渡良瀬橋は、渡良瀬川にかかる
栃木県道5号足利太田線の橋である。
森高千里の曲からは、
風情のある美しい橋が思い浮かぶが、
実物の外見は無骨で地味な鉄橋であり、
森高がこの「渡良瀬橋」を曲にしたのは、
この橋や土地に知見があったからではなく、
たまたま地図で見つけた
「わたらせばし」という
言葉の響きがとても気に入ったから。
同様に、歌詞の中に出てくる「八雲神社」も、
メロディに乗りやすそうな名前という理由で採用された。
「床屋の角にポツンとある公衆電話おぼえてますか?」の詞は、
バーバー(床屋)をはじめとした田舎通りの風景を描いた
ビートルズ「ペニーレイン」に着想を得たものだが、
実際、渡良瀬橋の近くに
モデルとなった床屋と公衆電話がある。
今でもこの公衆電話は撤去されずに残っている。
また、歌詞の最初と最後に「夕日」が出てくるが、
森高がこの地を訪れたとき、
その夕日の美しさに感動して
歌詞にしたものであるが、
後に、この渡良瀬橋にかかる夕景が、
足利百景にも選定されていた
地元のシンボルであることを知る。
「渡良瀬橋」がヒットしたのは、
地方の街に住む人の営みの美しさが
その情景とともに描かれているからである。
そしてこの「渡良瀬橋」がある足利は、
森戸知沙希が生まれ育った街でもある。