こんばんは。
本紹介シリーズです。


今回はこちら。

Jonathan Swift・著/中野好夫・訳
"GULLIVER'S TRAVELS"(新潮文庫)




いわずとしれた、スウィフト『ガリバー旅行記』であります。
この本は多くの人が童話と受け取りがちですが、実は18世紀のヨーロッパ、殊にイギリス政治を痛烈に批判している風刺小説なのです。世界史選択者ならご存知かと思います。僕はまさにその世界文化史を学習しているときに読みたいと思って、受験後にこうして読み始めました。もちろん物語そのものも面白いのですが、当時のヨーロッパの国際関係とかイギリス政治について、高校世界史レベルの知識を持ってると、面白さ倍増です。本当に「おお~(笑)」ってなります。

物語を通して、当時の風刺だけでなく、人間の愚かさをも的確に批判したこの本は、大人になってからこそ読むべき一冊でしょう。
物語では大きく4つの舞台が展開されます。「小人国」「大人国」「飛島」「馬の国」です。童話として読むのは最初のひとつだけではないでしょうか。何度も言うようですが、しかもその「小人国」も風刺の知識を持ってるともっと楽しい。
たとえば、小人国では2陣営の対立が起きているのですが、その発端は、卵を小さい端で割るか、大きい端で割るか、といったもの。これはプロテスタントとカトリックの対立を表しているといわれています。筆者は、本当に馬鹿げた争いだとして批判しているのですね。

予備知識が少ない人でも、脚註で、「この人物はウォルポールの風刺」とか書いてあるので、当てはめて読めばわかりやすいです。

この本の訳は中野好夫です。

余談ですが、2013年度早稲田政経入試問題国語大問2『悪人礼賛』の著者でもある英文学者、評論家ですね(笑)あの文章好きだったな~。というか政経の出す随筆系の文章は全部好きだったな。谷崎潤一郎『陰翳礼賛』とか夏目漱石『素人と黒人』とか。

それはともかく、彼の名訳で読むべくわざわざ新潮文庫versionで買いました(笑)ブックオフで108円。もっと払いたいくらい。。




特に世界史選択者にオススメの本。
そう出ない方は、17~18世紀のヨーロッパ史さらっておくと、おもしろく読めます。



では