現DV法の真の姿(児童虐待防止法との比較4) | 離婚訴訟おぼえがき : 境界性パーソナリティ障害(BPD)とDV冤罪の深い関係

離婚訴訟おぼえがき : 境界性パーソナリティ障害(BPD)とDV冤罪の深い関係

境界性パーソナリティ障害(Borderline Personality Disorder)と覚しき妻と「黒弁護士」から、事実無根のDV冤罪訴訟を提起されてしまった夫が、DV冤罪訴訟やBPD等についていろいろ書いていきます。

それでは、児童虐待防止法・第一条の記憶が薄れないうちに、DV防止法の前文を読み解きたく思います。

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配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律・前文
 我が国においては、日本国憲法 に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、人権の擁護と男女平等の実現に向けた取組が行われている。
 ところが、配偶者からの暴力は、犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害であるにもかかわらず、被害者の救済が必ずしも十分に行われてこなかった。また、配偶者からの暴力の被害者は、多くの場合女性であり、経済的自立が困難である女性に対して配偶者が暴力を加えることは、個人の尊厳を害し、男女平等の実現の妨げとなっている。
 このような状況を改善し、人権の擁護と男女平等の実現を図るためには、配偶者からの暴力を防止し、被害者を保護するための施策を講ずることが必要である。このことは、女性に対する暴力を根絶しようと努めている国際社会における取組にも沿うものである。
 ここに、配偶者からの暴力に係る通報、相談、保護、自立支援等の体制を整備することにより、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るため、この法律を制定する。

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<読み解き>

児童虐待防止法が「説明」のみですんなりと流れていくのに対し、DV防止法はそうは行きません。繰り返し引っ掛かってしまいます。

0. 法律名

『配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律』
この法律は「防止法」ですし、「防止」概念には当然に被害者保護が入ります。
なのに、どうして「被害者の保護」という蛇足表現があるのでしょうか。

おそらく、どれだけ厚顔無恥な「例のタイプの連中」にとってみても、防止概念が全く含まれないこの法律に、「防止」を名乗らせることは、さすがに出来なかったのでしょう(苦笑)。


1. 問題提起(1)

『我が国においては、日本国憲法 に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、』
我が国においては、憲法において個人の尊重(憲13)と法の下の平等(憲14)がうたわれ、
※本来、「日本国」という特定は不要です。

『人権の擁護と男女平等の実現に向けた取組が行われている。』
人権(憲11,12,13)の擁護と男女平等(憲14の一部)に向けた取り組みが行われている。

※憲法第14条:すべて国民は法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

ここで、憲法第14条(平等権)の一部分(1/5)にしか過ぎない男女平等をクローズアップしてしまっているのは、「例のタイプの連中」ミスでしょうね。


※DV防止法(H13/4/13)が参考=パクり元とした「男女共同参画基本法」(H11/6/23)が、
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 我が国においては、日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、男女平等の実現に向けた様々な取組が、
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という前文を持っているせいで「片寄っている」という批判を受けていたので、『人権の擁護』を加えてフォローしたつもりになったのでしょう。

本来なら、「男女平等」は「法の下の平等」に含まれるのですから、『法の下の平等を実現するための男女平等への取り組み』とでも書き直せばよかったのでしょうが、そこまでの知恵は回らなかったようです。


2. 問題提起(2)

『ところが、配偶者からの暴力は、犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害であるにもかかわらず、』
ところが、配偶者からの暴力は、刑法罰を受ける行為を含むほどの重大な人権侵害であるにも関わらず、(私的領域にある or 親告罪であるため)

※文章が混乱しはじめますが、まだ破綻していません。
児童虐待と同じく『家庭内(私的領域)にあるため、フォローが足りない』という話は、納得感のある主張です。

ですが、この次からおかしくなってきます。


3. 問題提起(3)

『被害者の救済が必ずしも十分に行われてこなかった。』
(刑法犯による)犯罪被害者のような救済が行われてこなかった。

※あれれ!? 問題視するのは「救済」だけ? 「防止」は? 「禁止」は?


『また、配偶者からの暴力の被害者は、多くの場合女性であり、』
配偶者間暴力の被害者は多くの女性と(皆無ではない男性)であり、

※女性が「全ての場合」でないなら、ここで男性被害者の存在を認めていると言えます。ここで、男性被害者の問題を捨象することは、冒頭の『法の下の平等(憲14)』にいきなり違反してしまっています。


『経済的自立が困難である女性に対して配偶者が暴力を加えることは、個人の尊厳を害し、男女平等の実現の妨げとなっている。』

経済的弱者であることが多い女性が暴力の被害者となることは、その女性の尊厳を害し、男女平等の実現の妨げとなっている。

※文意がズタズタですが、好意的に解釈してみます。
この部分は、DV防止法の施策がアファーマティブアクション(特定のグループに下駄を履かせる)であることに対する「対象者は経済的弱者なので」という弁解です。

もちろん、「経済的強者である女性の存在」や、「経済的要因以外で害された尊厳を取り戻さないのか」という疑問は完全に無視しています。


4. 問題提起(4)

まだ「問題提起」が続きます。

『このような状況を改善し、人権の擁護と男女平等の実現を図るためには、配偶者からの暴力を防止し、被害者を保護するための施策を講ずることが必要である。』
これは完全に無駄な文章です。問題提起(2)と(3)を繰り返しているだけです。

『このことは、女性に対する暴力を根絶しようと努めている国際社会における取組にも沿うものである。』
これは一見する限り事実のようですが、外国とは「どのように根絶しようと努めているか」の方法論が全く違うので、ここで主張するような話ではありません。
(さすがに前文でウソをついてはいけませんよ・・・・)


※そればかりか、どうしてここで「国際社会における取り組み」を出さなきゃいけないんでしょう???

冒頭部で「日本国憲法」を出しているのだから、権威付けとしては最強のものを持ってきているわけです。
そこにあえて「国際社会」を引き合いに出してくることから「例のタイプの連中」がどのような姿勢を持っているか、かなり浮き彫りになってくるのではないでしょうか。


5. 本法の役割・目的

児童虐待防止法にはあった「禁止」「事前防止策」「義務と責任の主体」「事後対策」を全く書かないまま前文が終わってしまいます。

『ここに、配偶者からの暴力に係る通報、相談、保護、自立支援等の体制を整備することにより、』

おどろくべきことにすべて事後です。「禁止」もしていません。
長々と書くわりに「配偶者からの暴力」を憎んでいないように見えます。
施策に関する「義務と責任の主体」も明言していません。


はい。『事前防止策』を一切含まない「防止法」がここに成立しました。

これは、我が国の立法史上の椿事快挙だと言えるでしょう。

※どれだけ好意的解釈をしようとも、DV防止法に含まれるのは、一度被害を受けることを前提とした「再発防止策」のみです。


『配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るため、この法律を制定する。』
事前の視点が完全に欠けているのに、「防止」と書ける厚顔無恥さにビックリです。



<解説>
もう本当に面倒ですが、児童虐待防止法と対称形にするために、ざっと解説することにします。

1. 文章の大ワク

ズタズタです。
どうズタズタか、わざわざ論じる必要ないくらいですよね。
憲法ではじめたのはいいのですが、「諸外国」みたいな中途半端な権威を持ち出したので、憲法で閉じることができなくなってます。

2. どれくらい悪いことか
「犯罪となる行為をも含む」という表現です。あまり「行為への憎しみ」が感じられないのは自分だけでしょうか?
(そりゃあそうでしょうね。そもそも利益誘導のための「こじつけ」用ですので、憎しむべき行為がないことは策定者も承知していたのでしょう)

3. 施策の力点
隠そうとしても「事後」「女性限定」「アファーマティブアクション」なのが漏れてます。

4. 定められている事項
特になし

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途中で嫌気が差してきたせいで急いで切り上げてしまいましたが、これでも充分に

DV法=うんこ


だとご理解いただけたんじゃないでしょうか。


以上です。
長ったらしいエントリにお付き合いいただき、本当にご苦労様でした。

(逐条解説は書き溜めているので、順次アップしていけると思います)