テレワークのお供に、
70~80年代の
日本のシティポップをよく聴くのですが、
令和となった今、聴いても
全く色褪せないのはどうしてでしょうか。
このシティポップで
頻出するコード(和音)があります。
それが『メジャー・セブンス・コード』です。
この『セブンス・コード』に
その秘密が隠されている気がしますね。
コードは、
ギターを弾いたことがない人だと
馴染みは薄いかもしれませんが、
例えば、
Cmaj7(CM7)→ Cメジャーセブン
Dmaj7(DM7)→ Dメジャーセブン
といった呼び名や表記を
見たことがあるという人も
いらっしゃると思います。
「℃maj9」なら見たことがある?
はいはい、℃-uteの8枚目のアルバムタイトルですね。
それはさて置き、
コードの説明を軽くさせていただくと、
コードの頭のCやDといった英字、
これは、和音の最初の音(ルート音)をあらわします。
ドレミファ・・・のそれぞれの音に
Cから始まるアルファベットが割り振られています。
Cメジャーコードとは、
ドから始まる3和音(ドミソ)になります。
◎がルート音=ド(1度)、
そこから1つ置きにミ(3度)とソ(5度)の音を押さえて
コードが構成されます。
では、Cメジャーセブンスはどうなるでしょうか。
答えは、ドから始まる3和音+7度=4和音(ドミソシ)です。
この4つ目の音であるシ(7度)が加わることによって、
和音の印象が一気に複雑に変化します。
なぜなら、この4和音には、
「ドミソ」というメジャーコード(C)と
「ミソシ」というマイナーコード(Em)※上記図の●
の両方が含まれているからです。
メジャーコード(長調)の持つ明るさと
マイナーコード(短調)の持つ翳りが混ざって、
繊細な音色になるのです。
Juice=Juiceもカバーした
シュガーベイブ「DOWN TOWN」には、
この『セブンス・コード』がふんだんに使われています。
イントロの爽快なギターが、
AM7(Aメジャーセブンス)→DM7(Dメジャーセブンス)
の繰り返しで始まり、
<歌詞>
七色の黄昏(AM7→DM7)
おりてきて(C#m7→Bm7)
風はなんだか(Bm7onE→AM7)
涼しげ(DM7→C#m7)
土曜日の夜はにぎやか(F#m7→C#m7→Bm7→Bm7onE)
という『セブンス・コード』の雨あられ。
この『セブンス・コード』がもたらす効果としては
☆オシャレ感
☆アーバン感
☆透明感
☆爽快感
☆切なさ
などが挙げられます。
これって、そのままシティポップのイメージですよね。
山下達郎は、70年代の偉大なるシンガーソングライター、
キャロル・キングの影響を受け、
このような効果を求めて
意図的に『セブンス・コード』を多用したというわけです。
キャロル・キングを源流に
出来上がっていったJ-POPの一つのジャンルが
ここにきて海外で再評価を受けているというのも
興味深い話じゃないですか。
ハロプロには、『セブンス・コード』を使った曲はあまりありません。
それは、ハロプロに大半の曲を残しているつんくが、
作曲家のタイプとして、
メロディーメーカーではなく、
リズムマスターであることに起因しています。
ですが、最近の作曲家陣の中で
若手気鋭のKOUGAが
この『セブンス・コード』を意識して使っているように思います。
「意識高い乙女のジレンマ」
「微炭酸」
「傘をさす先輩」
などがそうですが、
特にカントリー・ガールズで一番大好きな曲、
「傘をさす先輩」のサビが印象に残ります。
<歌詞>
傘をさす先輩の背中の(FM7→G)
隣のその子は誰?(Em7→Am)
先輩に褒められたえくぼに(FM7→G)
落ちた私の雨が(Gm→C)
この(FM7→G→Em7→Am)のコード展開がなんとも美しい!
メジャーセブンス(FM7)とマイナーセブンス(Em7)を
組み合わせることにより、
より繊細なタッチになり、
この歌詞の主人公の女の子の「切ない」気持ちが、
グッと伝わってくる仕組みになっているんですね。
ところで「傘をさす先輩」のサビ、
オフコースの「YES-NO」(1980年)
のサビによく似ていませんか。
実際、コードを見てみると、
<歌詞>
君を抱いていいの(FM7→GonF)
好きになってもいいの(Em7→Am)
(FM7→GonF→Em7→Am)は
「傘をさす先輩」のコード展開とほぼ一緒でした。
そういえば、家にオフコースのレコードがあって、
子供ながらによく「YES-NO」を聴いていたものです。
あれから40年経っても、
好きな音楽の傾向は
変わってないということですね。
こうしてコードを覗いてみると、
自分の好きな音楽のルーツがわかったりして、
いろいろな音楽に触れるキッカケにもなります。
KOUGAには、メロディーメーカーとして、
これからも『セブンス・コード』を使った名曲を期待してます。
引用:亀田音楽専門学校「大人のコード学」