こんにちは。
清瀬校の渡辺です。
6月22日のブログでは,「倍数の見分け方」を利用した素因数分解の解法を説明しましたが,今回はその考え方では対応しきれない素因数分解の問題を扱ってみます。
「9991を素因数分解しなさい。」
まずは前回説明した「倍数の見分け方」に照らし合わせて考えていきましょう。
・一の位の数が1で奇数なので,9991は2の倍数ではない。
・各位の数の和が9+9+9+1=28で3の倍数ではないので,9991は3の倍数ではない。
・一の位の数が1で,0でも5でもないので,5の倍数ではない。
・「右から奇数番目の位の数の和」が,1+9=10,「右から偶数番目の位の数の和」が,9+9=18で,これらの差18-10=8が11の倍数でも0でもないので,9991は11の倍数ではない。
さて困りましたね
こうなると続けて13,17,19,23,…と手当たり次第に素数で割り切れるかどうか試すしかないのでしょうか
ではここで,「9991」という数字に注目してみましょう。
9991が,10000に近い数字であることに気づけると何か突破口が開けそうです
前回は小学生にも理解できる内容での説明でしたが、今回は中学3年で学習する、「乗法公式」を利用します。
9991=10000―9
=1002-32
=(100+3)(100―3)
=103×97 となり,
103,97はどちらも素数なので,9991の素因数分解は103×97と求まりました。
97は小さい方から数えて25番目の素数なので順番に探していてはかなりの手間がかかりますよね。
ではさらに別の問題を考えてみましょう。
「2501を素因数分解しなさい。」
2501という整数も「倍数の見分け方」では2から11までのいずれの素数の倍数にも該当しません。
そこで9991の場合と同じように考えてみると・・・
2501は2500より1より大きい数なので,2501=2500+1と表せます。
2501=2500+1
またまた困ったことが起きましたね。
a2-b2の形であれば乗法公式が利用できるのですが,a2+b2の形では上手くいきません。
ここで、参考となる x4+x2+1の因数分解を考えてみましょう。
=(x4+2x2+1) ―x2
=(x2+1+x) (x2+1―x)
上のように工夫し、a2-b2=(a+b)(a―b)の形に持ち込んで因数分解できました。
では,502+12も同じように考えてみましょう。
=(502+2×50×1+12)―2×50×1
=(50+1)2―100
=512-102
=(51+10)(51-10)
=61×41
61,41はどちらも素数なので,2501の素因数分解は61×41と求まります。
前回の2024の素因数分解の問題と比べると少し難しい内容になってしまいましたが,今回の2題のように,a2-b2=(a+b)(a―b)(2乗の差)の式変形を利用すると上手く解ける場合があるということがおわかりいただけたでしょうか。
今後,大きな整数の素因数分解で困ったときには,ぜひこの考え方を試してみてください。
おまけの素因数分解
「1591を素因数分解しなさい。」