いつの頃からか、デリバリーが日常の「当たり前の選択肢」になっていました。
忙しい時は頼む。疲れた時も頼む。特に理由がなくても、ただ火を使って料理する気分になれなくて頼むこともある。
でも最近、ある程度の年齢になってくると、毎日の食事は家で食べたいと思うようになりました。
理由は特別なものではなく、ただそこにある「暮らしの温かさ」を感じたいから。
油がはねる音、鍋の中でスープがぐつぐつ煮える音、キッチンいっぱいに広がる食材そのものの香り。
その安心感は、どんなに便利なデリバリーでも決して味わえないものだと思います。
昨日は立秋でした。まだ暑さは残っていましたが、心の中ではもう温かいスープが飲みたくなっていました。
市場へ行って洪湖の蓮根を買い、スペアリブは軟骨がついたものを選び、家に帰ってゆっくり蓮根とスペアリブのスープを煮込みました。
洪湖の蓮根は本当に特別です。ほくほくしていて、もちっとした食感があり、噛むとやさしくほどけていく感じ。切っても糸がつながる蓮根の姿には、秋がそっと自分を包んでくれているような優しさを感じます。
圧力鍋で40分ほど煮込むと、蓮根はほろほろに柔らかくなり、スペアリブも骨から自然に外れるほど。
でも、私なりのちょっとしたこだわりがあります。
蓮根を2〜3切れ取り出して、少しスープを加え、ブレンダーでなめらかにしてから鍋に戻し、もう一度煮立たせます。
そうするとスープに深みと濃厚さが出て、一口ごとに蓮根の香りが広がります。飲むと、体全体が温まるような気持ちになります。
副菜には、イカの卵の茶碗蒸しを作りました。
イカの卵の塩気と旨味、そして卵のなめらかな食感が合わさって、蒸し上がった表面はプリンのようになめらか。スプーンですくうと、中にはイカの卵の粒々とした食感が隠れていて、ご飯が進む一品になりました。
そして旬の青菜も一皿。シンプルに炒めて、塩と少しのニンニクだけ。鮮やかな緑色のおかずが食卓に並ぶと、それだけで爽やかな気持ちになります。
一杯のスープ、一品の蒸し料理、一皿の炒め物。
多すぎず少なすぎず、二人で食べるにはちょうどいい量でした。
ご飯をよそう時、キッチンの窓は開けたままにしていて、夕方の風が少し涼しさを運んできました。
食卓に座り、蓮根を一口食べ、濃厚なスープを飲む。
その瞬間、「今日という一日は無駄じゃなかったな」と感じました。
何か大きなことをしたわけではありません。
ただ、きちんとご飯を食べて、自分の手で野菜を洗い、蓮根を切り、鍋の蓋についた水滴を眺める。
そんな小さな瞬間が、自分はただ生きているのではなく、ちゃんと暮らしているんだと思わせてくれます。
デリバリーはとても便利で早いけれど、早すぎるからこそ、食べ物本来の姿を忘れてしまうこともあります。
自分で料理をするのは少し時間がかかります。でも、食材が生から料理へ変わっていく過程や、スープが完成するのを待つ時間には、心を癒してくれるものがあります。
秋の始まりですね。
これから少しずつ涼しくなっていく季節、こんな時間をもっと大切にしたいと思います。
デリバリーのアプリを閉じて、キッチンに立つ。
自分のために、大切な人のために、心を込めて一食を作る。
外食やデリバリーを選ばない日には、暮らしに自然と香りが戻ってくる気がします。

