最近私は、〈女〉を売る仕事を始めた。いわゆる水商売。


ある日、お客さんが私に「(あなたを)口説きたいからヒントちょうだい」と言ってきた。

つまり、「好きなタイプは?」という問いかけである。

私は、この人が言っていることをきちんと理解していたし、自分の好きなタイプが言えないわけでもない。

それでも、答えることができなかった。

というより、答えたくなかった。


理由は二つあって、一つは、何故私が口説かれる前提に置かれなければならないのか、その意味がわからなかったから。

私にYES/ NO、あるいは「ほしい」/ 「ほしくない」と言う権利はないのか?


もう一つは、「何をしたらあなたは私に好意を抱いてくれますか?」という問い(私にはそう聞こえた)に違和感を覚えたから。

何もしないでほしい。それでいて、その人の考え方や価値観に触れたい。

「好きになる」ってのは、そこからじゃないの?


いい言葉が見つからないけれども、とにかく私は、口説くことを目的にしている人に驚いたのであった。



〈女〉を売ることによって、私は今社会的ヒエラルキーの下層部に居ることを強く実感した。