清瀬校の安富です。
今回は、東京都立高校入試の理科の進化についてのお話です。
公立高校の入試ですから、出題範囲ははっきりしていて、学校の教科書で学習する内容をしっかり理解すればよい。そういう意味では勉強しやすいはず(その範囲がとても広いところが大変なのですが)。
他の教科に比べれば、勉強の成果がでやすい、努力が実になる教科だと思います。学習ポイントがどんなところにあるか、についてはいろいろなところで指摘されていますので、今回は内容ではなく、問題の長文化について確かめようと思い、問題文の文字数を数えてみることにしました。
まずは大きな変化を見るために、10年ごとに。
大問の数はずっと変わらず6題、試験時間も変わらず50分なのですが、
1983年は約3900字
1993年が約6900字
2003年が約9400字(受験者平均62.5点)
2013年が約9600字(60.3点)
2023年が約8800字(59.4点)
問題文が年々長くなっているという感覚をもって数え始めたのですが、2023年が異質、気になって、ここ数年について改めて調べました。
2018年が約11000字(受験者平均が61.5点)
2019年が約11700字(67.1点)
2020年が約11400字(53.4点)
2021年が約10900字(47.8点)
2022年が約10400字(61.4点)
2023年が約8800字(59.4点)
2024年が約11900字
2023年を除くと、10年単位ではあきらかに理科入試が進化している様子が見られ、2024年は文字数が1983年のおよそ3倍にもなっています。
ここ数年を見ると、そろそろ文字数増加も頭打ち、という感じかもしれませんが、2023年は明らかに異質です。
理科の教師としては、ここで「進化」という言葉を気軽に使ってはいけないかもしれませんね。「進化」という言葉は、間違って使われやすい言葉の1つです。「進」という文字が入っていることが理由でしょうか、進歩する、とか前進する、優れたものになる、よい方向に進む、という意味にとられやすい言葉です。
実際には、前にすすむかどうかではなく、変化する、とか多様化する、という意味でつかわれるべき言葉です。
以前、遺伝の単元では優性、劣性という言葉が使われていましたが、優れている、劣っているという意味ではないということで、現在は顕性、潜性という言葉が使われるようになりました。
よい言葉が見つかれば、「進化」という言葉も、使われなくなるかもしれないと思っています。
話を戻します。
都立高校入試の理科の問題は、明らかに長文化してきました(他の教科もおそらく同じようなものでしょう)。問題が難しくなった、ということではなく、情報量が増えた。ということです。
長い文章の中から必要な情報を選びだし、あるいは、不必要な情報を捨てて、本質を見抜く力が要求されています。
受験者の平均点を見ると、文字数が多くなったから平均点が下がった、という傾向はみられません。ということは、受験生がしっかり変化に対応できている、と考えてもよいでしょう。
ここ数年のデータをみると長文化はおさまったようにもみえますが、個人的には、もう少し増やしてもよいのに、と思っています。
文字数が多いのがよい入試問題、ということではありません。
短い問題文についてじっくり時間をかけて考える問題があってもよいはず、しかし多くの受験生が受け、広い範囲の基礎知識が確認されるべき都立高校入試の性質を考えると、また、情報処理能力を要求される社会情勢から考えると、これからしばらくは、現行のような、多くの情報量を処理するタイプの問題が出題される可能性が高いでしょう。
ただし、入試の進化が止まることは考えられないので、そろそろ長文化とは違う方向への、質的な変化が始まるかもしれません。
基本事項の確認が大切であることは変わりませんが、それだけでなく、問題形式に慣れることも大切な受験勉強になります。
今の時期に気にすることはありませんが、秋が深まり、入試の時期が近付けば、過去問や、他県の入試問題を解くことを通して、形に慣れる、ということも意識していくことが必要でしょう。
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