佐藤優の交渉術 | HardReggaeCafe@Ameblo.jp

佐藤優の交渉術

東洋経済に連載が載っていてちょくちょく目にすることから
気になっていた佐藤優。「交渉術」という本はさぞやビジネス本
かと思っていたのですが、ちょっと違うようです。
ベースになっているのはロシア担当外交官時代の経験で、
エリツィン、プーチン、小渕恵三、橋本龍太郎、森喜朗といった
宰相から鈴木宗男についてまでいろんな政治家との丁々発止の
やり取りから仕事術を語るという面白い趣向でした。

ストーリー物としてもまあまあ読ませるし(その点では優れた
ノンフィクションですな)ビジネス書としても中堅ビジネスマン
の高度な指南書ともいえます。

酒を飲んで泥酔した状態で話したことの大半は信ぴょう性は高い
とか、泥酔状態に達して出る人間性には2パターンあり、攻撃的に
なる(セクハラも含めて)か、頭ははっきりしていて足腰が立たなく
なってしまって糞尿を漏らして意識を失うタイプという話とか。
この辺はちょっと面白い。たぶん自分は後者のタイプですけど。

今話題の中川元大臣は前者なのかな?

また、欧米でも日本でも罪と恥の文化は存在していて
特に中流層は恥の文化で、トップエリートと下流層は罪の文化
というのも切り口としては面白かったです。そこから中流
サラリーマンが生き抜くためには「恥を捨てる」というのが
競争において重要な要素だそうです。
実践できそうで難しい話です。

トップになる人材が孤独に耐えられないといけないというのは
社会通念ですが、上下関係を維持する上でちょっとしたエゴを
出しておくというのも人心掌握術とか。某大使が公用車で
ナンバー2にレクサスを与えないというくだりはバカバカしいながら
ちょっとうなずける話でもあります。私はこういうことを
するのは気が引けるし、いつでもフラットであるように自ら
働きかけすぎで相手から軽く見られがちです。ときどきこういうことも
必要なのかもしれません。

最もハラオチした話。それは「交渉の弁証法」というものです。
基本的に北方領土返還にかけたその過程をつづった作品なのですが
ブルブリスという元国務長官からエリツィン訪日延期(これによって
返還交渉が頓挫する)の真実を聞かされた時に出てくる話です。
それは簡単に言うと「何の見返りも求めず、相手の懐に入ることによって
自分の利益を極大化する」ということ。詳細は端折りますが
当たり前のようで結構できない話です。仕事の交渉で最初に雑談
するというのはよくある光景だけどいまいち相手の懐に入ってない
ケースはありますね。それも出来ずに杓子定規に交渉しての望むものは
得られない。

今後の参考になります。って人間の幅を広げないとね。

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