ウォー・フォー・タレント(人材育成競争) | HardReggaeCafe@Ameblo.jp

ウォー・フォー・タレント(人材育成競争)

ちょっと古いビジネス書でも、読んでいないものは結構多いので 
タイミングが合えばいろいろ読みたいなあと思っております。 

そんななかで先の記事で紹介したTさんに「読め」と無理矢理(笑) 
薦められた本です。そう言われると余計読みたくなくなるのが人情 
なんですが、人間の器を広げるにはどんなことでも受け入れるという 
姿勢も大事です。 

さて、このウォー・フォー・タレントですが、マッキンゼーが 
2000年に行ったウォー・フォー・タレント調査に基づく結果のまとめ 
になっています。企業にとって優秀な人材を獲得することがいかに 
重要で、獲得した人材をどのように育てるかが企業としての勝敗を 
握るという考え方です。 
話はそれますが、私の好きなBuffaloBillsというNFL(アメリカンフットボール) 
のチームがあります。このチームは90年から93年まで4年連続スーパーボールに 
出場したすごいチームなのですが、当時のヘッドコーチだった 
マーブ・リービーの考え方は「各ポジションにおいて能力の高い 
タレントを揃えることが勝利につながる」といっており、その当時は 
腑に落ちませんでしたがこの本を読むと何となく言わんとしている 
ことがわかってきます。 

さて、人材マネージメントにおいてはリーダーは6つの行動をとるべきと 
書かれています。 
1.最も基本となる人材の要件を決める 
2.組織内の社員の評価・処遇には深く積極的にかかわる 
3.シンプルだが徹底した人材評価プロセスを実施する 
4.組織内のすべてのマネージャーに、マネージメント人材評価プロセス 
  を徹底して植えつける 
5.資金を惜しまず、人材に投資する 
6.自ら構築したマネジメント人材層の強さに対する責任を、その人材と彼らの上司 
  であるマネージャーがおう。 
会社で必要とされる人物像をきちんと定め、トップマネージメントは 
中間層となるリーダーの人事評価など積極的に関与してマネージメント人材 
プロセスを浸透させる必要があるということのようです。GEのジャックウェルチが 
「セッションC」という名前で各ユニットのゼネラルマネージャーの評価を 
行い、リーダー層の強さを定期的に(年間30日も費やすらしい)確認する 
という話を引き合いに出していましたが、確かにCAでは役員レベルの人に 
認知されている感はあるので、ここで書かれていることはあながち建前では 
ないと思います。後半の2つに関しては人事評価は信賞必罰を徹底し、Aクラス社員 
に権限・報酬をきちんと与える反面、業績の振るわない人に対してはきちんと責任を 
負うこととなっています。 

これらは至極当然ですが、実行するのは難しく、この本によるとマネージャーは 
自分の仕事の30%~50%はこの6つの行動に充てよと書かれていてことさらに 
難しさを増している感じがします。それでも時間を捻出し、マネージメント人材の 
話をするタイミングを少しでも作るところから始めてはどうかと説いています。 

この辺は自分の経験からもなんとなくわかる気がしており、会社のリーダーミーティング 
では人材関係の話を持ち出すことが結構多く、自分もどのように評価されているのか 
客観的に考える場にもなっています。 

では、どうしたらいい人材が集まるかの解はEVP(Employee Value Proposition)という 
キーワードで説明されています。いろいろ書いてあるが、私なりの解釈はモチベーションや 
インセンティブという考え方で包括されます。つまり何によってよい業績を生み出そう 
となる「エサ」(変な言い方ですが…)といえます。ここに書かれている例は 
ダブルクリックが「会社のエスプレッソマシーン」「無料サルサレッスン」といった 
表面的なものから自分で自分のキャリアをコントロールし、形成するチャンスを 
≪インターネット広告の新時代を切り開く≫というテーマで社員のやる気を 
俄然あげることに成功したという事例が書かれています。ネットバブルがはじけた後も 
トップ100の人材が流出しなかった事例は確かにすごい。 
このEVPを自社の目標に合わせて絶妙に用意することが重要なんだと言ってます。 
当然といえば当然ですが、形骸化している組織をいくつも見たので会社のトップは 
この辺真剣に考えないと、不況だといっても人材の流出につながりかねません。 

人材流動といえば、上位のポストに10~25%くらい外部からの人材受け入れを行うことは 
組織活性化に意義があるとも書かれています。内部の人間のモチベーションを削ぐことなく 
”優秀な”人材を外部から登用することでこういった人たちが内部の人たちのよい手本に 
なるという論理。ジャストアイデアですが、社員からアンケートとって外部取締役に 
なってほしい人を募るのも面白いかもしれませんね。 

またマネージメント人材がどのようにしたら育つのかという章では優秀な社員に 
すべてメンターをつけるとありました。なじみのない方に解説しますと「対話による 
気づきと助言による本人の自発的・自律的な発達を促す人」のことで俗にいう 
カウンセリングをこの制度を用いると「メンタリング」ともいいます。 
これによって正しい方向性を示してあげて、自信をつけさせることが大事とも 
書かれています。このメンター制度はやっている会社とやっていない会社は結構 
分かれていて、以前知り合いから「メンターってのをやらされてるのよー」という 
半ばいやいや引き受けている話を聞いた時には相手が気の毒にさえ思えました。 
この本はメンターの選び方も重要と書かれており、確かにやたらな人では逆効果だな 
という気がしました。 
今の自分にも適切なメンターは必要と思うのですが、なかなかそういう人に出会えません。 
自分の上司が何でも相談にのってはくれますが、やはり上司なので最低限の会話の 
マナーが存在するのでやたらなことは話せません。時には愚痴を聞いてくれる人という 
ことになるでしょうが、最後には自分の足りないものを発見して頑張ろうという気に 
させないとメンターの意味はありません 
 
人材育成の方法については実力以上の仕事を与え、ラーニングカーブをきつくすると 
あります。当然それで放置でなく、ゴールまで泳ぎ切れるように救命具もきちんと与えると 
いう方法で人は成長するんだそうです。加えて多種多様な仕事をさせることも大事と 
あります。いまやっているチームビルディングに関してはいいロールモデルがなかなか 
見つからない。自分で頑張って探してトライアンドエラーで自分もチームも成長 
させていくしかないなあと思いました。 

最後にはCクラス社員といわれる実力不足の人材に対する話が出ています。 
こういった人たちには実力を上げさせるためのトレーニングも行う必要もあるけど 
それでもだめならマネージメントコストもかかるので退職も含めて検討せよという 
ドラスティックな内容です。建前ではそうですが、なかなかそれを行うのは難しいものです。 

以上が大まかな内容ですが、当然ともいえる部分は多いのですが、そこに対する 
解説と論理がきちんと書かれており、納得ともいえる書籍でした。

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