5月末からシカゴ美術館で、エドゥアール・マネの晩年の作品が多数展示されています。画家のキャリアにおけるこの重要な時期に焦点を当てたエキシビションはこれが初めてとのこと。
このエキシビションの引き金となった作品は、カリフォルニア州のJ・ポール・ゲティ美術館が2014年に入手したマネ最後のサロン出展作品となった『ジャンヌ(春)』。モデル兼女優のJeanne Demarsyを描いたものです。
Jeanne (Spring) 1881
1909年に買い取ったニューヨークのコレクターによって代々受け継がれ、一世紀に渡って限られた機会にしか公開されることがなかったそうです。
作品が描かれたのは1883年に51歳で病死する2年前。
健康と身体の自由が急速に失われていく中で、モダン・ファッションと女性らしさへの興味が高まるようになったとのこと。
この作品と共に二枚の「衝撃的な」と表現された絵画があります。友人を描いた『秋(メリー・ローラン)』。
Autumn (Méry Laurent)
1881 or 1882
粋な装いの女性たちを通して季節を描写するというプロジェクトで、完成したのはこの二作品だけだそうです。
Café-Concert Singer 1879/80
タンバリンに描かれた絵。解説によると、マネのパリのカフェ文化への没頭を証拠立てる作品。
知り合いのお気に入りの女優、モデル、ブルジョア女性たちと彼の妻といった洗練された女性たちならびに親しい男友達の肖像画を描いていたようです。
マネの奥さん...優しい雰囲気の女性です。
Portrait of Madame Manet in the Conservatory
ca. 1876-79
Woman with a Cat (Madame Manet)
ca. 1880
印象派の支持者であり、画家クロード・モネのパトロンであったエルネスト・オシュデが所有する田舎家で彼の長男を描いたもの。東京の国立西洋美術館所蔵だそうです。
Boy in Flowers (Jacques Hoschedé)
1876 or 1877
1870年代後半以降は、サロン向けに質の高い仕上がりの、壮大なスケールの絵を追求し続ける一方で、より自発的かつ流動的に小品に取り組み、悪びれることなく美と視覚的な喜びを受け入れながらパステルと水彩を始めたそうです。
Boating
1874-75
マネが友人たちに書いた繊細な、ほとんど目にすることのない貴重な手紙も展示されていました。
Letter to Madame Jules Guillemet
July 1880
Letter to Henri Charles Guérard
late summer 1880
また、今回の展示では花やフルーツの絵が多くて楽しめました。
(続く)