この話は つい最近の出来事なんですが  


そうですねぇ  まあ  その人  仮に 稲川さんとでもしておきましょう。  


でぇ  このぉ   稲川さんは 甘いモノが好きな人でねぇ  


自分でもよくお菓子とか作ったりする人なんですよ  この日もぉ  何作ろうかなぁ  なんて考えながら台所


に立ってましてねぇ  久しぶりにゼリーでも作ろうかぁ  という事に決めたらしいんですよ  


でぇ  ゼリーですからフルーツとかも入れようかなぁ なんて思いましてねぇ  


カンズメを取り出そうとしたとき ふと お菓子の材料とかしまってある戸棚が気になりましてねぇ  


あけてみたんですよぉ  こう 両手で バッと  ね  でぇ  戸棚の中をよーく見たんですけどねぇ


お菓子の材料が並んでるだけで  別にへんなとこも無かったんですけどねぇ


でも なーんか気になって  よーく見たんですよ  ジーっとね  並んでるお菓子の材料を 一つ一つ  ね 


そしたらね なーんか 気になる でも それが何か わからない  気になるんだけど  わからない


やだなぁ  気持ち悪いなぁ  なんて思いながら戸棚を閉めて カンズメを取り出して


フタをあけてね  キィーーーーーーって 音がしてカンズメが開いたんです  


でぇ  中のフルーツを 取り出して こう 切り始めたんですよ そしたらね トン・トン・・・トン


って乾いた音が聞こえ始めて  えーー?何だろうなぁ?  やだなぁ  気持ち悪いなぁ  って思いながら


フルーツを  ね  ナイフで切って  カンズメのフルーツですから  柔らかい  ナイフを入れると


スッて入るんですよ  で 切り始めるとまた音がするんですよ  スッ・・トン   スッ・・・トン  


切り終わった時  あっ! 稲川さんが思わず声をあげたんですね 切り終わったフルーツを見て


そしたらね  フルーツがね  薄くスライスされてたんですね  


普通こういう時って さいの目 っていうんですか?  こう  小さい  四角 


そういう風に切るじゃないですか?  でもね  切り終わったフルーツはね  みんな 薄切りなんですよ


うわぁ やだなぁ  どうしようかなぁ  なんて思ってたら ある事に気がつきまして  フっと 振り向いたんで


すよ  で冷蔵庫の取っ手に手をのばして カチッと指で取っ手を押したら スーーーって  音も無く


勝手にあいたんですよ   取っ手を指で押しただけで  冷蔵庫のドアが  ひとりでに  スーーーって ね  


でぇ ドアのポケットのところ手をのばした時 思わず  うわぁって  声を上げてしまったんですよ


そこにね  無いんですよ!  ここにあると思っていたのに  無いんですよ! ゼラチンが無いんですよ!


結局 ゼリーじゃなくてただのカンズメのフルーツの薄切りになってしまったんですけどねぇ




きっとぉ  稲川さん  前に使ってしまって  新しく買うのを 忘れてしまってたんでしょうねぇ


こんな 不思議なことってぇ あるんですねぇ