2024年3月21日(水祝)、兵庫県尼崎市 あましんアルカイックホールにて行われた演奏会を鑑賞しました。都合により終盤の8団体は聴いていませんが、特に印象に残った団体についてレビューしてみるとします。
♪マードックからの最後の手紙
「綺麗な音ってやっぱりいいなあ」と思わせる演奏でした。冒頭からClとSaxのふくよかな音色が会場を優しく包み込んでいました。Flのソロと、舞台下手に配置されたPianoのデュエットもすばらしい。強奏時でもソフトで丁寧な音作りをされていましたが、金管とパーカッションのパンチがもう一押し欲しい気もしました。
♪カンタベリー・コラール
目視で数えたところ15人という小編成。コラールの冒頭はパーカッション奏者がピアニカで旋律を演奏されていましたが、このピアニカが非常にまろやかな音色で、パイプオルガンとハーモニウムが合わさったようなサウンドを生み出していました。Cl・A.Sax・T.Saxの音色や主張が突出してサウンドが乱れかける場面でも、サイドに配置されたダブルリードとEuphが上手くカバーしていました。ゆったりとしたコラールの中にも推進力があり、集中力の高い演奏でした。
♪エル・キャピタン
金管楽器が少ない編成でのマーチは無理があるのではないかと思いましたが歯切れの良い、とても楽しいマーチに仕上がっていました。パーカッション奏者2名が終始楽しそうに演奏されていたのが印象的です。舞台中央に配置されたスネアドラムが音楽的で、テンポキープも素晴らしいです。素早い指揮の指示に対しても、スネアが即座に反応してバンドのダイナミックコントロールをリードされていました。この辺りがバンド全体で意識され揃うと、よりまとまりのある演奏になるかと思います。
♪朝鮮民謡の主題による変奏曲
40名程の編成。まず冒頭を楽譜通りのテンポで演奏されていたのがうれしいポイント(ここを過度に遅く演奏するバンドが多いこと…)。テンポアップしてからは埋もれやすい木管の細かい動きが鮮明に聴こえていました。Tpのソロはたっぷりと歌い込まれていました。複数のモチーフが絡み合う終結部もよく整理されており、安定感抜群です。難をつければ安全運転だということになるのですが、ダイナミクスをつけるにしろ、遊び心を入れるにしろ、聴き手としては今このままの安定感は今後も大事にしていただきたいと思います。
♪吹奏楽のための「風之舞」
冒頭はClではなく、T.Saxを効かせ気味にしており新鮮でした。パワーだけでなく柔軟でしなやかな部分も兼ね備えたバンドですね。力強く豊かなサウンドです。随所に出てくる各ソロが若干精彩を欠いたのが惜しかったですが、全体的には細かいミス等は気にならないほどまとまっていました。
♪吹奏楽のための第7組曲より第3楽章
ブラスのサウンドに適度な重みがあり、重厚感のあるマーチでした。