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ほくろの数まで研究し、役に埋没したとのことです。

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《弱き者よ、汝の名は女……》byシェークスピア


つい最近、朝っぱらから娘と大げんかして…、娘が家を飛び出てしまった。
そして追い出したはずの私は突然、恐怖に苛まれ、取るものもとらず近所を走る走る……、バスに飛び乗る、街をうろつく。

"はぁ、はぁ、"

良く、映画で俳優さんの息遣いが巧妙にこだましますよね…、あれですよ、まさに。
頭の中はまっしろ、しかも鼓動は高まるばかりなり……。
そんな心身のまま、駅を徘徊し、スタバの店内をものすごい形相でねめ回す……、などなどの奇行に走った事件が勃発。
まだ蒸し暑い頃の9月中旬。ちょうど木曜日、お休みの日でしたが、私は今まで娘とこんな喧嘩なんかしたことがなかった。
というか、いばりんぼの私に気を遣い、娘が耐えていただけなのかもしれない。

本当に大反省の1日だったわけですが、収束は驚くほど呆気なかった。
私が近くの公園を二件ほど駆けずり回り、駅を徘徊する間、彼女はなんと自宅の(マンション)屋上にいたのです。
それを私は一向に気づかず、小一時間ばかり探しまくった挙句……、発見したのは誰であろう、夫であったのです。

“屋上見た?”
このなにげない一言に閃きを得た私は、萎える身体を引きずるようにして階段を踏んだ…、"生きた心地がしない"この言葉を体感するなんて……、病気でぶっ倒れた時以来の感情でした。

(娘がもしや…、)
思春期の娘になにかあったら、こう考えるのは当然ですが、私は何故か不安でたまらなくなってしまった。娘はそんなことしない、絶対に無い、こう言い切れない不確かさに打ちのめされそうだったのです。
なんで信頼できないのか…、まさか、そんなはずが無い、こう言えない不確かさが長女にあって次女に無いというのは何故?

そして行き着く先にはこの思いが。
(今まで娘の何を見ていたんだろう……)
最悪な事態にでもなったら、"私はもう生きてはいけない。"こんな風に思いつめていたわけですが、なんの、夫は泰然としたままでしたね。
"大丈夫。帰るよ。"でした。
まず、夫にメールした際も、ここでも疑り深い私は(だいたい素直じゃない)
母親の癖にと責められるんじゃないか。夫に対して懐疑してしまう。
ま、大人じゃないんですよね。私は冷静さに欠けるところがあるし、卑屈なとこもあるから気をつけないと。

娘はひとり、屋上でくすんくすんと泣いていました。
そこからはもう、押し寄せる激情には勝てずに二人で号泣。ごめんね、ごめんね……、涙ながらに母子は塊となり信頼を深めましたとさ。
ですが本当になにごともなくてよかった、この思いが強くって……、今考えてもちょっとドキドキします。
それと…、夫が娘の行方を知っていたという新事実。別にSNSでのやり取りなどは一切なかったから(携帯もリュックも置き去りで飛び出した。)彼の思いつきが正確すぎて驚くばかり、私は思いもよらなかった……、これがとてもショックで、ショックで。

生みの母だという自分に慢心していたんだな。娘のことを軽視していたのは勿論、夫がなんで知ってるんだという、こんな自分よがりの思考が生じたなんて、実は夫のことも軽んじていたのではないかと、反省に次ぐ大反省会の1日であったわけです……

さて。
夫に”娘が何故、屋上にいると直感できたのか?“これを聞いてみることに。
すると……
『ちいちゃいころから屋上に行っちゃうんだ。』
なんともあっさりとした答えが。
『随分前に、叱ったことがあって。その時も屋上で泣いていたし……、』だそうです。
私は娘たちが一歳になるのを待ち、直ぐにも仕事復帰しました。そして自営の道へ…、結局、保育園のお世話になって、休日はもっぱら夫が世話するという、そんな生活が土台になっています。
当然、母としての役目は果たしているという自負がありますが、性格的に我儘ですから横柄気質がダダ漏れで、自信満々、結構危険な思い込みの強いママンpuffであったと思われます。

余韻がなぁ……、いやぁ、こんな事件のあと、立ち直るって大変なんだよ。
今だにあの日の恐怖が湧いてきて、反省するというかもう、あんな思いは嫌だ、鉄は踏みたくないという拒否感でいっぱいですねぇ。
そんななのに…、傷口に塩を塗り込むような思いで鑑賞した”missing“…、


●ある日消えた子供と女

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女同士、理解し合う。

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ジソンはとても素直な人。鼻持ちならない、嫌味なタイプでは全くない。
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いっぽう、ベビーシッターのハンメは、見ため純朴で歌の上手い中国美人。

※※

主人公のジソンはテレビドラマの宣伝広報で働くキャリアウーマン。学歴も高く収入もあり、夫とは離婚協議中で子供の親権争いで忙しい毎日を過ごしている。
そうした彼女が子育てをする為には、なんでかんで誰かの手を借りないとならない。
男の手が借りられないとき…、自分の母親に頼むべきなのか。
(ここらがお国柄でしょうが、どうなんでしょうか。儒教色が強いお国柄ですから、親に子供を見てくれと、無理に頼んだりできるのかしら…、)
彼女は迷うことなくベビーシッターを頼む。それが中国からの移住者、ハンメでした。

強烈だったのは、ハンメがジソンの娘にとてつもない愛情を注ぐこと…、
水っぱなを垂らしている娘の鼻水を、思わずすすってしまうハンメ…、
(いやぁ、余談ですが、私もできませんでしたね…、)
そうした間にも母親ジソンは、娘が風邪だろうがなんだろうがめちゃくちゃ忙しい。息つぐ暇もないほど働いて働いて…、なんだか余裕が全くない感じ。
ジソンは娘との毎日を充実したものにしたいが…、それをするとなるとキャリアを犠牲にしてしまう。
しかし、どちらも欲しがっていいのです。どちらかを捨て、選ぶという選択肢も確かにあるけど、
"どちらも欲しい…、"これが本音。
"子供もキャリア"も、そして"母"としても。

それを保てるように手伝ってくれる人がいたら…、ジソンはハンメをまるで自分の伴侶のように扱う。なんとなく私の見たところ、ジソンの世間知らずさが、無条件にハンメを受け入れてしまう…、ハンメの横顔はそうじゃないのに。
そして次の日、ハンメと娘がいなくなる。
世間はシングルマザーで普段から子育てを任せきりにしていたジソンに厳しい。果てや子供がいなくなったと嘘じゃないかと疑われる始末。
そして半狂乱になって町中を探し、走り回るジソン……、ここらはもう私の感情が暴走する程の展開でした。

……ハンメの過去が徐々に暴かれていく。

ハンメのもう一つの顔……、実は中国人妻であり不当な扱いを受けていたこと。子供がいて、その子供が重い病気にかかってしまい、お金のために治療が受けられなかったこと。
そして落ちるまで落ちる……、治療費を稼ぐために売春までしなければならなかったこと。

女性二人の人生を並べて見せつけられているような、見るに耐えない現実の厳しさに、何度息を飲むことか。ハンメは期待を胸に韓国へと来て、根削ぎ奪われるという奈落を味わう。
実は恨みつらみを抱いたハンメの復讐劇ですが、そう単純でも無いぞという複雑な意図の絡まりが、絶妙に描かれていく。

手許に無いと実感して始めてわかる"大切なもの"……、捜し求め、ボロクズのような姿で広場を駆け巡るジソン、これには圧巻でした。まるで、あの日の私にそっくり…。


2017.9.30