芸能の世界に限ったことではないが、
入ってすぐ馴染める子、

馴染むのに時間がかかる子、
それぞれ違った生き方がある。

こと芸能界(アイドル)に関しては、
最初っからセンスよく

何でも吸収して目立てる子の方が有利。

そういう意味で、

モーニング娘。'20の15期メンバーは
1年目からすんなりハマってて、
勘がいいというか、センスがいい。

片や12期は、不器用な子が多く、

この世界に慣れるまで

長い時間を必要とした「晩成型」が揃った期。

 


その12期の真莉愛が、

デビューから約1年半後に
「そうじゃない」というシングル曲で

センターに抜擢される。

この曲は、事務所から

「牧野をセンターにする曲を書いて欲しい」
とつんくに依頼してできたもの。

当時は、モーニング娘。に

新しいエース、新しいスターを

渇望する声が多かった時期で、
そこで、ルックスが良く

スタイリッシュで人気が出そうな

牧野真莉愛に白羽の矢が立った。

しかし、今日(9月11日)の「tiny tiny」で

真莉愛が語っていたように
彼女には葛藤があった。

念願のモーニング娘。に入ったのはいいけど、
思うようにうまくいかない日々。
先輩達についていくのが精一杯。
そんな中でもらった、まさかのセンター曲。

…何かしっくりこない、この感覚。

周りからの、

器用に何でもこなせちゃいそうな

スマートなイメージとは裏腹に、

真莉愛はかなり不器用な女の子。

 

童話「うさぎとカメ」に例えれば、

外見は「うさぎ」でも、

内面はのろまな「カメ」。

 

そんなイメージと自分の心の中とのギャップに、

人知れずに苦しんでいた。

そんな状況で、

つんくにもらった曲のタイトルが
真莉愛の内なる葛藤を描いたかのような「そうじゃない」。
その歌詞に込められた意味を、

彼女が知るのは3年後のことである。

当時を振り返って、

「牧野真莉愛はエースになるチャンスをもらったのに
そのチャンスを生かせなかった」と

捉える人もいる。
しかし、それは大して重要なことではない。

「そうじゃない」をセンターで歌った時の自分と

今の自分を比較して、
少しずつでも自らの成長を

実感できることの方が意味がある。
「そうじゃない」は真莉愛にとって、

成長のバロメーターとも言うべき大切な曲なのだ。

芸能の世界に限ったことではないが、
入ってすぐ馴染める子、

馴染むのに時間がかかる子、
それぞれ違った生き方がある。

 

どちらもあるから、面白い。

うさぎとカメ、それぞれの道程は違えど、

大事なのはちゃんとゴールに辿り着くことだ。

 

 

P.S.

牧野真莉愛が憧れの道重さゆみから受け継いだもの。

それは、カワイイを表現することではない。

指先から足のつま先まで神経が行き届いた立ち姿の美しさである。