兵庫県大会 一般の部の観覧記です。都合により第3ブロック終わりで会場を後にしました。

座席は審査員後列の中央あたりに座れたので、ブロックごとの聴こえの差はあまり無いかと思います。


1.加古川東高等学校OB吹奏楽団【銀】

Tp4本に対してTb6本という編成だったので全体的にTbのサウンドが突出していたものの、統率された「レトロ」でした。場面転換でのテンポの迷いが改善すると、より好印象です。自由曲では2本ずつのOb・Fgのサウンドが効果的に活用されていました。アップテンポの箇所の縦の乱れが気になりましたが、終結部の全体のバランスは良かったです。


2.吹奏楽団「湊」【銅】

課題曲のテンポがどんどん速くなるのは要注意です。パーカッションが前方寄りに配置されていたからか、バランス過多に聴こえました。自由曲は冒頭の悲壮感漂うObソロ印象的でした。やはりパーカッション(特に金属系)のバランスが気になります。


3.神戸高校OB吹奏楽団【銅】

前団体同様、課題曲のテンポがせせこましいのが気になりました。トリオの弱奏部は落ち着いて丁寧な表現がなされていました。自由曲は付点のリズムの詰まりと、強奏部での発音が音程の乱れに繋がるのが要注意です。個人的に懐かしい選曲にほっこりしました。


4.甲東ヌーヴェルヴァーグ・ウインドオーケストラ【金・代表】

推進力のある課題曲で弱奏から強奏まで安定したサウンドでした。アリアのアンサンブルではより柔らかいニュアンスで表現されると良いかと思います。再現部からのスネアがやや不安定だったのが気になりました。自由曲はカットが強引な印象でしたが、エネルギッシュなサウンド。ハルモニア、丁寧に歌い込めていて良かったです。Tp7本・Tb6本・Hr6本と編成的には充実しているのですが終結部はブラスのサウンドがより前面にプッシュされたいところ。


5.伊丹市吹奏楽団【銀】

こちらの団体も充実した編成でした。課題曲では指揮者と奏者が一体となって「レトロ」の雰囲気作りができていました。自由曲では8本のTpが常に鳴っているのではなく、時には木管に寄り添い、主張すべき箇所では盛大に響かせていましたね。課題曲・自由曲含めて、全てのソロがばっちり決まっていました!これで銀賞ですか…。厳しいですね。


6.姫路市吹奏楽団【銀】

パーカッションと管楽器のバランスが丁度いいマーチに仕上がっていました。最上段に並べたHrのサウンドが心地よく響いていました。その反面、自由曲では舞台前方に配置されたチャイムやチャイナゴング?が生音で客席を直撃していたのが気になりました。難解な現代曲でしたが、時折垣間見えるS.SaxやFlの歌心が感じ取られる演奏でした。


7.シーガルウインドアンサンブル【銀】

23人の小編成です。Fl1・Cl3・Euph3…と編成にも偏りがありましたが丁寧な音楽作りで好印象でした。課題曲はやや硬さがあり、軽快さが欲しいです。自由曲は上手に配置されたピアノが効果的に活用されていました。人数は少ないですが、個人技量は高く音程感やサウンドのバランスも良かったと思います。


8.神戸ウインドアンサンブル【銀】

課題曲ではティンパニとトムトムの音色感やピッチが混在していると感じました。トムトムのピッチを高くすれば整理されるかと思います。中間部のアリアはもっと楽に吹かれて良いかと。自由曲は冒頭のピアノソロのタッチが繊細で、それに続くソロやアンサンブルへの流れも良かったです。強奏部でTpが突出したり、全体のバランスや音程感が乱れるのは要注意。


9.六甲ヴェルデ吹奏楽団【金】

課題曲は最上段に配置されたHrがしっかり響いていました。舞台目いっぱいに広がったセッティングで、響きが混在しやすいこのホールへの対策がなされていると思いました。その反面、Clのトップと上手側のOb・Fgに距離が生じてアンサンブルが噛み合わない箇所もありました。自由曲では冒頭からパーカッションがミステリアスな雰囲気を作り、中間部のダブルリードアンサンブルも美しかったです。


10.三木L・U吹奏楽団【銀】

こちらの団体もHrが素晴らしかったです。課題曲ではEuphの音がよく響いており、アンサンブルをリードされていました。自由曲では木管低音が大活躍でしたね!随所に出てくるティンパニも良いスパイスになっていました。木管楽器のハイトーンの音程は少々気になりました。終盤のC音のユニゾンは発音・音程・処理ともっと揃えることができた気もします。


11.明石西シンフォニックバンド【銀】

課題曲のマーチは第1マーチに入ってからテンポが安定するまでに少々時間がかかったのが気になりました。トリオのFl/Picソロは余裕感が感じられるパフォーマンスでした。トリオ再現部は1stTpの旋律を際立たせるのではなく、2nd・3rdのハーモニーも大事にしたいですね。自由曲冒頭の鍵盤楽器のアンサンブルは大人のバンドとしては取りこぼすことなく決めていただきたいです。低音楽器が少ない編成でしたが、Tuba・StBassが豊かに響いており、サウンドに厚みがありました。


12.姫路ウインドアンサンブル【銀】

演奏とは関係ないのですが、照明がついて真っ先に目に入ったのが、真っ黒のコントラバス!もう1本のコントラバスとの違いが明らかでした。60名程の大編成でしたが、この人数での「レトロ」は響きが拡散し、ぼやけやすく、もっとドラムセットに歩み寄る必要があります。なので、ドラムは舞台下手ではなくセンターに配置するのが望ましかったと思います。自由曲は冒頭のピアノ・鍵盤楽器のアンサンブルが美しい。テンポアップしてからは複雑な変拍子の縦が合わない箇所が気になりました。


13.アンサンブルラポール【銀】

40名程の編成でしたが、コンパクトに整理された「レトロ」でした。ドラムセットとコンガのコンビネーションが良かったです。クロスオーバーに入った瞬間のテンポに迷いがあり、ややもたついたのが惜しいです。自由曲は全体的にパーカッションのバランスが大きく、管楽器をかき消してしまう箇所がみられました。そこを調整すると2台のサイレンや、ラストの鍵盤楽器などパーカッションだけが担う部分がより際立ったかと思います。Euphの活躍が素晴らしく、ソロだけではなくTuttiでもバンドのサウンドの核になっていました。


14.加古川シンフォニックバンド【銀】

55人程の編成。課題曲のマーチでは2本のB.Clが豊かに響いていました。少しこの曲にしてはテンポ設定が遅く感じましたが、難しいリズムも丁寧に演奏されていたと思います。パーカッションのバランスは抑え過ぎです。あくまでもマーチですので、例えばトリオは聴こえないほどの音量にする必要はないです。自由曲では2本のB.ClにC.Blも加わり、厚みのあるサウンド作りがされていました。ピアノは左手の低音域はよく聴こえるのですが、高音域の響きも欲しかったです。縦が乱れやすい箇所を整理されると、より好印象です。


15.宝塚市吹奏楽団【金・代表】

課題曲・自由曲とも非常に安定したパフォーマンスでした。やや中央よりに配置されたスネアドラムがバンドをリードしており、良い流れを作っていたと思います。中間部のアリア、旋律のTp・Euphソロ、ブラボー!内声のTp2ndやTbのブレスの隙間が惜しかったです。自由曲は初見の曲ですが、アップテンポになっても乱れないアンサンブル・随所に出てくる金管楽器のハイトーン・静寂の中で響くハープなど聴き応えのある作品&パフォーマンスでした。


16.高砂市吹奏楽団【銀】

課題曲は主に3つのセクションで構成されていますが、中間部のムーディーな雰囲気が良かったです。Tp・A.Saxソロは深みのある音色でした。クロスオーバー以降は旋律のフィンガリング・シロフォンとのアンサンブルの乱れが気になりました。自由曲はパーカッションのビートの刻みと管楽器がしっかり揃っていましたし、スローテンポの箇所のObも豊かに響いていました。こちらのバンドは下段にTp・Tb・下手側にパーカッションという、ひな段最上段を使用しない舞台配置でした。通常よりも直管楽器を手前に配置することで、距離的な響きのタイムラグを最小限に留められ、下段配置でもTp・Tbの音色は心地よく響いていました。


17.弁天ウインドアンサンブル【銅】

40人に満たない編成でしたがHrが6本という珍しいバンド。課題曲は最上段に配置されたパーカッションの刻みが終始安定していました。Hrのバランスがやはり大きく、響きも太くなり、常にHrが前面に聴こえている印象を受けました。木管・Tpの細かいリズムが揃わないのは要注意。自由曲は全体的にサウンドの濁り・フレーズ終わりのミストーン連発が気になりました。もっと綺麗でまとまりのある音色が求められます。ティンパニの音が終始攻撃的でもっと一つ一つの音を大事に演奏していただきたいです。


18.西宮市吹奏楽団【金・代表】

ドラムセットだけがバンドをリードするのではなく、全員でグルーブを共有できていました。中間部のソロはもう少し硬さが取れると良いと思います。たいへんゴージャスな「レトロ」でした。自由曲では複数に配置されたスネア・深めの太鼓のアンサンブルで引き込まれました。連続するffのタンギングでも乱れないハーモニー・素早い指揮にも即座に反応できる対応力が素晴らしいと思わせられる圧巻の演奏でした。