先週の『tiny tiny』、
さおりん(小野田紗栞)回の
「今夜だけ浮かれたかった」の
レコーディング秘話は大変興味深かった。
卓偉のデモテープを聴いた時点で、
Cメロの「泣きたいわ~」のところ、
自分が歌いたい!と強く思ったさおりん。
その気合が通じたのか、
見事、ソロパートをゲットしたのだが、
卓偉によると、
もともとCメロはオケのレコーディング時点では無かったらしい。
ディレクターのたいせいが
「もう一つ盛り上がるところを作りたい」と
その場でリクエストし、
作詞の児玉雨子に連絡。
雨子が「それだったら」といくつか案を提示し、
卓偉がそれに即興でメロディをつけ、
アレンジャーの炭竃智弘が編集。
こうして急遽できたパートだということだ。
こうした変更、手直しは、
レコーディングに関わっている関係者が多いほど
手間暇がかかる。
非常に非効率な作業といえる。
だがそれがバッチリハマったときは、
エモーショナルな作品が出来上がったりするものだ。
1人で突き詰めて作品を作るのも悪くないが、
大勢で「ああでもない、こうでもない」と
ブラッシュアップして出来た作品は、
各アーティストの取り組む熱量に比例して、
バズったりするもの。
その場で要求を出したたいせい、
スピード感をもって即興で対応した雨子と卓偉、
これぞプロの仕事だと感心した。
そしてその「おいしい」ところを
嗅ぎ取る嗅覚に優れたさおりん。
こうして「今夜だけ浮かれたかった」は
つばきファクトリーの代表曲となり、
「泣きたいわ~」はさおりんの代名詞となった。
ところでこの『tiny tiny』で
みつばちまき先生が、研修生時代のさおりんのことを
「蚊の鳴くような声だった」と振り返っていたが、
果たしてそうだったろうか。
ピックアップのコーナーで
取り上げられた植村葉純についても
「(こいつも)蚊の鳴くような声」だと言っていたが、
これはいわゆるモスキート音ってやつで、
聴力低下が著しく、耳年齢が高い人には聞こえない
周波数の音なんだと思われる。
研修生は普通にしゃべっているのに、
みつばちまきには聞こえない、
そんなシチュエーションが
頻繁に起きていても不思議ではない。
このモスキート音をマスターした研修生達は、
先生の悪口を言っても
「蚊の鳴くような声してるな」の一言で片づけられ、
今日も、うまく難を逃れているのである。