何気にテレビCMを見ていたら、
どこかで聞いたことのある声から始まって、
「ん、なんだ」と思っていると
カメラがズームアウトするにつれて
愛れな(高橋愛・田中れいな)が映し出され、
ああ、エステーか、とようやく気付く。
今年もエステーのCMは高橋愛である。
冷蔵庫から出て部屋の中を一周し、
また元の冷蔵庫にある脱臭炭を映す映像は
ドローン撮影によるもの。
30秒の中でも、コンパクトかつスムーズに
動きのある絵が撮れている。
高橋愛を起用し続けるのは、
エステーの特命宣伝部長、鹿毛康司という人物。
この方、エリートではないが、
異色の経歴の持ち主である。
雪印社員だった頃は、
2000年6月に雪印集団食中毒事件が起き、
被害者の方の家を訪問しお詫びするなど、
事後処理の対応にあたった苦労人。
徐々に信頼を回復していった矢先、
2001年にグループ会社である雪印食品による
食肉偽装事件が発覚。
このときも鹿毛さんは、
有志7名で「雪印体質を変革する会」を立ち上げ
信頼回復プロジェクトを牽引する。
こうした逆風に真正面から向き合うのは、
簡単なことではなかった。
ただ彼は気配りの人であったので、
被害者目線に立ったその真摯な対応が
ある人の目に留まることになり、
雪印を退職後、やがてエステーに入社するのである。
人生は何が起こるかわからない。
宣伝部長に任命された鹿毛さんは、
雪印で得た経験、仕事のやり方を生かし、
エステーで数々のヒットCMを生み出す。
代表的なのは、西川貴教、ミゲルを起用した「消臭力」だ。
高橋愛はもう何年もエステーのCMに起用され続けているが、
高橋愛の能力や可愛さに惚れ込んだ鹿毛さんを、
今度は愛ちゃんがコンサートに招待する。
そのコンサートで鹿毛さんは、
同じ福岡出身で、懐かしい博多弁に胸がときめいたのか、
一瞬にして田中れいなの大ファンになる。
楽屋でその光景を見ていた愛ちゃんは、
苦笑いするしかなかった。
以降、愛れながエステーのCMに共演することになるのである。
これ、公私混同じゃねーか(笑