こんにちはニコニコラブ
"ひみつ"の記事から繋がるかどうか…、一年経過して漸く、母の所蔵の本を紐解きました。
《美神の反逆》という本で、中身は書評の類い、作家、作品研究、などなど。
今の私にはとても有り難い本、絶版となってますし、こんな遺産はいくらあってもいいラブおねがい

何故に書くのか、書いてきたのかーー、作家達の彷徨を鋭くえぐり、炙り出しと、緻密な作業には頭が下がります。
御本の作者は"川島至"先生です。川端康成研究においては濃やかで愛情の深い眼差しを持っておられ、読めば読むほど、先生の川端愛の深さを知ることが出来ます。

"透徹した観察眼と徹底した構築力"
川端康成先生は、14歳前後にて作家を志した、早い段階で未来を見据えた人だということです。
たゆまぬ努力…、川端康成先生曰く、
"私小説作家といえども日々の継続する努力無しでは、決して芸術家とはいえない"
川端康成先生の空白の一年、というものがあるそうですが、この価値ある一年は手痛い失恋によるもの…、23歳と16歳の幼い恋の昇華を願い、破れた川端康成が絶望の一年を過ごし、湯ヶ島温泉に揺蕩い、結果、湯ヶ島の思い出を書くーー、これを熟成させたものが"伊豆の踊り子"です。
結果、この悲哀の失恋も文学に昇華させることで消化できたかどうかと問えば、それは分からないーー、ですが、作品のなかに投影し続けながら、彷徨い、時には吐き出し、そうやって書き続ける。
時に倫理に背き、非常識のなかで生きて行く。
苦難を歩み、無為に生きることを選び、醜さを見極め、際立つ美しさに埋没するーー、森茉莉は川端康成を"黒羽のかけす"と評しています。
かけすとは"化鳥"である。普段は温厚で情深い人でありながら、机に向かい文字を連ねる川端康成は非情な観察眼を持つ人、作品のなかでも、それがうかかえ、愕然とすることもしばしば。
一匹の虚無という鬼を心の奥底に飼い、共に生きた川端康成ーー、先生の作品は今もなお色褪せず、更めて、鈍い光と独特の匂いを放ち続ける。

2018.12.8