hzとだけ記載されている為に60Hzでも動作させられないと思われる為に、インバータの設定で上限を50Hzにしておく必要がある。

 今回この制御盤ではギヤオイルポンプ№1,№2とギヤオイルポンプ№3,№4に揚水ポンプ№1,№2とあるがボイラーはだいぶ前から撤去して使用していない為に、左上図の様にパネル部分も2/3の部品が不要となる。

 その為に右上図の様にギヤオイルポンプ用の電流計は揚水モーターに1ずつ割り当て、元々の揚水ポンプ用の電流計はポンプモーターだけでなく制御回路も含めた全ての電流表示にする事にした。

 そして左上図にある進相用のコンデンサーは全て撤去し、揚水ポンプのモーターもインバータ制御に変更する為に進相用コンデンサーを取り外して通常の三相用モーターとして使用する。

 また右上図の様に電装盤内側の右側には端子台が追加されている

が、ほぼ使用されていない物と思われるが接続状況を確認して電装盤外に行っている線材は端子台に残して、取り外す回路によっては常時通電箇所があればジャンパー等を取り付けて処理しておく必要がある。

 

■実装部品の配置変え

 ギヤオイルポンプ関係は全て撤去する為に左上図にある4ヶ所の電磁接触器は配線と共に取り外す。

 そして揚水ポンプ用の電磁接触器はインバータ化が完了するまで動作したままにしておく必要がある為に、一旦電源を切ってから電磁接触器の配線を1本ずつ取り外してカッチングダクトを通っている部分を外してから再び電磁接触器に接続する事で、右図の様に線材が多少伸びる為に揚水用の電磁接触器を移動する。

 電磁接触器2つを廃止し2つを移設した部分には左上図の様に左右のカッチングダクト間にDINレールを取り付けて、新しいタイプの水位制御ユニットをDINレールに取り付けて固定する。

 更に左上図の従来の水位制御ユニットの下にあるリレーが右上図の様に実装してある為に、ここから揚水ポンプ制御用に関係する10XとT62に中央付近の33Xを左上図の様に新しい水位制御ユニットの横に移設して、ここのDINレールだけで揚水の水位制御とポンプ切り換え回路をまとめて分かり易い様にした。

 そしてリレーは全て200Vで制御されていた為に、インバータのON/OFF信号に間違えて200Vを入れてしまわない様に、左上図の様にポンプ2つ分のインバータ用リレーを2つ追加しておく。

 またギヤオイルポンプ用の回路で使用していたリレーが右上図の様に2つ不要になる為に取り外しておく。

 水位警報関係のリレーはそのまま再利用するが、錆等の懸念からDINレールをアルミ製に交換した。

 そして右上図の様にインバータアラーム用の2つのリレーも追加して、パネルの警報ランプを点灯させる。

 パネル関係ではオイルギヤポンプ関係が全て不要となった為に、右上図の様に表示灯と切り換えスイッチ類が1/3になり、電流計だけは再利用する為に配線替えで対応する事に。

 パネルの下側には左上図の様なリレー回路が追加されているが、調べた結果ではほとんどの接続先が無く一度は改造した様だが必要なくなり外した様な感じになっていた。

 その為に電源と24Vリレーはインバータアラーム用に使用し、200Vリレーはインバータ起動用に使用する。

 取り外した部品は上図の様に揚水制御盤の横にあるスペースに、線材と部品とに分けて置いておいた。

 これは水位制御ユニットは左上図の奥に見える消化ポンプ盤でも一部使用されている為に、もしかしたら交換して使えるかも知れない為に保管しておいた方が良い。

 また、操作スイッチや表示灯なども何かの回路追加や改造などの時に使えれば、そのまま取り外した部分に取り付けて使える為にしばらく保管して置く様にした。

 

■インバータ化と回路の完全移設

 そして左上図の水位制御ユニットの部分にインバータを取り付ける為に場所を空ける為に一旦取り外すが、揚水ポンプは長時間停止できない為に制御回路は生かしておく必要がある。

 その為に右上図の様に水位制御ユニットに接続されている線材を1本ずつ取り外してはカッチングダクトから引き抜き、全てフリーな状態にする事により右上図の様に端子台付近まで移動する事が可能となる。

 また接続されている線材で水位制御ユニットをぶら下げておくと線材が外れたり切れたりする為に、右上図の様に余った線材等でカッチングダクトに吊るしておく必要がある。

 そして今回使用したインバータはDINレール取り付けが出来ない為に、四方にあるネジ穴で固定する為にベースにM4のタップ穴を開けて左上図の様に2台を均等に配置して取り付ける。

 インバータは必要なパラメーターを設定してからでないと使用出来ない為に、先にインバータの電源だけを接続して通電して右上図の設定・表示器の下にあるパネル内のキーを使用して予め設定しておく。

 インバータの工場出荷時の設定からは上図の内容だけ変更しているが、パラメータの設定方法については別途【三菱インバータ  FREQROL-A024 取扱説明書】を参考にして設定する。

 上記表示の上下限周波数は今回使用しているモーターが50Hz用の為に本来は50Hzにしておいた方が良いが、試しに60Hzでもまわせる様な設定にしてある。

 運転モード選択については、インバータの設定表示器のスイッチから[↑][↓]キーで簡単に回転周波数を変更できる様にしてある。

 電子サーマルについてはモーターに6.3Aと記載されているが、電磁接触器に取り付けられているサーマルの設定が6.6Aだった為に、そのまま同じ6.6Aを設定している。

 一旦電源を入れて屋上のタンクに水を十分に入れてから再び電源を切り、上図の様にこれまで使用していた水位制御ユニットから新しく購入した水位制御ユニットへと配線を移し替える。

 今回の場合には幸いにも入出力共に全く同じ機能で同じ名称の為に間違いは無いと思うが、制御出力の容量が若干小さくなっている為に、電磁接触器のコイルを直接駆動する際には一旦別のリレー等で受け直してから駆動した方が良いだろう。

 また、今後のトラブル対応がし易い様に、右上図の様に各モジュールにある動作表示灯には何の検出表示なのかがわかる様にラベルシールで表記しておいた。

 インバータには左上図の様に電源の右側にモーターを接続して、その上段の端子台には起動とリセットや警報出力を接続するが、今回はインバータの下にあるリレーで警報出力を使用している。

 また、右上図ではインバータリセットスイッチを取り付けた様子だが、インバータが警報を発生するとこのリセットボタンのLEDランプが点灯する為に、ボタンを右回しにすると警報が解除される。

 リセットボタンは使用後には押しておく様にしないとインバータがリセット状態のままになってしまう為に、必ずボタンを押してリセット状態を解除しておく必要がある。

 インバータ警報出力には左上図の様に別のリレーを接続するが、こちらはDC24V用のリレーを使用して右上図の様に前任者が改造用に残して行った電源をそのまま流用して配線した。

 また、マークチューブ等を使用する際に便利な様に右上図の様に100V系統から電源を分岐して、15Aのブレーカとコンセントを用意して更に盤内用蛍光灯にも接続してある。

 盤内にも部品番号の表示が無かった為に全て表示した他に、パネル部分の表示もされていない部分があった為に、右上図の様に通電表示は電球が切れていた為に交換し、電源の系統表示を行った。

 空いた電流計は揚水モーターが2個ある為に別々の電流表示にした為に名称を変更し、未使用の部分は部品を取り外した上に銘板部分に未使用のラベルシールを貼り付けておいた。

 ただランプ関係は切れるだけでなく熱をもつと接触不良で点灯しなくなる為に同形状のLED電球を探すか、ランプ本体を買い直してLED化にするしかない様な気がする。

 パネル部分の配線で従来モーターの電流しか測っていなかったが、今回は元々の揚水電流計は水位制御ユニットやリレー関係の制御系全ての電流を測るように配線替えをした。

 また空いたメーター2個で各モーターの電流を測れる様に、右上図の様に元々の電流計から分岐して各モーター用の電流計の方に接続してからインバータの電源として接続する様にした。

 その為に左上図にあるスイッチやランプ関係のコモンについても、直接電源に接続するのではなく右上図の元電源用電流計の出力から分岐する様にした。

 

■今後について

 今回は制御系の不具合の為に制御盤の改修を行ったが、受水タンクや高架槽タンク内のセンサーについても故障してしまうのではないかと思われる状況である。

 上図は地上にある事務所棟と開発棟の間にある受水タンクだが、上の方にある点検口から見た図である。

 中には右上図の様に水位センサー用の電極が入れられており、見た感じでは錆等の発生は見受けられず電極間も樹脂で2ヶ所ほどキープされている為に問題無い様である。

 その電極を配線する端子を見てみたところ、左上図の様に二重にキャップがされているのにも関わらず右上図の様に端子ケース内にはかなりの水滴が付いており、端子ネジ・圧着端子・線材等が錆びたうえに緑色に腐食してしまっている為に、現在は大丈夫の様ではあるが接触状態に心配がある。

 電極を再利用できるとすると電極を取り付ける部分は上図の春日電機製のHS4Bを購入すれば入れ替える事はできるが、上図の各部名称を見てもわかる様に端子ネジがSPCCである事からいずれまた錆びるだろう。

 その時には接続している4芯ケーブルも交換した方が良いだろう。

 ステンレス製なので交換は不要と思われるが、取り外してみて再利用不可能な場合には以下を使用する。

 電極棒に関しては1.0m単位の販売の為に、2本ずつ用意して接続ナ

ットの上にセパレータを置く様にする。

 電極の長さは現在の物を参考にして切断する様にして、多少長さが変わっても水位が若干変わるだけの為に、±10mm程度まで位は大丈夫だろう。

 そして屋上にある高架水槽にも同様な水位検出センサーが取り付けてある。

 上図は屋上にある高架水槽タンクだが、こちらも上部にある点検口から見た図である。

 中には右上図の様に水位センサー用の電極が入れられており地上の入水槽タンクよりも電極が多く、見た感じではこちらも錆等の発生は見受けられず問題無い様である。

 しかしこちらの電極間にはセパレータが入れられておらず、もしも交換する際にはセパレータを追加しておいた方が良いだろう。

 上図の様に屋上の水位センサーはプラボックスに入れられているが、ホコリや水滴が付いている事から防水はできていない様で、更に水位センサーのカバーを開けても右上図の様に端子は錆びて湿気がある。

 こちらもネジ折れや端子破損とならない様に分解してみなかったが、いつ壊れるかは心配な所である。

 この屋上の高架水槽用の電極を再利用し水位センサー本体を交換する際には以下を使用する。

 もしも電極が再利用できるならば電極を取り付ける部分は上図のPanasonic電工のAF6502Kを購入すれば入れ替える事はできるが、おそらく端子や端子ネジがいずれまた錆びるだろう。

 この電極保持器を交換する時には接続している5芯ケーブルも交換した方が良いだろう。

 交換は不要と思われるがもしも錆等があれば、取り外してみて再利用不可能な場合には以下を使用する。

 電極棒に関しては1.0m単位の販売でカップリング付きの為に、2本ずつ用意してセパレータも使用して設置する様にするが、電極の長さは現在の物を参考にして切断し多少長さが変わっても水位が若干変わるだけの為に、こちらも±10mm程度まで位は大丈夫だろう。

 また、左上図の10Xであるラチェットリレーも古い部品でまだ販売されている様だが、もしも破損した時に部品が無くなってしまっていれば右上図の様な交互運転リレーを代用するしか無いだろう。

 これは起動の度に揚水ポンプの№1と№2を切り換えて運転させるもので、オムロン製ではラッチングリレーがこのG4Qしか無い為に、他のメーカーを探すか右上図の製品を使用する事になるだろう。

 また、今回の揚水制御回路の故障は30年も経っている為に老朽化によるものと思われるが、屋上にある高架水槽タンクが避雷針のすぐそばにある事から、落雷の分岐により水位センサーに枝分かれの可能性がある。

 そんな時には上図の様な落雷サージ器もあるが、今まで30年もったから大丈夫と言えるか、30年経って避雷針の接地抵抗が高くなり枝分かれし易くなったかは何とも言えないが、付けられる時に購入して取り付けておくと言うのも一つの手だろう。

 取り付ける際には3,4極用を地上の受水タンクのセンサーに使用して、5極用を高架水槽タンクのセンサーに使用すると良いだろう。

 

以     上