アイドル界の中でも、

ハロプロはラップを取り入れるのが

比較的早かったのではないかと思います。

純粋なラップではないけれど、

SALT5の『GET UP ラッパー!!』(2003年)を聴いたときは
正直「すげーだっせーな」と思いましたが(笑
同年の7AIR『壊れない愛がほしいの』や、

2002年タンポポの『BE HAPPY 恋のやじろべえ』なんかは、

アイドルラップとしては

十分なクオリティがありました。

以降、モーニング娘。を中心に、

ラップ曲を継続してリリースしてきている中で、
アイドルの範疇を超えるようなレベルの

ラップも聴けるようになってきています。

 


『ふんわり恋人一年生』(2013年)


ラップ部分を石田亜佑美、生田衣梨奈が担当。
U.M.E.D.Y.さんがアップアレンジメントを行っています。

本来、ラップとは相互間における言葉の応酬であり、

その掛け合いによる「言葉遊び」。
韻を踏んだり、似たような発音のリリック

(本曲では「close to you」と「苦労する」など)

の連続により、

リズム感を生んでいくもの。
但し、このブログでも何度か触れているように、

日本語部分はリズムに乗せるのが

とても難しいものです。
発音が曖昧になってしまえば

言葉の意味が伝わらず、

そもそもラップとして意味を成さなくなります。

滑舌をハッキリさせるためにも、

わざとらしいくらいアクセントを強めに付けるくらいで

丁度いいのだけれど、
あゆみんはそのあたりをしっかり意識して、

リズム感を大事にしながらこなしていますね。
ミチシゲイレブンの時の

『なんちゃって恋愛』のラップも、

あゆみん上手いなと思いました。

 


『ジェラシー ジェラシー』(2017年)

 

これもU.M.E.D.Y.さんのラップアレンジ。
『ジェラシー ジェラシー』まで来ると、

相当クオリティが高くなっており、
もはやモーニング娘。の一つの武器と言えるまでに

昇華している感じです。

そしてこのナンバーで、

だーいしラップに強力なライバル出現?!

The Sugarhill Gang「Rapper’s Delight」から引用している

英語部分のフレーズを
野中美希が担当しているわけだけど、

ネイティブの発音だからこそ、

その流れるような歌い回しが

心地良く耳に入ってきます。

だーいしラップがアクセントの強調なら、

ちぇるラップは流麗なフロウ。
どちらも甲乙付け難い、というか、

この違うタイプのラップを同時に楽しめるのが

良いんです。

そんなことを考えながら聴いてたら、
「コンプレックスなら武器に変えて My努力よ 裏切らないで ケ・セラ・セラ、Set up!!」
のフレーズがやけに突き刺さるじゃないですか。
音の高低のつけ方、テンポ感など、

Heartsdales(*1)を彷彿とさせて、
めちゃめちゃ上手いな、誰だ、こいつ?と

よく見直してみたら、
小田さくらだったっていう(笑

さすが努力の鬼、ラップも完璧です。



(*1)RumとJewelsの美人姉妹による、テレ東ASAYAN生まれの女性ヒップホップユニット。
   中島美嘉、安室奈美恵らとも共演して話題になったが、2006年に活動終了。
      日本においてラップが出来る数少ない女性アーティストとして草分け的存在だった。
   今では音楽だけでなく、芸術、ブランドプロデュースなどで幅広い才能を発揮しています。

   Heartsdales - CANDY POP feat.SOUL’d OUT