わたしたちは誰もが
生まれた時に与えられた
「枠組み」の中で生活してます

しかし
その枠組みが
本当に自分にフィットしているかどうかは
人生という長い旅を進めてみなければわかりません

わたしにとって「性自認」とは
決して最初から決まっていた不動のゴールではなく
身体の変化とともにゆっくりと
時にダイナミックに変化し続けてきた
愛おしいプロセスそのものです

男性として生まれ
元々の性自認も男性だったわたしが
身体を女性化していくプロセスの中で
どのように心のあり方や性自認も
女性へと変化していったのか

これまで歩んできた内なる旅路と
その時々の心の機微について書きます


社会的な役割や周囲からの期待に応えるように
わたしは長い間
男性としての人生を歩んでいました

仕事に邁進し日々の充実感を得る一方で
どこか心の奥底には
言葉にならない「ズレ」や
自分という存在の輪郭が
本当にこれで正しいのだろうかという
かすかな違和感が澱のように溜まっていました

そんな迷いからか
特定の女性と交際せず
独身生活を楽しんでました

当時は
その違和感の正体が何であるかを
明確に言葉にすることはできませんでした

男性としての自分に
決定的なNOを感じていたわけではなかったからです

この時期は
自分自身のセクシュアリティを
深く探求するというよりは
与えられた枠組みの中で懸命に生きるだけで
精一杯でした

仕事に注力していて
心の余裕なんてありませんでした


人生の大きな転機となったのは
身体を女性化していくという選択をしたことでした

最初は
外見や身体のラインが
少しずつ変化していくことへの
純粋な喜びや心地よさを
感じることから始まりました

しかし
身体の変化は単なる見た目のアップデートに
とどまりませんでした

不思議なことに
身体が女性に近づいていけばいくほど
わたしの内面にある意識や性自認そのものも
驚くほど自然に
そして深く女性へと傾いていったのです

「身体が変わることで
心もここまで変わるんだ」

それは
自分でも想像していなかった新鮮な驚きでした

男性から女性へという二分法の間で
わたしの心は豊かなグラデーションを描きながら
変化していきました

ある時期は
その急激な変化に戸惑い
自分のアイデンティティが
揺らぐのを感じたこともあります

しかしその揺らぎこそが
身体と心が対話を重ね
本当の「わたし」へと統合されていくための
極めて前向きで創造的なプロセスだったのです


身体と性自認の女性化が深く結びつき
さまざまな揺らぎを経て
この頃のわたしは
「女性であること」
への誇りと心地よさを
心から実感できるようになりました

特に
身体の女性化が進んだことで
ファッションや美意識を通じた
アイデンティティの表現が
何倍も深く楽しいものになりました

レディース服と
自分のボディラインを
最大限に引き出してくれるSalute
を身に纏うこと

わたしにとっては
女性へと生まれ変わった自らの身体を愛し
そのしなやかさと強さを祝福するための
極めて精神的で大切な営みでした

かつての男性としての記憶や経験も
決して無駄なものではありません

それらすべてを内包した上で
女性としての人生を自分らしく
エレガントに謳歌していました

わたしの性自認の歴史は
身体の変化とともに歩んだ
「揺らぎと進化の軌跡」
でした

性自認とは
決して固定されたものではなく
身体のあり方や日々の心地よさに寄り添いながら
流れる水のように形を変えていくものなのだと
身をもって知ることができました

ジェンダーフルイド」とは
性自認を「女性」または「男性」に固定せず
状況や心理状態により
性の認識が流動的に行き来することです

その揺らぎを経験したからこそ
わたしは自分自身の小さな変化にも敏感に
優しく寄り添えるようになったのだと感じています

これ以後わたしは
自分の内なる声と身体の感覚に耳を傾け
変化を愛し
グラデーションの豊かな色彩を楽しみながら
「わたし」という唯一無二の物語を
美しく紡いでいくのでした