今や、デビューへの最大の登竜門となっている

研修生実力診断テスト。

 

この実力診断テストで何を選曲するかは、

その子がデビューに近付く上でとても重要。

基本的には、

自分のキャラクターに似合う曲をチョイスするのが
一番大切な要素となるが、

それ以外でも、

賞が獲りやすい曲、獲りにくい曲というのも存在する。

ここでは、

実力診断テストでどういう曲を「勝負曲」に選べばよいのか、

過去のデータを参考にしながら、分析していく。


◆歴代最優秀パフォーマンス受賞対象曲

2013年 「キャンパスライフ~生まれて来てよかった~」℃-ute(田辺奈菜美)
2014年 「Memory 青春の光」モーニング娘。(段原瑠々)
2015年 「Love take it all」℃-ute(加賀楓)
2016年 「愛しく苦しいこの夜に」モーニング娘。(笠原桃奈)
     「冷たい風と片思い」モーニング娘。'15(清野桃々姫)
2017年 「Give me 愛」モーニング娘。(段原瑠々)
2018年 「Fiesta!Fiesta!」Juice=Juice(島倉りか)
2019年 「ガタメキラ」太陽とシスコムーン(松永里愛)

過去の実力診断テストにおける、

最優秀パフォーマンス賞受賞時の曲のラインナップである。

 

改めて見てみると、

やはりマイナー調のクールでカッコいい系の曲が多い。
明るい曲を笑顔で歌い切って

そのまま最優秀賞をさらっていったのは、
第1回の田辺奈菜美だけという結果になった。
(この時の参加者は16名)

 

近年は、とくに℃-ute後期や、Juice=Juiceの曲が

好んで選ばれる傾向が強い。
研修生にとっては敷居が高くても、

歌いこなせれば高評価が見込まれるという点で、
見返りが「わかりやすい」。

 

一方、カワイイ曲をやるには、

セルフプロデュース力が優れていること、

または計算外のギャップ効果が

プラスして付け加わらないと、

なかなか得票に結びつかない印象がある。

それでも、昨年の為永幸音「オシャレ!」のように、

敢えてそこにチャレンジする子には、
個人的にエールを贈りたい。

 

 

<選曲にあたって注意すること>

●前半に見せ場のある曲を選ぶ

実力診断テストでは、1番しか歌えないため、

できるだけ曲の前半部に見せ場がある曲を選びたい。
落ちサビ、Cメロ、大サビが印象的な曲を選ぶと、

結局そこまで辿り着かないから
聴いている側が消化不良に陥ることがある。

例えば、ダンスに自信がある子は、

いかにイントロで

ダンスをアピールできる曲を選ぶかがポイント。
荘厳なイントロ(ショパン「革命」)をバックに

激しく踊る℃-ute曲「夢幻クライマックス」は、
過去に川村文乃、山崎愛生がチョイスして、

それぞれスタイルの良さを生かしたダンス、

アクロバティックな創作ダンスを披露、

しっかり成果を挙げている。

歌もラップもやりたいという贅沢な子は、

当たり前だが、

1番にラップが入る曲を選ばなければならず、

おのずと選択肢が絞られる。
前田こころは、モーニング娘。「シルバーの腕時計」で

1人2役(歌とラップ)をこなし、

階段で転ぶというアクシデントをも乗り越えて

審査員賞(なぜかダンス賞だったが)をもらっている。

歌い上げ系の曲を選ぶ場合でも、

1番サビで「やり切った」感が出せる曲がいい。

 

●前年の課題を踏まえて曲を選ぶ

勘違いしやすいところだが、

自分のライバルは他の研修生達ではない。
過去(前年)の自分をいかに越えられるかの勝負であり、

ライバルは自分自身である。

 

前年の課題をしっかり認識し、

それをクリアするための曲選びを行い、
自分なりのストーリーを演出するくらいの

心構えがあれば、

自然と結果もついてくるものだ。

松永里愛は2018年「First kiss」を歌った時、

上野まり子先生から
「エネルギーが足りない」と指摘され、

悔しい思いをしたと率直にブログに書いているが、

半年後すぐに「ガタメキラ」で勝負することを決意し、

研究を重ね、

そして1年後の同じ舞台、

しょっぱなのフェイクで鮮やかなロングトーンを決めて、

リベンジを果たすというストーリーは、
投票権を持つ観客(研ヲタ)にもわかりやすく響くものだった。

逆に、田辺奈菜美が2013年最優秀パフォーマンス賞に

選ばれた翌年、
前年と似たような「ベーグルにハム&チーズ」を選んでしまい、
審査員つんくに

「もっとチャレンジして欲しかった」と

苦言を呈されたケースもある。

また、米村姫良々も、

2016年「The 摩天楼ショー」→2017年「都会っ子純情」→

2018年「印象派ルノワールのように」と続いた流れから、
2019年は「そうだ!We're ALIVE」をチョイスしたが、
そこに彼女なりの理由はあったにせよ、

なんとなく、賞レースから降りた印象を

与える選曲だったことは否めない。
(「ハロドリ」で、ちょうど研修生を辞めようと思っていたという時期とほぼ一致するし、

キララにとって難しい時期だったことは間違いないが)

なお、研修生30期は、

いずれ、初めて実力診断テストに挑むことになるが、
まずは自分の実力のレベルに合った

曲を選ぶことが大事だ。
いきなりハードルを上げると、

翌年以降が大変になるのは、

今まで述べてきた通りだ。

 

 

●ヲタのコール込みで盛り上がる曲は避けたい

ハロプロ曲は、

原則1人で歌うことを前提に作られていない。
グループでユニゾンするか、

ソロパートを分担するように

作られているため、
中には1人で歌うには息継ぎができないほど、

1小節の中の音符の数が多かったりする。

しかも、踊りながらだと、

息が上がって歌えなくなる曲もあるため、
息継ぎのタイミングがあるかどうか、

事前に確認した方がいい。

また、音と音の合間に

ヲタのコール(合いの手)が入る曲は、
実力診断テストでは、コールがない分、

間が持たなくなることがある。

2016年、児玉咲子が「夢見る15歳」で

客席にマイクを向け煽るという掟破りに出て、

話題になったが、基本的にはNG。

 

やはり、1人でやり切れる曲を選ぶべきである。


 

長くなりそうなので、次回、後篇へ続く。

後篇では、具体的なおススメ曲をピックアップする。