眼下に広がる街並みの
幾重にも連なり繋がる様は
誰かが拵えたおもちゃのよう

街の向こうの海の先
視線を見やれば
微かに靄揺らめく
景色がぼんやりと

ぼくの意識もなにやら
ぼぉーってなってきて
奇妙な無限実感に誘われる

曇天にそよぐチョッピリ風が
頬を撫でるたびに
ぼぉーとなった意識を
足元の地面に引き戻してくれる

高台から街なかへ移動して
商店街を覗いてみれば
たしかにそこに住まう人々の
活き活き生きている生活臭が
そこかしこから漂ってくる

商店街を闊歩して
行き交う人たちとすれ違う

顔をチラ見してみれば
それぞれがそれぞれに
想い思いを高揚させて
つれと笑顔を交わし合っている

ふと路地に目を移せば
人影まばらで
シャッターがさみしげで
別の空間を醸し出し
どこか見知らね街へ
繋がり誘う道のよう

今日出会った景色の色々は
ぼくの心を彷徨わせ
心地よい余韻を残してくれた

生活つなぐ渡し船の音が聞こえる